魔力を持たない僕は魔法を使いたい!

まったりー

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1章 転生

20話 魔道具第一号は

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魔法の文字が刻まれた杖をみんなに見せて、火の魔法であるファイアーボールが出せる事を伝え、ここからが始まりと宣言しました。


「出来たんですね、さすがです」
「ほ、本当かよ」
「魔力の量が少ないから一回しか使えないけど、それでも本当に使える」


補充には魔石を使う事になるので、結局回数制限はあり値段もかなり高くなると欠点だらけだけど、兎に角完成したから見てほしいとお披露目会を始めた。
とはいえ、使うのは一回限りで、かかしに向かって放って終わったんだ。


「「「「「おお~」」」」」
「こんな感じだけど、これからどんどん増やそうと思ってるんだ」
「だけどよ、やっぱり威力は弱いな」
「ジュバン、そんな事言わないでよ、アルサさん達は凄い事をしたのよ」


リリアが注意してくれた通り、これは快挙であり出来る様になった事がすごかった。
だから、お披露目に生徒会長も呼んでいて、ザリハ会長とその騎士ザッシュさんは口をあんぐりと開けて驚いていた。


「どうですか、何とか使える様になりましたよ」
「こ、これは驚いたよアルサ君、まさか本当に実現するとは思わなかった」
「そうだったんですか?」
「ああ、君は上層部しか知らない長年の難問をクリアしたんだ」


各国でずっと研究がされていて、それは極秘の施設を作るほどの事だった。
僕でも知らなかった事で、そうだったのかと驚いたんだよ。


「研究されていたんですね」
「それはそうさ、魔道具はなんでもできる旧世界の凄い品だからね」


魔法陣の文字は解明されていたけど、魔力が定着しなくて難航していたらしく、僕がそれよりも先に行ったことが証明されたんだ。
旧世界の技術はそれだけ魅力的で、ぜひ発表してほしいとまで言われたよ。


「そうしたいんですけど、まだまだ完成には程遠いんですよ」
「そんな事はないよアルサ君、これだけ出来れば後は国で研究が出来る」
「それでは取り上げられてしまう、僕はそれを望みません」


そういえばそうだったとザリハ会長が引いてくれて、今後も頑張るように激励を貰った。
それが無くても僕は突き進むけど、お礼をザリハ会長に伝えて次のステップに移ることにしたんだ。


「それでは、魔石を使ってどこまで威力が上がるのか試します」
「ははは、アルサ君は面白い事を言うね、普通の魔石よりもザッシュがいるじゃないか」


手伝ってくれる様で、ザッシュさんが前に出てきてくれたのだけど、僕が言う限界とは壊れるまでであり、それは一人の生徒が持つ魔力では無理だった。
そこで取り出したのは、アネモネも知っている龍の魔石で、それを出した事で全員が3歩くらい下がったよ。


「ななな、なんだよその巨大な魔石は」
「ザッシュさん、これは龍の魔石です」
「龍って、どこの・・・まさか」
「いやいや、どこぞに出てきた龍とは違いますよ、僕が遠くの山で倒した龍だからね」


大ウソだったけど、そうだよなっと無理やりに納得してくれて、僕は杖に魔力を移し始めた。
でも、試作品だからか、1000分の1も流すことなく大爆発を起こしたんだ。


「あらら、これならザッシュさんの魔力でも十分だったね」
「何を呑気に言ってるんだアルサ君、君の手は黒焦げじゃないか」
「ザリハ会長、黒焦げならすぐに治りますよ、それより実験の成功を祝いましょう」


直ぐに手を治して見せて、ザリハ会長はそれを見て驚きながらも頷いてきて、僕の魔道具第一号は素晴らしい成果を出してくれて、この後の続く事を祈ってみんなにジュースの入ったグラスを配りました。


「どうぞザリハ会長」
「素晴らしい、これはどこの工房で作られたガラスなのかな?」
「アネモル商会の扱うドルーゴ工房ですよザリハ会長」
「ふむ、聞いた事のない工房だ、覚えておくよ」


アネモネがそれを聞いて、宣伝は出来たから喜んでいました。
僕の狙いも宣伝だったけど、それ以上にお祝いもしたかったから、乾杯の掛け声を上げました。


「それにしても、これからが楽しみだねザッシュ」
「そうですね会長、それでこそアルサと思いましたよ」
「うんうん、ボクの見込んだとおりだった、ボクもがんばらないとだよ」


僕との約束を果たすべく、一杯飲んだザリハ会長とザッシュさんは、本校舎に戻っていきました。
これで僕も研究が進むから嬉しかったけど、怪我をしたからアネモネが僕をじと~っとした目で見てきたよ。


「アネモネ、君も知ってるでしょう、これくらい怪我の内には入らないよ」
「そういう考えだから心配なのよアルサ、もうあんな光景は見たくないわよ」
「そうだったね、ごめんねアネモネ」
「分かれば良いのよ」


黒焦げ程度では困るけど、僕はそれでも約束をしてそれを守れるように頑張ろうと思っていた。
それくらいでないと約束は守れないし、僕はあの時のアネモネの顔をもう一度見るのが嫌だったんだ。


「もう絶対にだよ」


それだけあの顔は記憶に残っていて、アーチェにも同じ顔をされてしまった。
自分の夢の為に誰かが不幸になるのは嫌だし、僕はそれを願っていなかったんだ。


「だからねアネモネ、僕も急ぎ過ぎたから今度はのんびり行くよ」
「それは良い判断ね、それなら休暇ものんびりできそうだわ」
「そうだね、のんびり研究と遺跡探索をしよう」


二人とも約束をしたし、探索者として登録できるから楽しみだった。
今までは秘密裏だったから、本当に楽しみで笑顔が絶えない僕は、同じ様に微笑むアネモネも楽しみと言ってくれた。


「じゃあ、その為の装備を明日買いに行こうか」
「そ、それって、デートかしら?」
「そうだね、楽しいデートになると良いね」
「そそそ、そうね」


いつもの冗談だったのに、アネモネはすごく動揺して答えてきて、僕も冗談とは言えなくなってしまった。
それでも、楽しい物にしたいのは本心であったから、これは気合を入れなおそうとプランを考えたよ。
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