桜ケ丘高校の秘密

５

### 見えない導き

異世界のような風景に立ち尽くす健太と咲良。しかし、恐怖よりも謎を解き明かしたいという強い思いが二人を突き動かしていた。

「とりあえず、あの塔に向かおう。あそこがこの世界の中心っぽい気がする。」  
健太が前を指さすと、咲良も同意して歩き始めた。

道中、奇妙な感覚が二人を包んだ。  
空気は静まり返っているのに、遠くから誰かがささやくような音が耳に届く。  
「…これ、声？」咲良が足を止めた。  

「聞こえる…でも何を言ってるのかわからない。」健太も耳をすます。  

その時、目の前に現れたのは古びた石碑だった。表面には見たこともない文字が刻まれている。  
咲良がそっと手を触れると、文字が淡い光を放ち始めた。

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### 石碑の記録

「『選ばれし者よ』…読める！」  
石碑の文字がまるで日本語に変わったように見える。驚く二人をよそに、続きが浮かび上がる。

「『ここは交差する世界。精神が共鳴した者だけが訪れることができる場所。』」  
健太が声に出して読む。  

「『ここでの試練を乗り越えれば、真実への道が開かれるだろう。』」  
咲良が続けて読み上げると、石碑は再び静まり返った。  

「試練ってなんだろう。」健太は険しい表情で周囲を見回した。  

咲良も不安げな表情を浮かべながら言った。  
「どうせ簡単なことじゃないのは分かってるけど…私たちがここに来た理由を突き止めるには、進むしかないみたいね。」  

二人は決意を新たに、塔へと向かう道を再び歩き始めた。

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### 試練の始まり

塔に近づくにつれ、周囲の景色が奇妙に歪み始めた。まるで現実と夢が混ざり合ったような空間が広がっていく。  

「気をつけろ、何かが起きそうだ。」健太が前に立ち、警戒しながら進む。  

その時、不意に足元が崩れ、二人は暗闇の中に落ちていった。  

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### 内なる対話

目を覚ますと、健太と咲良は別々の場所にいた。  
咲良の目の前には、自分自身の姿をした幻影が立っている。  

「あなたが健太の体に入ったとき、どんな気持ちだった？」幻影が問いかける。  
「それは…」咲良は言葉に詰まる。  

一方、健太も同じように自分の幻影と向き合っていた。  
「お前は本当に咲良の気持ちを理解できたのか？」  

「わかるわけないだろ。でも、俺は…！」健太は拳を握りしめた。  

二人がそれぞれの内なる葛藤と向き合い、真実の答えを見つけ出すことが、この試練の鍵であることに気づいていく。  

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### 再会への道

健太と咲良が自らの思いと向き合い、それぞれの答えを見つけた瞬間、闇は消え去り、二人は再び塔の前に立っていた。  

「咲良、大丈夫か？」健太が駆け寄ると、咲良は小さく頷いた。  
「健太、ありがとう。あなたが一緒にいてくれるから、ここまで来れた。」  

「俺だって、咲良がいたからここまでこれたんだよ。」  

二人は互いに笑い合い、手を取り合って塔の扉を開けた。  

その先に何が待ち受けているのか、まだ分からない。しかし、二人には強い絆があった。  

「行こう、真実を掴むために。」  
健太の言葉に、咲良も力強く頷いた。  

塔の奥から漏れる光の中へ、二人は共に足を踏み入れた――。