魔剣士と光の魔女(完結)

わたなべ ゆたか

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魔剣士と光の魔女 第五章 忌み子の少年と御使いの村

おまけ その4 短篇 瀬戸際の外交/野草について

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おまけ その4 短篇 瀬戸際の外交/野草について


●瀬戸際の外交
 ステフ――いや、ステファニー・アーカム・キャッスルツリーは、廊下を歩きながら憂鬱な溜息を吐いた。
 紺色のドレスに身を包み、ティアラを乗せたヴェールで髪を隠している。そして、顔には仮面。魔術師ギルドに所属する光の魔女ではなく、キャッスルツリー領の領主としての姿だ。
 窓から差し込んでくる秋の日差しに、ステファニーは目を細めた。


(めんどくさいなぁ……)


 サンロウフィルの経済が交易に主軸を置いている以上、避けられないのは他国との交渉や会談である。一昨日、港に到着した船の中に、サンクリスト国の交易船があった。
 どうやら、その船に男爵が乗っていたらしい。
 即日で会談を求められ、大急ぎで日程の調整をする羽目になったのだ。
 そして今日――ステファニーは会談のために領主の屋敷に詰めていた。前もって、会談の内容など伝えられない。突貫ではあるが街の現状、特に財政や治安に関することを頭に詰め込んでいたのだ。
 騎士スターリングと頭に布を巻いた給仕を伴い、応接室に入ったステファニーは、浅黒い肌の男に軽く会釈をした。


「ごきげんよう、エウシャント・ラウム・ドシャンテ男爵様――で宜しかったでしょうか?」


「ええ。ステファニー・アーカム・キャッスルツリー伯爵。お目にかれて光栄です」


 エウシャント男爵は椅子から立ち上がって、ステファニーに礼を返した。
 赤黒い髪と口髭の紳士だ。年の頃は三〇後半といったところか。青色の礼服に身を包み、鳶色の目は好機の光を浮かべている。
 横にいる明るい金髪の青年は、護衛なのだろう。腰に細身の剣を下げ、革の手袋をしている。なかなかに整った顔立ちだが、睨むような目でステファニーたちを見ていた。
 ステファニーがエウシャント男爵の前に座ると、給仕がテーブルに紅茶とお茶菓子を並べ始めた。
 それを一瞥してから、ステファニーは「それで」と口を開いた。


「今日は、どのようなお話を? 商談という用向きではなさそうですけれど」


「ええ。この街の交易場は、我が国の商人たちもにも人気でして。十年前と比べて、利益が上がったと喜んでおります」


「有り難い話ですわ、エウシャント男爵」


「ええ。ですが……ここ最近は伸び悩んでおるようでして。できれば、キャッスルツリー領での交易は、無税ということでお願いしたい。了承頂けるのであれば、こちらに御署名を頂きたい」


 税率の変更に同意する誓約書を出しながら、エウシャント男爵は慇懃に頭を下げた。
 しかしその目は、ステファニーを威嚇するように険しく、見ようによっては睨みを利かせているようだ。
 小娘など、脅せば譲歩するだろう――そんな思惑が露骨に表れていた。
 しかし、ステファニーはエウシャント男爵の視線など気にしない素振りで、紅茶に口を付けた。


「……正直にお話をすれば、その申し出は難しいですわ。交易の税は、領地にとって大事な収入源です。そう簡単に、無税には出来かねます」


「税収など、領民への税を上げればすむ話ではありませんか。そんなことより、商人の商売を活性化させたほうが、街にとって有益ではありませんかな?」


「……いいえ。確かに、民への税率を上げれば、一時は賄えましょう。ですが、すぐに税収は落ち込みます。税で搾り取られれば民は消費を控え、それは商いを衰退させましょう。現在、このキャッスルツリーは絶妙の均衡を保っております。税率の変更は致しません」


「しかし、それでは街の発展も停滞するでしょう。交易の活性化を促すべき――」


「街では今、劇場の整備を行っております。それ以外にも、商業を活性化させる政策を整備中で御座います。領地のことを気に掛けて頂けて光栄ではありますが、わたくしも独自に進めております。エウシャント男爵様のご心配には及びません」


