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気持ちの良い早出出勤
第一話
しおりを挟む俺は工場で働く平凡な34歳、高田典弘。
特に学歴がある訳でも資格がある訳でもない俺は、やる気も持ち合わせていないため、ダラダラと家の一番近くの工場で惰性で働いていた。
そんなに大きな工場という訳ではなく、我が国でよく見かける中小企業の工場だ。
ここ最近、我が国の外から労働をしにやってくる人が増えている。
うちの会社にも1人、そういう子が来ていた。年の頃は20代半ばほどに見える。
就労ヴィザは、最長でも5年で帰らないといけないらしいのだが、我が国の人と婚姻関係を結んだりすれば、在留資格がもらえたりするらしい。
うちにきている労働者の、仮名として”Aちゃん”としよう。
最近そのAちゃんが、俺のことを誘惑してくるのだ。
Aちゃんは、俺的にはかわいい顔をしていると思っていたので悪い気はしていなかったが、
きっと既成事実を作って、願わくは婚姻関係まで…と考えているのだろうという邪推があり、
まともに取り合ってはいなかった。
Aちゃんは毎日、つたない言葉ながらLINEで好意を伝えてくる。
『高田さん、ご飯、いっしょ、食べる、休憩のとき』
『高田さん、今日も、かっこいいでした』
『高田さん、明日、仕事、教えて欲しい』
そしてある時、母国語で長文メッセージが来た。
それが全く読めなかった俺は、ネットの翻訳にかけた。
内容はこうだ。
『私は高田さんが好きです。いつも優しくしてくれてありがとうございます。あと半年でこの国には居られなくなります。その前に、高田さんと思い出を作りたいです。明日の朝、寮の私の部屋に来てください。』
こんなような事が書かれていた。
もう半年で帰ると知らなかったので驚く。
まぁ、思い出作りぐらいならいいか。という軽い気持ちで、明日の朝は早く家を出ることにした。
翌朝早速、誘ってきた子の寮の部屋に向かい、扉をノックした。
コンコン「おはよーう、高田だけどー」
すぐに中から返事が聞こえ、扉が開いた。
「高田さん、来た!嬉しい」
ニコニコの笑顔でこちらを出迎えてくれた。
初めて会社の寮の個室に足を踏み入れたが、玄関入るとすぐに部屋になっているタイプのワンルームだった。奥に、キッチンやトイレと思しき水回りが見える。角部屋ということもあってか、朝日が差し込み部屋の中は明るい。
扉が閉まるなり、Aちゃんが抱き着いてくる。
「高田さん、思い出、作りましょー」
そういって俺の目の前にしゃがみこんだかと思うと、俺の股間に鼻をこすりつけながら、臭いをかぎ始めた。
「スゥ………いいかんじ、です……」
「ちょっ、ちょっと!?やめなやめな!?」
予想外の行動に体を引き離す。
「高田さん!わたし、いっぱい好き、言った!でも、分からない!わたし、じかんがない!」
つまり、俺にいくら好意を伝えても、なかなか応えてくれない、帰国まで時間がないから、強引に行っちゃおう!ってことか…?!?
「だめ、ですか……?」
そういって俺の顔を見つめながら股間をさすってきた。
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