魔力を持たない僕は魔法を使いたい!

まったりー

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1章 転生

5話 スコティ先生の授業改善

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遅れた理由をスコティ先生は知っていて、仕方ないと処罰は無かったけど、勝ったことが分かると驚いていました。


「同学年と言っても、相手は伯爵家のご子息だったのに、凄いわねアルサ君」
「当然よ、アルサがあの程度の奴に負けるわけないわ」
「凄い自信ねアネモネさん・・・じゃ、じゃあ授業に入るけど、何かいう事はあるかしらアルサ君」
「そうですね、まず木剣だけしか使えないのですか?」


場所も旧校舎の庭で、整備も何もされてない雑草は勿論、木々も生い茂る場所で、カカシなどはなく素振りしかできない所だった。
カカシでも置いてあればまだマシだったけど、スコティ先生も諦めて素振りを提案してきた。


「模擬戦とかもダメですか?」
「別に禁止ではないし、ワタシも出来ればやらせたいのよ、だけど怪我をさせると問題だからダメなのよ」
「なるほど、他の教師から圧力をかけられてるんですね、それなら問題ありませんよスコティ先生、僕とアネモネが治します」


僕らの訓練にもなるし丁度良いと思っての提案で、スコティ先生はそれなら良いかと簡単に了承したよ。
模擬戦をすれば上達も早いので、スコティ先生は早速始めようとしたから、僕はそれでは面白くないと思い止めたよ。


「なんでよアルサ君、やらせる為に聞いたのでしょう」
「そうなんですけど、まだみんなに模擬戦は早いんですよスコティ先生」
「早いって、じゃあ何をさせるのよ、素振りじゃないのよね?」
「いいえ、素振りをさせます」
「はい?」


驚くスコティ先生に普通の素振りではないことを説明する為、僕はポケットの中のハンカチを取って渡しました。
ハンカチをどうするのか、スコティ先生は分からないようだけど、気の力を習得する訓練と剣術を同時に出来るから提案したんだ。


「ハンカチって、どうやって剣術の訓練になるのかしら?」
「それで剣術の訓練が出来る様になってほしいんです、それでやっとスタートラインに立てるんですよ」
「そうなのね・・・ワタシもやってみたいわね」
「じゃあ、先生もやってみましょう」


先生も参加し、みんなで一列になって並びハンカチを持って構えたけど、僕を含めた全員のハンカチは何の力を持たずに手に垂れていました。
これでどうするのか、みんなが僕に注目してきたので、アネモネに視線を向けて頷くのを確認し、二人で気をハンカチに注ぎました。


「は、ハンカチが」
「「「「「立った!」」」」」
「それだけじゃないわよみんな、これはとても鋭いナイフ並みに切れるんだから」
「「「「「うそ!」」」」」


嘘ではないっと、アネモネは近くの木の傍に移動し、落ちてきた葉っぱを数枚ハンカチで両断したんだ。
みんなはその切れ味に驚き、自分たちも出来るのかと力を入れたけど、そんなに簡単に出来るモノではなく、力んでいるだけでハンカチに変化はありません。


「みんな、そんなに力を入れずに集中して」
「集中って言っても」
「リリア、ハンカチを良く見て息を整えるんだ」


それだけでも無理だけど、気の開化には落ち着くことが大切で、みんなに目を閉じる様に指示を出しました。
そして、深呼吸を繰り返してもらい、その間に僕の気をみんなの注いだんだ。


「感じる、何か温かいモノが流れてくるわ」
「オレもだ、これが気なのか?」
「そう、それが気だよみんな、だけど君たちのではなく僕のだから、そこから自分の気を探すんだ」


体のどこかにそれは存在し、僕の気が体に流れたことが開化する一歩手前になっていた。
それでも発動させるのは困難で、スコティ先生を含めた全員が授業中に見つける事は出来なかったんだ。


「ダメ、全然感じられないわ」
「スコティ先生でもダメだったのね」
「仕方ないよアネモネ、君が一回で出来たのは天賦の才なんだよ」
「あら、素直に褒めるなんて嬉しいじゃないアルサ」