 ステファニーがティーカップを置くのを待って、エウシャント男爵は僅かに身体を前傾させた。


「どうあっても、ご同意頂けぬと?」


「申し訳ありませんが。これ以上は、内政干渉になります。お控え下さい」


 ステファニーがエウシャント男爵の視線を真っ向から受けた。
 双方のあいだに、静かだがピリピリとした空気が張り詰めた。数多の戦場で、敵兵を震え上がらせてきた眼光を受けて、ビクともしない女は初めてだった。
 エウシャント男爵は、横にいる男に目配せをした。


「とはいえ、こちらも手ぶらでは帰れませぬ故。御容赦願おう!」


「女伯――っ!!」


 テーブルを乗り越え、ステファニーへと詰め寄ろうとしたエウシャント男爵を、騎士スターリングが取り押さえた。
 しかし、その横を護衛の男が通り過ぎた。腰の細剣へと手を伸ばした――が、抜剣は叶わなかった。
 給仕の男が、護衛の手を掴んでいた。護衛は無理矢理抜剣しようとしたが、掴まれた腕が動かせなかった。


「この――」


 給仕に殴りかかろうとした護衛だったが、それよりも早く首筋にナイフを突きつけられ、身動きが取れなくなった。
 護衛に迫ったときにずれたのか、給仕の頭に巻いた布がずれて、黒い髪の毛が露わになった。



 ……危機一髪。

 俺は大きく息を吐きながら、護衛の男の右腕を剣の柄から遠ざけた。
 俺の腕力は、並の剣士よりも強めらしい。これは騎士スターリングが言ったことだけど、迷宮での戦いで自然と鍛えられたのでは――ということだ。
 指先だけでクルミの殻を割ることが出来るなぁって思っていたけど、どうやら俺が想像していた以上の腕力みたいだ。

 ……自分で言うのは、少し恥ずかしいけど。

 俺は手を振り解こうとする護衛の腕を、手放した。
 急なことで力の加減が出来なかったのか、護衛は身体のバランスを崩した。その隙を突いて、俺は護衛の腹に拳を叩き込んだ。
 苦悶の声をあげて護衛が身体をくの字に曲げたところに、俺は追撃で後頭部に掌外沿の一撃を加えた。
 それで護衛が気を失うと、エウシャント男爵は表情を失った。


「……なんだ、あの給仕は」


「彼が、女伯の護衛だ。わたしは、ただの付き添いでしかないのだよ」


 騎士スターリングの返答に、エウシャント男爵は俺を見た。


「女伯の恋人は、忌み子だと聞いていたが……」


 すでに抵抗する気の失せたエウシャント男爵に、ステフが近づいた。

 仮面の下に見える目は――あ、怒ってる。

 多分だけど、襲撃されそうになったことより、俺を忌み子と言ったことに怒ってる。厄介なことになる前に、俺はステフを宥めようとした。
 だけど、僅かに俺は出遅れた。
 先に、エウシャント男爵が口を開いた。


「ステファニー女伯……まさか、こちらの意図を察しておられたのか?」


「そんなこと、どうでもいいです。この件、どう始末をつけられるのでしょうか? これは、サンクリスト国からの宣戦布告とみなします。ただちにディオーラ女帝陛下へ書簡を送り、判断を仰ぐといたしましょう」


「お、お待ちを。これは我が王は関係ないこと……責は、すべて私にあります。どのような処分も、我が身で受けましょう。ですから、どうかそれだけは……」


 項垂れるように頭を下げたエウシャント男爵だったけど、ステフの目から怒りは消えていなかった。
 戦争を脅しに使うなど、普段なら絶対にしない。今回の件、それほどまでにステフの逆鱗に触れてしまっている。こうなると、ちょっとやそっとじゃ収まらない。
 騎士スターリングもこれは拙いと思ったのか、しきりに俺へのアイコンタクトを送って来てるけど……俺も声をかけるのを躊躇っていたりする。
 そんな俺たちの前で、ステフは倒れた護衛から細剣を抜いた。
 慣れぬ手つきで細剣の切っ先を、エウシャント男爵へと向けた。


「先ず、ジンのことを忌み子と言ったこと、謝罪して頂きます」


 ステフの言葉に、エウシャント男爵は呆気にとられた顔をした。
 気持ちは、よく分かる。
 
 え――そこ? 
 
