魔力を持たない僕は魔法を使いたい!

まったりー

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1章 転生

14話 生徒会の加入試験

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一日休んで何をしていたのかをアネモネに聞かれ、僕は隠す事でもなかったので話したんだけど、内容を聞いたアネモネは嫌そうな顔をしていました。


「なんだよアネモネ、魔法が使えるかもしれないんだよ」
「そうかもしれないけど、そのメイドの妹さんを助けたんでしょう?」
「成り行きでね、でもそれは必要な事だし、それだけだよ」
「それが困るのよ、まったく」


アネモネは、何やらブツブツ言っていたけど、その後魔法は使える様になったのか聞かれ、僕はまだ無理と答えました。
魔法陣に魔力を流す実験は直ぐに出来るだろうけど、新たな問題が出てきてそれをアネモネに伝えたら、僕と同じように驚いていた。


「ま、魔道具が作られてないの?」
「そうなんだよアネモネ、魔道具は遺跡で発掘された品だけで、誰かが最初から作るという事をしてないみたいなんだ」
「それじゃあ、今アルサがしようとしてることって」
「そうなんだよ、とても目立って問題しかない」


貴族に知られたら確実に奪われるから、その前に対策をしたいと伝え、商業ギルドで商品登録をしようと言うのが、僕とアネモネの見解だった。
更なる対策として、貴族になるかその地位の人を味方に付けるのも良いけど、それは最初の問題だった乗っ取りの危険性があり、仲良くなった騎士様たちですら不安で話せなかった。


「どうするのよ、長期休暇が終わった後は授業でも使おうとしていたじゃない」
「みんなの相手をする魔道具だね、そうなんだよアネモネ、だから困ってる」
「ももも、もしかしてだけど、みんなにオーガを討伐させようとか思って無いわよね?」
「さすがにそれはアネモネだけだよ」


もっと上達していれば別だし、みんな気を扱えても気持ちで負けているので、モンスター相手だと気迫で負けるから危険でした。
だから魔道具を相手に練習してほしかったけど、仕方ないから僕が相手をすることにしたんだ。


「それって、オーガを相手にするより大変じゃないの?」
「殺意は飛ばすけど、ちゃんと調整するよ」
「そう言う事じゃないのよ、やり過ぎないか心配なのよ」


アネモネの指摘は、僕の安全性に問題があるという事で、僕はかなり手加減するよう約束してしまった。
ただでさえ魔法の方に問題があるのに、上手くいかない苛立ちを感じていたよ。


「おい、アルサって平民はどいつだ?」


旧校舎の前に来た僕たちに、いかにもお貴族様って感じの生徒が声を掛けてきて、僕は気持ちも嫌だけど表情にまで出してイヤイヤながら名乗りました。
そんな顔をして良いのかと注意してきたので、貴族様だろうと学園内では関係ないと言い切ったんだ。


「へぇ~口が達者なのは聞いた通りだ、なぁお前、実力はどうなんだ見せてくれよ」
「何言ってるんですか?そんな事確認する必要ありませんよ」
「そういわずに相手しろよ、もし俺っち様に勝ったら、なんでも褒美を与えるぞ」


超が付くほどの上から目線でしたが、何でもと言う言葉はタイミングが良かったので了承したよ。
僕の作戦の中に、学園に魔道具を作るクラブを許可させようと言うのがあり、その提案を通りやすくするための糧となってもらおうと思ったんだ。


「分かりました、軽く相手をしましょう」
「話が早いじゃねぇか、楽しみだぜ、じゃあ闘技場に行くぞ」
「ちょっと待ってください、ここでやりましょう」
「なんだよ?こんな所じゃ本気が出せねぇぞ」


そんな戦いにはならないっと宣言したのと同時に、僕は気を使ったバリアを直径50mの範囲に張り、見えているアネモネは驚いていたよ。
これがやり過ぎと言いたいのだろうけど、気を扱えない相手には見えないし、魔法が周囲に飛ばないようにしただけだよっと、目だけでアネモネにお答えしておいた。


「良いだろう、その挑発究極魔法の使い手であるこの俺っち、ラディッシュ様が乗ってやるぜ」
「せいぜい凄い魔法を使ってくださいね」
「良いぜ、どうなっても知らねぇからな」