喜ぶアネモネは、そのまま僕に抱き着いてきて、僕はヨシヨシと頭を撫でました。
みんなに見られてるけど、いつものスキンシップなので気にはしなかったけど、発動できなかったことを悔やんでいる生徒もいたので、僕は励ます言葉を伝えまだまだ始まったばかりと伝えた。


「アルサ君、アタシたちはいつ頃出来るのかしら」
「リリア・・・今の感じだと、1月かな」
「1月・・・テストの2週間前なのね」


1学期の終わりと言う意味で、その後の夏休みが僕の楽しみでもありました。
でも、みんなはテストが大切な様で、早く覚えたいと言う意思が伝わってきたよ。


「それで間に合うかしら?ちょっと厳しいかもしれないわよアルサ」
「それは大丈夫だよアネモネ、何せそれはスコティ先生の授業だけの話で、これに加えて教室の修繕があるからね、もっと早く覚えて訓練も出来るよ」
「ああ、そっちも使うのね、さすがアルサ、スパルタだわ」


自分の時の訓練を思い出したのか、アネモネが嫌そうな顔をしてきて、僕はそこまでではないと否定したよ。
アネモネの時の様に素手ではないし、道具に気を送れる訓練をすると説明したんだ。


「ハンカチが金づちになっただけじゃない、それで変わるのかしらアルサ」
「気を送る訓練をしながら金づちを使って釘を打つ事は、剣で攻撃するのと同じ作用があってね、きっと習得も早まるよ」
「それなら良いけど、テストは闘技大会だけじゃなく座学もあるのよ、平気なのかしら?」


そっちもあるのは当然で、僕の教師役の出番と思っていました。
歴史はそれほど知らないけど、向こうの戦術を教える事は出来るし、個人個人で応用していこうと考えました。


「計算は、出来ればアネモネに任せたいんだけど、出来るかな?」
「アタシがやるの!」
「うん、教える事も勉強になるからね、君なら出来るよ」


今のうちに経験した方が良いと提案したら、少し考えた後に了承してきて、アネモネは熱心で凄いと思ったよ。
これでみんなのテストは高得点が予想できたけど、僕の問題はいつも魔法であり、図書室でそれが解決するかが心配でした。


「分かっていた事だけど、魔法は体内の魔力を変換して使える、それは持ってない人には不可能な力なんだよね」


魔法の詠唱は集める手助けをしてくれて、道を作り集め易くするだけでした。
だから、外から魔力を集める事が出来れば変換は可能で、魔力を何処から得るかにかかっていた。


「魔石が一番手っ取り早いけど、効率が悪いし威力が問題だ」


弱い魔法なら可能かもしれないけど、それでは意味がないし、どうしたものかと悩んでしまった。
もう少しの所なので欲が出ていますが、まずは使う事が一番と改め、僕は放課後に待望の図書室に入ることが出来ました。


「さて、魔導書は何処かな」
「探しましょうアルサ、アタシは左から行くわ」
「じゃあ、僕は右から探すよ」


手分けして探すことになり、僕たちは1冊ずつ手に取り読んでいった。
学園の図書室はかなり広いから、その日に見つける事は出来ないと思いながら読み始めたけど、4冊目にそれに当たり驚いた。


「こんなに簡単で良いのかな?」


そんな気持ちで本棚に視線が向いたら、アネモネが数冊を持って歩いてきていて、その本も魔導書なのが分かった。
そして、図書室にあるほとんどの本が魔法に関する本なのを知り、見つかるのは当然と思ったんだよ。


「凄い量だけど、どれから読んだ方が良いのかしら?」
「アネモネ、僕が欲しいのは基本となる知識だから、今持ってきた本で充分だよ」
「あら、それならもう良いのね」


ランクの高い魔法の知識も欲しいとは思うけど、まず基本を学んでからの方が良いと思い1冊の本を開きました。
そこには、デロマとの戦いで得た内容が記載されていて、新しい事は書かれていなかったんだ。


「ちょっとがっかりだけど、イメージが大切なのもわかったね」
「それは良いけど、結局魔力が無いと使えないのよね、そこはどうするのよアルサ」
「それなんだけど、こっちに書かれてる杖が増幅器になっているって内容がカギだね」


杖と魔道具を合わせれば行けるかもしれないっと、僕の道が見つかった様に思えました。
なので、僕は次の問題である魔道具の本を開き読んでいったんだ。
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