魔剣士と光の魔女(完結)

わたなべ ゆたか

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最終章 女神が告げる死の神託

三章-4

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   4

 マストが燃やされて航行不能となった軍艦から、港へと物資が運び込まれていた。
 自力での航行ができなくなった以上、明日の出立には使えない。残りの船で――となったのだが、ことはそう簡単ではなかった。
 戦いのあと、陸路でローウェル領を初めとする領地の兵が到着し、戦のための物資を港へと運ぶ途中で、シルディマーナ将軍は苦悩の表情を見せていた。


「……どうしたんですか?」


「ああ……ジン・ナイトか。明日のために休んで欲しいところだが……」


「そうも言ってられませんしね。今、俺とステフとで魔物の襲撃への警戒をしています。ステフは、クレアさんとシーリアスが一緒ですから」


「そうか。世話をかける。わたしが悩んでいるのは……まあ、素直に答えるなら船が足りなくなったということだ。元々、ギリギリか少し許容量を超える人員を乗せるつもりだったからな。三隻も使えなくなったというのは、かなりの痛手だ。
 最悪、軍馬や投石器を置いていくことになるだろうな」


「ほかの船を借りることはできないんですか? その、交易船とか」


「……ここの領主が所有していた交易船なら、すでに徴用済みだ。ほかを持ってくるにも、もう時間が無い」


 要するに、手詰まり……ということらしい。
 こういうとき、俺よりステフのほうが妙案を思いつくんだけど……今は一緒にいない。
 一緒に見回りをしなかったことを後悔したとき、背後から後頭部を叩かれた。


「あなたねぇ。なにを立ち話してるわけ?」


 振り返れば、柳眉を逆立てたクレアさんがいた。
 もちろん、ステフやシーリアスも一緒だ。俺は後頭部をさすりながら、事情を説明した。


「船が足りない……例えば、ほかの船で大破した船を牽引できないですか?」


 ステフは指を動かしながら説明したが、シルディマーナ将軍は首を振った。


「それだけの長さのあるロープなど、すぐに用意はできぬ。それに、互いの船が、引っ張りに耐えられるかどうか分からぬ。最悪、牽引した船も航行不能になる可能性は捨てきれん。今の状況では残念だが、その案は実行できぬ」


 シルディマーナ将軍の言うことも、もっともだ。過積載の船を過積載の船で牽引するのは、かなり危険なのかもしれない。
 沈黙が降りる中、背後から足音が近づいて来た。
 振り返ると二人の貴族が、そこにいた。
 一人は白髪の老人だが筋骨逞しく、腰には派の広い片手剣を下げていた。もう一人は、赤茶けた髪を後ろで縛った、中年の男性だ。
 二人はシルディマーナ将軍の前で膝を折った。


「ローウェル領より、コーウェル・ローウェル、並びにカーズ・ローウェル、馳せ参じまして御座います」


「ああ、ご苦労。この場で、それほど畏まらなくてもよい。楽にしてくれ」


「は――」


 顔を上げたあと、コーウェル男爵は俺を見た。手は片手剣の柄に添えられていたけど、ゆっくりと放した。


「ジン・ナイトよ。強くなったようだな」


「……そうですか? あまり実感はないですけど」


 俺が答えたあと、シルディマーナ将軍が言葉を継いだ。


「ジン・ナイトは、騎士スティーベンにも勝っている。いつから比べているのかは分からぬが、強くはなっているだろう」


 久しぶりに騎士スティーベンの名を聞いて、俺の胸中にトゲが刺さったような痛みが走った。
 帝国の崩壊を狙う魔術師に騙され、魔神の苗床になった騎士だ。その非業の死を思い出してしまい、俺は頭を振った。


「いや、あれは……試合に負けて、勝負に勝ったというか……あまり勝ったって気はしていないです」


「勝負は時の運という言葉もある。勝ちを卑下することはない」


 コーウェル男爵はそう言うと、意味ありげな笑みを浮かべた。


「それほどまでに腕を上げているのなら、彼らも喜ぶだろう」


「彼ら? 俺の知り合いですか?」


「左様。もうじき到着するはずだが……おお、言っている間にも!」


 コーウェル男爵が頭上を見上げた直後、俺たちの居る場所に影が差した。
 周囲がざわめき始め、先の戦いのときを似たような怒号が聞こえ始めた。俺が見上げると、空から舞い降りてくる四体のドラゴンが見えた。
 ゴールドにシルバー、煌びやかな鱗を持つドラゴンは、確かに俺と知り合いだ。
 遙か昔に、竜騎士とともに蛮族との戦いに参加した、古のドラゴンたち。
 ほかのドラゴンよりも一回り大きな身体のゴールドドラゴン、ダグルンドは俺に目を向けてきた。


〝おお――久しいな、強き人間よ〟


「お久しぶり……です。あなたたちも、俺たちに助力してくれるんですか?」


〝その通りだ。破壊神が滅ぼすのは命だけに留まらぬ。我らに伝わる破壊神の本質は、改革のための破壊だ。あれはすべてを滅ぼしたあと、世界を改変するだろう。それは防がねばならぬ〟