 そんな気持ちが顔に表れていた。
 その気持ちは嬉しいけど、今は確かにそこじゃない。俺はステフに近寄ると、肩に手を添えた。


「ステフ、それはあとのほうが良くない? 今は、襲撃のほうが先だと思うよ」


「だって……あんな酷いこと言うなんて、許せない――ですから」


 ちょっと言葉が詰まったけど、それはきっと素が出そうになったんだと思う。俺はステフの肩に手を回すと、エウシャント男爵へと顔を向けた。


「男爵、戦争を望んでますか?」


「いや――帝国と戦など……わたしはただ、交易の税を無くそうとしただけだ」


「それ、内政干渉だって理解は?」


「……している。だが女一人、脅せばどうとでもなると……思っていた」


 そんなことだろうと思ったけど。こっちもそれほど甘くはないし、ステフをそこらの女性と同じに見ていたなら、それは認識不足というものだ。
 なにせ俺と同じく、迷宮で鍛えられた魔女である。ちょっとやそっと睨まれたくらいで、怖じ気づく訳がないのである。
 ステフの怒りは、このあいだにも収まりつつあった。俺に細剣を手渡すと、エウシャント男爵を見た。


「男爵。これ以上の揉め事をお望みでしょうか?」


「いや……望まぬ。決して、もう貴殿らに迷惑をかけぬ」


「であれば、その誓約書の文面を塗りつぶし、署名欄にあなたの名と、今の言葉を記して下さい」


「わかった」


 エウシャント男爵が言うとおりにすると、羊皮紙を差し出してきた。騎士スターリングが受け取った羊皮紙の内容を、ステフが確認をした。


「確かに。では、そちらの護衛を連れて……街で観光でも楽しんでいって下さいな」


「……は? いや、処罰はどうされるおつもりで?」


「こちらも、揉め事を増やしたくないのです。男爵の護衛が迷惑をかけたので、謝罪をした。それは、その贖罪の書類として預かる――で収めませんか?」


 ステフの言葉の意味を理解したのか、エウシャント男爵は安堵ともとれる息を吐いた。
 なにかを処罰すれば、双方の元首の耳に入る。そうなれば、国家間の緊張が深まり、最悪の自体を招く畏れもある――といったところだろう。


「かたじけない……ステファニー女伯、借りができましたな」


「さて、なんのことでしょう?」


 すっとぼけるステフに、エウシャント男爵は苦笑した。床で気を失っている護衛に近寄ると、身体をゆすり始めた。


「ああ、そうだ。街に出たら、その護衛の人を慰めてやって下さい」


「任務失敗は、わたしの責でもある。彼は労うつもりだ」


「いやその、その人はおさんどんに負けちゃったので……多分、落ち込むかなって」


「おさんどん?」


 なにか信じられないことを聞いた――エウシャント男爵は、そんな顔をしていた。
 俺は意味が通じなかったかなと思って、言葉を変えて説明を試みた。


「あの……俺はまだ、ただの飯炊きですから。そんなのに負けたと知ったら、落ち込むかもしれませんし。あ、そのお茶菓子は俺の手作りですから。食べていって下さいね」


 なにか唖然とした顔になったエウシャント男爵を見て、俺は少し不安になった。なにか言い方を間違えたのかと焦っていると、ステフが俺の胸を突いてきた。


「ジン……なにげに心を折りにいっちゃったね。男爵、しばらく立ち直れないんじゃないかな?」


「……なんで?」


 目を瞬かせながら俺が訊き返すと、ステフは困ったような顔で苦笑した。

 後日――劇場の整備が終わったころ、エウシャント男爵から経済的な相互援助の申し出があった。



●野草について


 前のマツタケ関係と被るかなと思いつつ。野草について少し書いていきます。
 本作の世界で、一番親しまれている野草は、ハーブ系とマスタード草でしょう。ハーブ系は薬草や村々での食材に。
 マスタード草は香辛料の代わりに、一般に普及している感じです。現実の中世でも黒胡椒は高値ですので、一般にはマスタードを使っていたそうです。