相手は詠唱を始めてくれて、僕はわくわくして待ち、アネモネは横でやれやれって顔をしていたよ。
危険だから僕から離れるのが普通だけど、アネモネなら平気だから動かず、相手が魔法を放つのを待っていた。


「アルサ、あれは風の魔法みたいね」
「風の精霊がどうのと言ってるし、これはちょっと注意だね」


真空波などが飛んでくるのなら、気をかなり溜めて守らないと切り裂かれそうだったので、オーガと同じくらいの強度に防御力を高めた。
詠唱はおなじみに思えるほどの長さで、こちらの準備は万全になり、風の刃が飛んできても簡単に片手で弾き飛ばせた。


「なっ!俺っち様のサイクロンウイングが」
「なかなかの魔法でした、次は何を見せてくれるんでしょうか?」
「や、やるじゃねぇか、だが次はそうはいかねぇぞ」


研究中の魔法を使うと言い出し、かなりの魔力が彼の体内に溢れるのが見えて、僕はアネモネに下がるように伝えました。
魔力の量は、先ほどの3倍にも膨れ上がり、詠唱の文言から分かる属性は火でしたよ。


「熱量にもよるけど、バリアを張っておいて良かったかもね」


詠唱が終わる頃、彼が前に出していた杖の先端から大岩並みの炎が現れ、そのまま僕に飛ばしてきました。
10mはありそうな炎の玉だったので、これは凄いと僕はとても嬉しくて興奮してたけど、アネモネが早く何とかしてと背中を叩いてきたよ。


「こんな凄いの、消してしまったら勿体ないよアネモネ」
「そそそ、そんな事言ってないで何とかしてよ、早くしないと燃えて死んじゃうわよ」
「あはは、これくらいの火力じゃ死なないよアネモネ」
「そんなわけないでしょ、早く何とかして」


息を吸うのも辛いとか言ってくるアネモネに、そういえばそっち系の訓練はしていなかったと思い、次の訓練は心頭滅却をマスターさせようと決めた。
火の玉の温度は1000度前後で、普通なら確かに死んでいるほどの温度だったけど、気を纏わせた拳の一撃で消し飛んだよ。


「うん、オーラナックルは最強だね」
「お、お前、どうしてそれほどの力を持っている・・・魔法よりも優れているじゃないか」
「そんなことはありません、魔法はもっと凄いんですよ」


火を出したり水をだしたりと、気ではできない事が沢山できるしカッコいいと言い切りました。
気もカッコいいとは思うけど、僕はやっぱり魔法が良いし、絶対に使ってみたかったんだ。


「良いだろう、お前は合格だアルサ」
「合格って、なんの事ですか?」
「決まってるだろう、生徒会の加入だよ」


僕には必要ないと言いたかったけど、クラブを作るには良いかもしれないっと、加入を検討する事にした。
ラディッシュは、自分の研究会に入れと言ってきたけど、僕は平民だから使える様になることが最初と断りました。


「そうか、あれだけの力を持っているから忘れてたぜ、あれは魔法じゃねぇんだな」
「ええ、ですのでまず無理ですね」
「そうか、だがお前なら使える様になる気がするぜ」


期待されてるのは良いけど、それには色々大変だから難しいと思いつつ、笑顔を見せるだけして答えないでいました。
ラディッシュが旧校舎から離れていくと、他の生徒たちが校舎から出てきて心配してくれた。


「あいつ、貴族だったんだろう、大丈夫なのか?」
「なんか生徒会に誘われたよ」
「「「「「生徒会!」」」」」


平民が生徒会に入るのは前代未聞の事で、それは凄いと祝福の言葉を僕に贈ってきて、ありがとうっと普通に返しておきました。
そして、生徒会に入ることを決めた僕は、一人で生徒会室に向かう事になったのだけど、本館の廊下で生徒(貴族様)たちに睨まれてしまった。


「まったく、どうしてここまで嫌われてるんだろうね」


貴族は偉いと思っているようだけど、国を支えているのは下で働く平民であり、いなくなったらどうなるのかなんて簡単に想像できた。
どうして分からないのかと言いたかったけど、教える気にもならないし、生徒会室に急ぐ僕は歩く速度を上げました。


「早く済ませて帰ろう」


魔道具の為に頑張ろうっと、元気良く部屋に向かい、他の生徒なんて気にならなくなった。
僕のやりたいことは決まっているから、それさえ許可が貰えれば良いとウキウキだったよ。
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