 ダグルンドの言葉に、俺たちは目を見張った。
 破壊神に対して、ドラゴンから情報が得られるなんて。長く生きているようだから、俺たちよりも博識なんだろうな。
 そんな話をしていると、ガーラが首を下げてきた。


〝うふぅん、なにか困った顔だけど、なにかあったの?〟


 この問いに、俺とステフ、それにシーリアス以外は、どこか微妙な顔をした。美女ではなく、強面のドラゴンから「うふぅん」なんて、あまり聞きたくなかったのかもしれない。
 俺とステフで今の状況を説明すると、カーズさんがポンと手を叩いた。


「ドラゴンたちに船を運んで貰うというのはどうでしょう? 五体もいれば、一隻くらいは持ち上がるでしょう」


「いや、難しいと思いますよ……五体で掴んでも、船は持ち上がらない可能性が高いです」


 羽や翼で飛ぶ生物は、羽ばたくときの風圧で空を飛ぶ。
 直に船を掴んで飛ぼうとすると、揚力を生む風圧が船に当たる。そうすると、風圧で船が海面に押しつけられることになり、ドラゴンは宙に浮くことができなくなる。
 結果的には、掴んだ部分を引きちぎるかもしれないけど。
 これは生物だから――ということではなく、前世の世界にあったヘリコプターなどでも同じことが起きる。
 この現象を防ぐためには、長いロープで引っ張り上げるしかないが、風圧の影響を受けない長さになると、下手をすれば数十マールの長さが必要かもしれない。
 でも、そうなればドラゴンたちが空を飛ぶのに必要な、重力を軽減する魔術の効果範囲から、外れてしまうだろう。


「というわけなんですが……」


 俺の説明に、カーズさんや男爵は少し呆けた顔をした。
 どうやら、内容を理解してくれなかったみたいだけど……。


「まったく、理系なんだから。ひと言、船が壊れるから無理って言えばいいのに」


 ステフはそう言って嘆息したけれど、こういう説明はできるだけ丁寧にしたいって欲求は、どうしても捨てきれない。
 船の問題を解決しようと、俺たちが頭を悩ませていた最中、俺とステフを呼ぶ声が聞こえてきた。
 振り向くと、ハッキンが駆け足で俺たち近寄って来た。


「ジン殿、ステフ殿。お二人に、客人がお見えです」


「こんなときに?」


「……はい」


 どこか神妙な顔つきのハッキンが一歩下がると、後ろからエウシャント男爵が前に進み出た。


「帝国の皆様、お困りのようですな」


「エウシャント男爵……」


 ステフが口を開きかけたが、それをシルディマーナ将軍が手で制した。
 他国の軍に、こちちらの弱みを見せる訳にはいかない――というのだろうか。そんなことを言ってる状況ではないと思うのだが、そこは政治的な何かがあるのかもしれない。


「先ほどの襲撃によって、こちらの船に被害が出たというだけです。無理矢理に、そちらの協力を得ようとは思っておりません」


「なるほど。さすが帝国第三軍の将軍であらせられますな。このような状況でも毅然としていらっしゃる。それでは、こういう提案はどうでしょうか。
 我らの船舶で、そちらの兵を運搬して差し上げましょう。無論、貸し借りという無粋なものは無しで」


「……どういうおつもりか?」


 シルディマーナ将軍の問いに、エウシャント男爵は大袈裟に手を広げ、まだ魔物の死体が残っている港を見回した。


「先の戦いを目の当たりにしたのです。啀み合っている場合ではないことくらい、我々にも理解できるというもの。破壊神アラートゥ……あなたがたの話は、誠であると信じましょう。王の命が無ければ戦いに手を貸すことはできませんが、兵の輸送くらいは協力できましょう」


 そう述べたあと、エウシャント男爵は優雅な所作で最敬礼をした。


「微力ではありますが、我々の援助、受け取って頂けますかな?」


「……ありがたく、お受け致します。そして、わたくし個人のものではありますが、心からの感謝を……エウシャント男爵殿」


 シルディマーナ将軍は、片膝をつく姿勢で最敬礼をした。
 ここにきて、漸く国家の枠を越えた協力関係が築けた気がする。俺はステフと微笑み合いながら、微かに見えてきた希望を感じていた。
 シルディマーナ将軍とエウシャント男爵の会話が終わり、俺たちは再び魔物の警戒に戻った。
 ステフとの別れ間際――俺は視線のようなものを感じた。


「なんだ?」


「どうしたの?」


 周囲を見回す俺に、ステフは小首を傾げた。
 すでに視線のような気配は消えてしまい、その主を探ることはできなかった。俺は首を捻りながら、ステフに苦笑してみせた。


「いや……気のせいだと思う。なんか、見られてるって気がしたんだけど」


「そうなんだ?」


 ステフも周囲を見回すけど、やっぱり視線の主は見当たらなかったみたいだ。
 二人して「変だねぇ」などと首を傾げてから、俺たちは二手に分かれた。

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本作を読んで頂き、ありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

今日の日中は天気予報に反して、日差しが出てきました。そのせいか予報より暖かく、服に貼ったカイロで暑いこと暑いこと。

仕事中、変な汗をかきました。
「風邪かラッキー」と思いましたが、体温は平熱……。

隠れて舌打ちしたのは、会社には内緒にしてます。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

次回もよろしくお願いします!
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