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「牧場を拡張しよう」編

二十七話めぇ~ 「ツノは大事だね」

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「はっ!!」

 なんだ! どうなったんだ!?
 急に暗くなって俺はいったい…

「あっ、シゲキ君、お疲れさま~」
「ぷるん! 俺はどうなったんだ?」
「覚えてないの? 死んだんだよ」

 おおおーーーーーーーー!!
 本当に殺しやがったよ!

 こんなのおかしいだろう!
 今までは餅ネタという、一応とはいえちゃんとした理由があったんだぞ!
 今回は何の理由もないじゃねえか!!

 こんなの認めない! 絶対に!
 HITUJI、IE~~~!

「え? IE使ってないよ?」
「ちがーう! イェーイ! という意味だ!」

 そういえばIEは久しく使っていないな。
 六年くらい前に安いノートを買ったらあまりの遅さにIEでは見る気が失せたので、それ以降はずっとクロームだ。
 まっ、最新OSでは違う名前だった気もするが。

 イエーイはたぶん英語で書くとYeah!となるのだろう。
 そこは基本ローマ字でいきたいと思うのだ。

「ねえ、『つ』って『THU』じゃないの?」

 ついに来たな。
 この話題はいつか来ると思っていたぞ!!

 普通に言えば日本式とヘボン式の違いらしいな。
 俺が使っているのが日本式で、ヘボン式ってのは外人にも発音しやすいように直したものらしい。
 言ってしまえば両方同じ。どっちでもいいってやつだ。

 俺は知らなかったが、検索してみたときに某議員さんの発言が出てきた。
 といっても、そんなことを気にせず好き勝手書いているだけだがな。

「つまりは文字数が少ないほうが楽なんだね!」
「そうだ!!」

 また文字数とか言っちゃったよぉおお!!
 だが正論だ!!
 いかに面倒くさくないかが重要なのである。

「この小説自体がそんな感じだもんね」

 だから小説って言うな!!


「あのさ…訊いてもいいかな?」
「なんだ。言いたいことがあるなら言えばいいだろう」
「だって、いつも逆ギレするしさ。話しかけにくいから」

 やめろぉおおおおお!!!
 俺のキャラをおとしめるな!!!

 話しかけにくくない!
 俺、とっても話しかけやすいヒツジ!!!
 そういう言い方やめろ!

「怒らないから言ってみろよ」
「んー、じゃあ言うけどさ…」

 なんだ? また何か言い出す気じゃないだろうな。
 いまさら生半可なことじゃ驚かないけどな。

 なあ? これだけいろいろあればな。

 ちょっとやそっとのことじゃ…




「シゲキ君、ツノ無いけどどうしたの?」




 え?

 ぷるんのやつ、何言ってんだ?
 ツノがない? 誰の? どこの?
 俺のツノのことか? 

 いやいや、そんなバカな。
 俺のツノがないわけ…




 シゲキはツノをさわった。

 だが、ツノはなかった。





 シゲキはハゲた。







「なぁあああーーーーーーーーいいいいい」



 俺のツノがない!!
 なんで!? どうしてないんだ!
 俺のチャームポイントであるツノがぁああああ!

「あのさ…言ってもいい?」
「やめろ! お前が言い渋るとろくなことがない! さっさと言え!」
「じゃあ、言うけど…」

「シゲキ君、再生にすごい時間かかってたよ。正味一時間くらい」
「お、おう。それが?」

 それがどうしたんだ?
 そりゃ俺だって再生に時間かかることくらいあるんじゃないのか?
 俺は死んでいるから当然知らないが…

「あのね、最初は10分くらいで、だんだん遅くなって最近は20分くらいだったんだ。でね、今回は一時間」

 お、おい。何が言いたいんだよ。
 何か嫌な予感しかしないぞ!!

「それはもしかして、俺の再生能力が落ちているっていうのか!?」

 それしか考えられないよな!
 おいまさか、俺の再生回数にも制限があるのか!?
 だとしたら俺は…!

「うん、それもあるんだけど…。リーパちゃん、さっきのツノ貸して」

 ぷるんがリーパから俺から剥ぎ取ったツノをもらう。
 そして、それを俺の頭、ツノがなくなってハゲた場所に押しつける。


 ぐちゅぐちゅぐちゅ。
 ぷるんはシゲキのツノを押しつけた。

 グリグリ、ゴリゴリ!!


 いててててて!!
 強い、強い! すげー押しつけてる!

 お前、力強すぎるって! なんて馬鹿力だよ!
 ヒツジ戦士、こえーよ!!