 五章で出てきたのは、ベアーズ・ガーリックとジャコウソウです。
 温帯の森林なんかに生えている植物ですね。ヨーロッパでも見られる種ですので、ファンタジーでも出しやすい野草です。

 ベアーズ・ガーリックは葉から根から、すべてが食用にできるそうです。
 ニンニク全般にいえることですが、腸内の感染症を防ぐ効果もあるそうです。過信は禁物レベルですけど。
 大量に食べれば一部の寄生虫にも効果があるそうです。
 ただし、食べ過ぎると腸内の善玉菌も殺菌してしまうので、乳酸菌とかと一緒に食べたい一品ですね。牛乳と一緒に食べると、臭いも抑えられるそうですし。

 ジャコウソウは味も比較的良い野草です。傷からの感染症に対する防腐剤の効果がありますが、ゆっくりと身体に広がるそうです。あと、体臭も抑えるそうですね。


 二章で出たのは、クレソンですね。ワサビの仲間です。肉の臭みを取るのと、消化を助けるそうです。


 あとファンタジーで有効な野草といえば、

・ハッカ
 スッとする成分のある、あれです。葉の汁を身体に塗ると、害虫避けになるそうですが、現在のスプレー剤よりは効果が弱いです。

・ドック・ローズ
 薔薇科の植物で、ヨーロッパからアジアで自生しています。赤い実と葉っぱが、食あたりなんかに効果あり。

・トクサ(砥草)
 こちらもヨーロッパや北アジア原産。日本でも見かけますね。
 茎に薬効があって、煮るか水に浸してお茶っぽくした汁には、止血の効果があるようです。傷口の洗浄に効果的。

・松
 パイン材という木材になるんですけど、樹液には糖分とビタミンが含まれているとか。
 松ヤニは、にかわ の材料にもなります。

 つらつらと野草とか書いてますけど、詳しくないなら触らないほうが無難なのも確かです。
 でも、どうしても使いたい、腹減った……というときには、食用テスト(パッチテスト)を行うこともあるそうです。ただ、これ緊急時には向きません。
 食べたい野草を根とか茎、葉、花とかの部位に分けて、その一部位ごとにテストをするわけですが。
 食べる前に、八時間ほど皮膚に乗せます。手や手首などが一般的ですね。とりあえず、食べる前に八時間。
 次に唇に数分。そして舌の上に十五分以上。次に十五分間、飲み込まずに口の中。噛んだり転がしたり……するわけです。
 異常がなければ、飲み込んで様子見。とりあえず、八時間。異常が出れば、無理矢理にでも吐く。とにかく吐く。そして大量の水を飲んで希釈を試みます。
 異常が無ければ調理して、半分だけ食べる。そしてまた八時間様子見――。

 という具合です。

 ただ、物によっては症状が出るのに数日かかるものもありますので、これも完璧なものではありません。
 駄目なヤツは駄目ってことで……。

------------------------------------------------------------------------
本作を読んで頂き、ありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

今回の短篇は、第六章で書こうか迷った挙げ句、こちらに持ってきました。
時系列的には、第四章と五章の一章-1の間です。


今日……やっと毛布を出しました。流石に寒いです。
大掃除と年末用の肉の買い出しも終わり、あとはキャベツとか野菜系を買わないと……という感じです。
卵の安売りは諦めていますので、ほかは値上がり前に……と思っていたら、もう若干値上がりしてました。
泣けますね。色々と。

そろそろプロットも本腰入れます……まだ半分くらいです。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

次回も宜しくお願いします!
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