魔力を持たない僕は魔法を使いたい!

まったりー

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1章 転生

16話 邪魔者を有効活用しよう

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みんなの冷めた視線のおかげでテンションが上がっていた僕は落ち着きを取り戻し、殺気をむき出しにして向かってきている集団に気づいた。
新たな気の授業を中止して、座学をスコティ先生に任せて対応する事にしたよ。


「アルサ、これって」
「アネモネも感じたんだね、じゃあ僕は行くから後はお願いね」
「良いわよ、その後は久しぶりに外に遊びに行きましょうね」
「いいね、海とか行こうか」


それは楽しみっと、アネモネは嬉しそうに旧校舎の中に入っていき、僕は反対の方向を向いて気を体に溜め始めました。
そいつらが到着したのは5分後で、僕を見るなり剣を向けてきたよ。


「どういう事かなデロマ君、君には僕に近づかないと言う忠告がされてるはずだよ」
「うるせぇよ平民、ここで殺してやる」
「やれやれ、命は粗末にしてはいけませんよ」


デロマ君の後ろにいる人たちにも忠告したけど、杖を持っている人が詠唱を始め、戦いが始まる秒読みとなってしまった。
死んでも誰も困らないとデロマ君は言ってきて、自分たち貴族は関係ないような口ぶりだったから、大きな間違いであることを僕は宣言した。


「やれるものならやってみろ」
「そうですか、じゃあ死んでもらいますね」
「ふんっ!出来るわけが?」


デロマ君が言い切る前に、僕は高速で移動して後ろで詠唱していた生徒の意識を首への手刀で刈り取り、別空間の入口を開けて放り込んだ。
剣を持った残りの生徒とデロマ君は、何をしたんだと大騒ぎだけど、これで君たちは死んだことになると説明してあげた。


「な、なにを言っていやがる」
「分からなくてもいいよ、でも本当にそうなるんだ、だって君たちは行方不明になるからね」
「そ、そんな事ある訳がない、オレはデーマン伯爵家の長男だぞ」
「本当に残念だよデロマ君、君の親は必死に探すかもしれないね」


見つかる可能性はゼロで、お金を使い果たして没落するかもしれないと知らせると、やっと重大さを理解して謝罪の言葉を言ってきました。
でもね、すでに貴族の数名は収納に使っている別空間に飛ばされているから、もう逃がすわけにはいかなかったんだ。


「謝るのが遅かったねデロマ君、君たちは死ぬまで【時の空間】で暮らすんだ」
「たたた、頼む許してくれ、金ならいくらでも払うしなんでもする、だから許してくれ」
「あのねデロマ君、君の言うお金は親の資産ですでに僕の手中なんだ、それ以外何も無い君に何が出せるっていうのさ」
「そ、それは」


貴族の子供と言うだけのデロマ君は、王族の子供とは違い自分で動かせる権力を持っているわけではないから、結局自分のお小遣いで何とかするしかなく、その程度では僕の意見は変わらなかった。
もう説得はおしまいかと聞くと、自分がいなくなったら困るのは僕とか苦し紛れに言ってきた。


「あのねデロマ、君がいなくなってここにも調査員は来るだろうけど、証拠なんて何も出ないからね」
「ど、どういうことだ」
「だって、この場所に来たのは誰かが見てるかもしれないけど、足跡は途中でなくなってるし、死体も血も残ってないんだよ」


気を使って結界を張っているから足跡は消えていて、ここに来る前にすでに勝負は決まっていたんだ。
だから詠唱前に最後通告をしたんだけど、それも無意味で終わってしまった。


「そういうわけだからね、もう観念してね」
「ままま、まて、俺に手を出すとお前の家族は酷い目に合うぞ」
「ああ~そっちにも人を向かわせてたんだね」
「そ、そうだ、だから俺に手を出すのは止めるんだ」


そうは言っても、見せてしまった以上は逃がすわけにはいかないし、そもそも僕の家族がそんなに簡単に捕まるはずなかったんだ。
僕よりも融通が利かないから、悪手と言う他ない選択で、やってしまったかと頭を抱えた。


「な、なんだその態度は」
「あのねデロマ君、君の差し向けた人たち、きっと今頃ひどい目に合ってるよ」
「ど、どういうことだ」
「僕は別空間で生かしてあげるけど、父なら親玉を聞き出すまで拷問が続くし、母なら激マズ料理を食べさせられるんだよ」


母はそれほどでもないと思うかもしれないけど、あれは料理と言うより毒に属してもおかしくないと断言できました。
森の山菜やキノコを使って食べられるかの実験をしてて、食べれるけどそれはもう死んだ方が良いと思える味の物ばかりなんだ。


「そ、そんな・・・じゃあ、執事のカハルたちは」
「爆発音と共に空を飛んでないから妹には遭遇してないから、きっと二人のどちらかにつかまったね」
「そ、空を飛ぶ?」
「うん、妹はね、平民で珍しい子供でね、魔力を持ってるんだよ」


持ってるけど、妹は赤ん坊の時に魔力が放出できずに苦しみ、僕の治療で扱えるようになったけど、まだまだ上手く扱えないから練習台が欲しい年ごろでした。
僕とアネモネが遊び相手をしているけど、普通の人なら死んでるレベルの魔法を出してくるから、家の窓から相手は空を飛ぶと説明した。


「そ、そんな馬鹿な、平民が魔力なんて」
「今までは生き延びる事が出来なかったんだ、いなかったわけじゃないんだよ」
「ど、どういうことだ」
「君が知る必要はない、さぁ話は終わりだ」


早く別空間に行けと襟首を掴んだら、ジタバタと暴れて命乞いをしてきた。
命は保証するのに大げさと別空間の入口に放り込み、埃を落とす様に手をパンパンとはたいたよ。


「まったく、貴族って迷惑な人ばかりだね」


生徒会の人達もそうだし、僕はちょっと嫌になってきました。
でも、魔法の為にはつながりは必要だし、我慢するのは必要だから頭が痛くなってきたよ。


「それに、家族を標的にしてしまったから、僕以外が動くことになるんだよね」


平民が貴族を襲うのは力関係からもあり得ず、本来は平民が倒されて噂にもならないけど、今回は逆だから貴族として立場が大変な事になる。
僕が使う前にダメになるのは困るので、急いで説明に行かないといけなくなり、教室に戻って説明し早退することになったんだ。


「急いでるから説得はしなかったけど、アネモネまで早退する必要なかったんじゃない?」
「良いじゃない、アーチェと遊ぶのも久しぶりだし、どこまで強くなったのか見せたいのよ」
「そう言って二人は加減をしないからなぁ」


二人の仲は良好なんだけど、競い合うから抑えるのが大変で、いつもやり過ぎてしまうと注意した。
でも、それだけ成果が出ているし、今後魔法の研究が進むからアネモネも焦っていたんだ。


「アタシももっと気を扱えるようになりたいのよ」
「分かったよ、今度次の段階に行こうね」
「そう来なくちゃねアルサ、楽しみになってきたわ」


前向きなアネモネを見て、僕も頑張らないといけない気持ちになり、魔法の研究以外も何か考えるべきと思いました。
二人で家に到着すると、予想通りの状況になっていて親を止めるのに苦労したけど、何とか収める事が出来て疲れがどっとでました。
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