入れ替わりノート

廣瀬純七

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隆司になった朋美

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放課後の教室は静まり返り、オレンジ色の光が机を照らしていた。体が入れ替わった歩美と朋美は教室の隅で例の「入れ替わりノート」を開きながら話し込んでいた。  

「やっぱりこれ、本当に効果があるんだよ!」  
朋美(歩美の体)は興奮気味にノートを指差す。  

「でも、だからってこれ以上誰かに試させるのは危険じゃない?」  
歩美(朋美の体)は不安そうに朋美を見つめたが、朋美は全く気にしていない様子だ。  

そこにクラスメイトの田中隆司が入ってきた。少し乱れた髪を直しながら、面倒くさそうに近づいてくる。  
「何してんだお前ら?帰らないの?」  

朋美が勢いよく立ち上がった。  
「ちょうどいいところに来た!ねえ隆司、このノートに名前書いてみない?」  

「は?なんだそれ?」  
隆司は怪訝な顔をしながら朋美を見た。  

「いいから!ほら、こうやって名前を書くと面白いことが起きるの!」  
朋美がノートを見せると、隆司は半信半疑で手に取った。  
「なんだよこれ。なんか怪しいな…。」  

「いいからいいから!私も名前を書くから、試してみてよ。」  
朋美はノートを取り戻し、自分の名前を書き込んだ。**「橘朋美」**。  

それを見て、隆司も渋々ペンを持ち、ノートに名前を書いた。  
**「田中隆司」**  

その瞬間、再び世界が揺れた。  

「な、なんだこれ…?」  
隆司が驚いた声を上げるが、それは歩美の声だった。  

「ちょっと待って!え、私、隆司の体に――!?」  
朋美が自分の姿を見ると、それは隆司の制服を着た自分だった。  

一方、朋美の体の歩美は呆然と二人を見ていた。  
「またやっちゃったの…?これ、本当に危ないんじゃない?」  

「おい、これどうすんだよ!」  
歩美の体に入った隆司が怒鳴る。普段の落ち着いた彼らしくない動揺した表情が浮かんでいた。  

「どうって…とりあえず落ち着いて!面白いでしょ、隆司も普段の自分と違う女の子の生活が体験できるんだから!」  
自分の体を指差して笑う朋美(隆司の体)に、隆司は呆れて声を荒げた。  
「面白いわけないだろ!お前、これどうやって元に戻すんだよ!?」  

「うーん…戻るにはまた何か条件があるんだと思うけど…。」  
朋美がのんびりと答えると、歩美が割って入った。  
「もう!本当に無責任なんだから!とにかく、これ以上ノートを使うのはやめて元に戻す方法を探すべきでしょ!」  

だが、この時点で三人の体を元に戻す方法はまだわからなかった。  

学校には新たな「入れ替わり」の秘密を抱えた朋美と歩美と隆司の三人が現れることになった――それぞれの体と役割を持ち寄りながら。

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