小学生をもう一度

廣瀬純七

文字の大きさ
3 / 14

女子トイレの初体験


授業が終わり、昼休みのチャイムが鳴ると、クラスメイトたちは一斉に教室を飛び出していった。翔太――いや翔子は、自分の机に座ったまま少し迷っていた。  

「翔子ちゃん、トイレ行こ!」  
隣の席の美紀が声をかけてきた。彼女はランドセルの横に小さなポーチを持ち、翔子の手を軽く引っ張った。  

「え、あ…うん。」  

翔太は戸惑いながらも立ち上がり、美紀の後について廊下を歩き始めた。男子トイレには慣れているが、女子トイレに入るなんて考えたこともない。体は翔子だけど、心はまだ完全に翔太のままだ。  

---

### **女子トイレへの一歩**  

トイレの入り口に立つと、「女子」と書かれたピンク色の看板が目に飛び込んできた。その文字が妙に重く感じられた。  

「早く入ろうよ!」  
美紀が軽快な足取りで中に入っていく。翔太は一瞬躊躇したが、周囲に他の子どもたちがいたため、怪しまれないようにと自然を装って後を追った。  

中は男子トイレとは全く違う空間だった。明るいライトに照らされた白い壁、清潔に並んだ個室、そして可愛らしい花柄の消臭スプレーが目に留まる。  

「翔子ちゃん、こっちこっち!」  
美紀は手を振りながら、奥の個室に向かっていった。  

---

### **戸惑いの瞬間**  

翔太も仕方なく空いている個室に入った。ドアを閉めると、一瞬静寂が訪れる。自分が本当にここにいることに、妙な違和感と緊張感を感じた。  

「こんなところにいるなんて、変な感じだな…。」  
小声で呟きながら、翔太は用を済ませる。普段なら何気ない行動のはずなのに、なぜか一つ一つがぎこちなく感じられた。  

個室を出ると、美紀が手洗い場で蛇口をひねりながら待っていた。  
「翔子ちゃん、ちゃんと手洗わないとダメだよ!」  
「あ、うん。」  

翔太は言われた通りに手を洗い、ハンカチで拭いた。手を拭くという行動すら、男子トイレでは見かけないような丁寧さを求められる気がして、少し戸惑った。  

---

### **女子の世界**  

トイレから出ると、美紀がにっこり微笑んで言った。  
「ね、翔子ちゃんってなんか女子力高いよね!ハンカチもちゃんと持ってるし!」  
「え、そ、そうかな…?」  

翔太は褒められているのか分からないまま、曖昧に笑った。女子トイレという未知の世界を体験し、少し疲れた気もしたが、美紀に合わせることでなんとか乗り切ることができた。  

「さ、教室戻ろう!次は図工だよ!」  
美紀の声に促され、翔太――いや翔子は再び教室へと歩き始めた。  

それはほんの短い昼休みの出来事だったが、翔太にとっては「翔子としての自分」を少し受け入れるための、重要な一歩だったのかもしれない。
感想 1

あなたにおすすめの小説

ストレンジ&デイズ

廣瀬純七
青春
ある朝、高校生の男女が入れ替わる不思議なお話。

兄になった姉

廣瀬純七
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

バーチャル女子高生

廣瀬純七
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。