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7.旦那様の妹
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「アムリアです。少し聞きたいことがあって、訪ねて来たのですけれど」
「アムリアお義姉様? ええ……あ、その、三十分くらい待っていただけますか? 寝間着なんですよね」
「え? 私は別に構いませんけど」
「じゃあ、いいか」
私の言葉に、エフェリア嬢は部屋の戸を開けてくれた。
本人が言っている通り、確かに寝間着姿だ。やっぱりつい先程まで眠っていたということなのだろうか。
昨日の夜からずっと寝ていたのか、それとも昨日夜遅く寝たのか。どちらにしても、私達とは違う生活を送っているらしい。
とはいえ、思っていたよりも私に友好的で正直驚いている。
わがままな子であると聞いていたので、もっと気難しい人だと思っていた。案外、そういう訳でもないのかもしれない。
それなら私も、肩の力を抜くことができる。とはいえ、これから重たい話を彼女に聞かなければならないのだが。
「散らかっていますが、どうぞ。まあそもそも、片付けるのは私ではありませんが」
「まあ、そうですね……使用人の方が、掃除して下さいますし」
「ああ、私には気を遣わなくて結構ですよ。私の方が年下ですしね。それにほら、一応私はアムリアお義姉様の義妹ということになりますからね」
「えっと、それならそうさせてもらおうかな?」
「ええ、まあとりあえずその辺にどうぞ」
エフェリア嬢は、そんなことを言いながらベッドの上に寝転がっていた。
明らかに人と話すような態度ではないが、その辺りは気にしないことにする。
ここは彼女の自室であるのだから、私があれこれと言うことでもないのだろう。エフェリア嬢が滅茶苦茶疲れている可能性もある訳だし、義姉として寛大な心を持つべきだ。
「それで、どうしてアムリアお義姉様が部屋を訪ねて来たんですかね? 聞きたいことがあるということでしたが……お兄様はや両親には聞き辛いことでしょうから、大方レスカティアお義姉様のことですか?」
「……え?」
エフェリア嬢は、ベッドの上で不敵な笑みを浮かべていた。
その言葉に私は驚く。聞きに来たことを見抜かれているなんて、思ってもいないことだったからだ。
彼女が出した名前は、紛れもなく前妻の名前である。状況からそれが推測できたということなのだろうか。
「わかりますよ。レスカティアお義姉様は色々と問題のある人ですからね。だからこそ、お兄様も両親もあまり触れたがらない人です。三人に聞いても、話してもらえなかったのでしょう?」
「あ、いや、それはその、最初にここに来たけれど」
「え?」
結果的に合ってはいたが、彼女の推測は少しずれていた。
だが、それはどうでも良いことである。問題はレスカティア様が問題のある人だったという点だ。夫婦の仲は良くなかったのではないかと思っていたが、その原因はもしかしたら前妻である彼女にあったのかもしれない。
「アムリアお義姉様? ええ……あ、その、三十分くらい待っていただけますか? 寝間着なんですよね」
「え? 私は別に構いませんけど」
「じゃあ、いいか」
私の言葉に、エフェリア嬢は部屋の戸を開けてくれた。
本人が言っている通り、確かに寝間着姿だ。やっぱりつい先程まで眠っていたということなのだろうか。
昨日の夜からずっと寝ていたのか、それとも昨日夜遅く寝たのか。どちらにしても、私達とは違う生活を送っているらしい。
とはいえ、思っていたよりも私に友好的で正直驚いている。
わがままな子であると聞いていたので、もっと気難しい人だと思っていた。案外、そういう訳でもないのかもしれない。
それなら私も、肩の力を抜くことができる。とはいえ、これから重たい話を彼女に聞かなければならないのだが。
「散らかっていますが、どうぞ。まあそもそも、片付けるのは私ではありませんが」
「まあ、そうですね……使用人の方が、掃除して下さいますし」
「ああ、私には気を遣わなくて結構ですよ。私の方が年下ですしね。それにほら、一応私はアムリアお義姉様の義妹ということになりますからね」
「えっと、それならそうさせてもらおうかな?」
「ええ、まあとりあえずその辺にどうぞ」
エフェリア嬢は、そんなことを言いながらベッドの上に寝転がっていた。
明らかに人と話すような態度ではないが、その辺りは気にしないことにする。
ここは彼女の自室であるのだから、私があれこれと言うことでもないのだろう。エフェリア嬢が滅茶苦茶疲れている可能性もある訳だし、義姉として寛大な心を持つべきだ。
「それで、どうしてアムリアお義姉様が部屋を訪ねて来たんですかね? 聞きたいことがあるということでしたが……お兄様はや両親には聞き辛いことでしょうから、大方レスカティアお義姉様のことですか?」
「……え?」
エフェリア嬢は、ベッドの上で不敵な笑みを浮かべていた。
その言葉に私は驚く。聞きに来たことを見抜かれているなんて、思ってもいないことだったからだ。
彼女が出した名前は、紛れもなく前妻の名前である。状況からそれが推測できたということなのだろうか。
「わかりますよ。レスカティアお義姉様は色々と問題のある人ですからね。だからこそ、お兄様も両親もあまり触れたがらない人です。三人に聞いても、話してもらえなかったのでしょう?」
「あ、いや、それはその、最初にここに来たけれど」
「え?」
結果的に合ってはいたが、彼女の推測は少しずれていた。
だが、それはどうでも良いことである。問題はレスカティア様が問題のある人だったという点だ。夫婦の仲は良くなかったのではないかと思っていたが、その原因はもしかしたら前妻である彼女にあったのかもしれない。
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