「いってー、なんだよ、まったく!」
「うん、じゃあシゲキ君、死んでみて」

 おい、何を言って…

「えい!」


 ぷるんの攻撃。

 ぐっしゃーーーーー!!
 シゲキは死んだ。



「ぎゃぁああああああああ!」




「なんばすっとかーーーー!!」
「あっ、起きた」

 俺は最近死ぬ感覚がわかってきた。
 これはもう間違いなく殺された感覚だ!

 ぷるんめぇええええ! 俺を殺したな!!
 何の恨みがあるんだ!!

「シゲキ君が昔、私のパンツ盗んだから」
「申し訳ない!!!」

 ものすごい土下座だ。身に覚えがありすぎる。
 というか、そんなの何年前の話だ。
 小学生時代の淡い思い出じゃないか。

 しょうがないじゃないか。
 小学生の高学年なんてエロいことしか考えてないだろう。
 そりゃまあ、今もそうなんだが…

「あれお母さんのだったんだけどね」

 嘘だろぉおおおおおおおおおお!!
 俺もう生きていけない!
 殺せ! 殺せよ!!

「シゲキ君、今回は早かったね。やっぱり再生にはツノが重要なんだよ」
「どういうことだ? ツノの有無なんてどうだっていいだろう」

 こう見えても俺はクマーのやつにミンチにされたり、正直見るに耐えない有様になっても復活している。
 ミンチになったならツノなんて関係なくないか?

「でもほら、ツノが離れた状態って初めてじゃん。ツノがシゲキ君なんだよ」

 んん? なんだかわかりにくい表現だ。
 ツノが俺って?

「シゲキ君の本体ってツノなんじゃないの?」

 馬鹿な!? ツノが俺だって!?
 そんなことあるわけないだろう。
 ツノだってちゃんと再生されているじゃないか。

「さっき削ったところ、再生してないし」
「削ったのかよぉおおおおおお!!」

 やめてくれ! なんだその情報!
 つーか、本当に削りやがったのか、こいつ!!

 え? 本当なのか?
 じゃあ、俺の再生ってツノないとやばいの?

 でもツノなしでも再生できたじゃないか!
 なあ、そうだろう!?

「んー、ツノがエネルギー源なのかもしれないね」


 ぷるんはシゲキのツノを握った。

 ミシミシ…パキッ!
 シゲキのツノにヒビが入った。


「いってぇえええええええええええ!!」



「おい、ヒツジ戦士! 二度と俺のツノに触るな!!」
「職業で呼ぶなんてひどいよ。シゲキ君なんてヒツジのくせに」

 ヒツジだからヒツジと呼ばれても気にしない。
 だってヒツジだもんな!

 同じヒツジでも戦士が付く付かないかで全然違うのだ。
 貴族と奴隷くらい違うのだ。恐ろしいな。

「あっ、ツノも少しずつ回復はしてきたね」

 うおお…よかったぁ…。
 一時はどうなることかと思ったよ。

 ひとまずツノが俺にとって重要な存在だということがわかった。
 ツノがなくても再生はできるが、無い状態で何度も死ぬのは危険かもしれん。
 まさにこのツノは俺のマイサン、息子そのものなのだ。大切にしよう。

「ちなみに前回死んだのは、私がツノを取ったからみたいだよ」

 またお前かぁああああああーーーー!
 何度俺を不注意で殺せば気が済むんだ!

「シゲキさんのツノ、一度調べてみたほうがいいかもしれませんね」
「そうだね。あんなに汚いんじゃ寄生虫がいるかもしれないしね」

 おい、やめろ! また俺を…

「ヒツジは気をつけたほうがいいです。健康診断もしないと出荷できませんし」

 本当にいるのかよーーーーーー!

 どうやらヒツジにも寄生虫はいるらしい。
 むしろ絶対に寄生虫に寄生されないことは不可能らしいな。
 なるべくリスクを減らして管理するしかないようだ。

「そうだよ。シゲキ君、フィールドで戦っているし、森とかにも行くしさ」
「うっ…たしかに虫だらけだな」

 ダニを筆頭にさまざまな虫がいる。
 俺は草を適当に食べているから、そこに卵などがあればもうアウトだ。
 一度検査が必要かもしれんな…

「それとツノを取られないようにしないと危ないよ。補強が必要かもね」

 そうだな。寄生虫はともかくツノの補強は必須だ。
 これがあれば一応死んでも復活できるからな。

 しかし、ただでさえ四つ足動物なので頭が前に出ているのだ。
 さらにそこからツノが出ているので、どうしてもリスクが高まる。
 それ以前に戦闘角で戦っているから諸刃の刃だよな。


「じゃあ、先に装備を少し見直そうか。加工もしたいしさ」


 ということで、次回は市場を少し見回る予定だ。


 まったなー







 んがんんっ








 シゲキは死んだ







「シゲキくーーーーーーん!!」




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