【男の娘BL】ボクと彼の、はじめてだらけの恋物語!

みなはらつかさ

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エピソード30 ボクたちの初イメチェン

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 今日も今日とて、タケルくんが我が家に来てます。

「ねーねー」

「ん?」

「ボク、ツインテール似合うかな?」

 手で髪をまとめ、ツインテールを作ってみる。

「どうした急に」

「んー? イメチェン、どうかなーって」

「そうだな。いつものロングは、綺麗って感じだけど、ツインテだと、かわいいって感じになるな」

 顎に指を添え、うんうん頷く彼。

「ありがとー! どっちが好み?」

「んー? んん~……? どっちもアリだなあ。甲乙つけがたい」

 好感触!

「じゃあ、これは?」

 ポニーテールにして、横を向く。

「お、新鮮! それもアリだな!」

「うふふ。あとはー、ツーサイドアップ!」

 横髪の一部を、ツーサイドアップにまとめる。

「お~、これも、かわいい感じだな!」

「あと、何があるかな~?」

「ショートカットは、美人に似合うって、何かで聞いたけど」

 あー……。たしかに、小顔美人に似合うのだけれど……。

「それ、将来的に考えなくもないけど、ホルモンで胸が膨らんでからじゃないと、普通に男子に間違われそうで……」

「そっかー。そうだよな~」

 ちょっと、残念そう。ひょっとして、実はショートが好み? だったら、早く実現してあげたいなあ。

「あとは、おさげとかかなー? 結ぶのめんどくさいから、実演しないけど」

「んー……。脳内イメージ、文学少女って感じだな」

「すると、伊達眼鏡もほしいね。でも、そこまで凝ると、お高くつくねー。逆に、タケルくんは、イメチェンとか考えないの?」

「この、短い髪でか~?」

 自分の頭頂部を、撫で回す彼。

「たとえば、それこそサトシ風とか!」

「いや、実現不可能だろ、アレ!」

 揃って笑う。

「じゃあ、方向変えて、服の方でどう?」

「んー? たとえば?」

「そう言われると、困るな。ボク、男子のファッション、詳しくないから」

 二人で、首をひねって、考え込む。

「あ、王子様衣装は?」

 こないだの夢を、思い出す。

「ナニモンだよ、オレ。てか、どっから調達すんのさ、そんなの」

 笑いながら、答える。

「いや、ちょっと思いついただけ。気にしないで」

「逆に、お前的には、ほかのファッションの方向性は、考えないの?」

 ボクの服は、だいたいガーリー。ときに、フェミニン。

「パンツルックについては、前話したでしょ。それ以外だと……意外と選択肢、ないんだよねえ」

 んーと、腕組みして唸る。

「SRSが済んだら、あえてボーイッシュとか、マニッシュもありなのかなあ? でも、正直好みじゃないな」

「ふむ」

「話を、振り出しに戻して……。ボクに、どんな髪型してほしい?」

 今度は、彼が唸って考えこむ。

「どれも、捨てがたい! お前が、美人すぎるんだよ」

「あはは。もー、すぐそういう、きざな事言う~。でも、ありがと。じゃあ、どれでいくかは、明日会った時の、お楽しみという事で!」

「おお! 実際、楽しみだな!」

 瞳を輝かせて、ボクを見る。

 楽しいイメチェン談義も、一旦まとまり、宿題退治やポケモン休憩に勤しむのでした。


 ◆ ◆ ◆


 翌日。タケルくんちの、チャイムを鳴らす。

「はーい……おっ! そう来たか!」

 昨日の選択肢になかった、ローポジション・ポニーテールを、前に垂らすというスタイルで、お邪魔しました。

「どう? どう?」

「似合ってる! いい感じに、大人っぽい!」

 サムズアップ、いただきましたー!

 というわけで、中に招かれまーす。


 ◆ ◆ ◆


「それ、クセになってるんだな」

「え?」

「手」

 言われてみると、髪をかき上げる仕草をしていた。

「ほんとだ。長年の習慣だねー」

 ロングって、下向く時、こうしないとだからねー。

「たしかに、しょっちゅうやってたな」

「今はついやっちゃうけど、下向く時にかき上げなくていいの、便利だね。ロングから、本格的に切り替えようかなー」

 今度は、手を下げたまま下を向く。

「んー、それはそれで、寂しい気もするな。見慣れてるからさ」

「ほどいた方がいい?」

「いや、どんな髪型でも、お前は綺麗だ」

「もー、ほんときざ~! 嬉しいけど~」

 くすくす笑う。

「というわけで、タケルくん」

「ん?」

「イメチェンも堪能してもらったことだし、ここらでひとつ、新鮮な感覚で、キスしてみない?」

 ごくりと、彼が喉を鳴らす。

「お、おう」

 互いに、テーブルから腰を浮かし、唇を近づけ……。

 ちゅっ。

 あ。ほんと、なんか新感覚……!

 髪が、耳に障らないって、いいものだなー。

 何度も何度も、新感覚キスを堪能する。

「すっごく新鮮だった! タケルくんはどう?」

「そうだなー。オレ的には、普段とあまり変わらないかな? でも、お前が新鮮な気持ちになったなら、それが一番だ」

「そっかー。ね、もっとしよ?」

 再び近づく、唇同士。

 ああ、実にバカップル。でも、それがいい。そこがいい。とか、自賛するのでした。
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