孤独な令嬢は最期の夢を見る

シルフィアはスターチア王国唯一の公爵家メテオールの第一公女。

ある朝彼女は今際の際に沢山の人達に囲まれ、一人の年老いた男性に愛を囁かれ、幸せだったかと問われる夢を見る。

目覚めた彼女は自分にそんな優しい最期なんてあるはずが無いと自嘲する。
なぜなら今日は彼女が公衆の面前で婚約破棄を言い渡される日だからである。

彼女には同じ母を持つ2つ上の兄オーガスト、そして父と後妻の間に生まれた同い年の妹アメリアが居た。

政略結婚し父に疎まれ続けた母の子で髪や目の色などを濃く受け継いだシルフィアと、父に愛された後妻の子で父や兄と同じ金髪緑眼を持つアメリアは事あるごとに差別され続け、それは次第に屋敷の中だけ止まらなくなった。

シルフィアの婚約者である王太子ディヴィリウスもアメリアを愛するようになったからだ。

しかし父王にどれだけ訴えてもアメリアとの婚約を認められず、業を煮やしたディヴィリウスはシルフィアがアメリアを害しているという濡れ衣を着せ、自身の誕生パーティーで婚約破棄を宣言することを画策する。

そしてその計画をシルフィアはひょんな事から知ってしまい、今までの生活に疲れ果てたシルフィアはその計画を実行させ頃合いを見てどこか遠い修道院に入ろうと決意する。

そして当日。
ディヴィリウスの計画通りに婚約破棄が言い渡されると、母方の従姉妹をはじめとする仲の良い令嬢から慰められるが、シルフィアは静かに庭園に出てもう2度と見ることのないであろう美しい花々を眺めていた。


そこに1人の男が現れるまで。


更新不定期です。
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