パラサイト

廣瀬純七

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トイレでの入れ違い

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雄太と美咲は、久しぶりに外でランチを楽しむためにカフェを訪れていた。女性の体になった雄太は、ようやく外出にも慣れてきたとはいえ、まだ気を抜くと元の男性としての感覚が戻ってしまうことがあった。一方で、男性の体になった美咲は、自分の新しい姿を楽しみながらも、時折女性だった頃の習慣が顔を出すことがあった。

そんな二人に、予想外のハプニングが待ち受けていた。

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### 事件の発端

「ちょっとトイレ行ってくるね。」  
雄太はそう言って席を立った。美咲も「私も行こうかな」と言って後に続く。

カフェのトイレは男女別だったが、入口には特に目立つ標識がなかった。雄太は昔ながらの習慣で、自然と男子トイレに向かい、美咲は逆に女子トイレの方向へ進んでしまった。

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### 雄太の気づき

男子トイレのドアを開け、中に入った雄太は違和感に気づかなかった。個室に入って用を足そうとしたとき、ふと自分の姿を思い出した。

「あれ? 俺、今女性の体だったよな……?」

一瞬、脳内がフリーズした。  
「やばい、ここ男子トイレじゃん!」  

慌てて個室を出ると、ちょうど別の男性がトイレに入ってきた。雄太はパニックに陥りつつ、なんとか自然を装おうとしたが、鏡に映る自分の女性らしい姿が明らかに場違いだった。

男性はちらりと雄太を見て、「え? あ、すみません」と言って気まずそうに目をそらした。雄太はその場を飛び出すようにしてトイレを後にした。

---

### 美咲の気づき

一方、美咲も女子トイレに自然に入っていた。個室に入った後、鏡で手を洗おうとして、ふと違和感に気づく。

「待って……俺、今は男の体だよな?」

周りには女性が数人おり、彼女たちは美咲に気づいていない様子だったが、彼女――いや、今や彼は自分の間違いに冷や汗をかいていた。

「まずい、完全に間違えた!」  

慌ててトイレを出ようとしたところ、他の女性とすれ違ってしまい、驚いた目を向けられる。

「え、あの人、男子じゃない?」  

そんな声が聞こえた瞬間、美咲はその場から全速力で逃げ出した。

---

### 二人の再会

カフェの外で落ち合った二人は、互いに顔を見合わせ、同時にため息をついた。

「俺、男子トイレ入っちゃった……。」  
「私も女子トイレ入っちゃった……。」  

二人はしばらく無言のまま顔を見合わせたが、次の瞬間には吹き出して笑い出した。

「なんだこれ、もう最悪だな!」  
「でも、ちょっと面白かったね。」  

予想外のハプニングにもかかわらず、二人は笑いながら歩き出した。この経験も、二人にとって新しい日常の一部となっていくのだった。

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