【R18】竜の器【完結済】

かすがみずほ@3/25理想の結婚単行本

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ドラゴン・レース

淫蕩な血

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「ああ……、確かにこれは……目に毒だ……」
 ラファトが目眩を感じたように手を上げて額を抑え、うっとりとした溜息をつく。
 イドリスは横を向いたまま悔し涙をこぼし続けていた。
 誰にも見られたくなかった秘密を暴かれ、よりにもよってこの男に見られた……。
 このままこの男に犯され孕まされるくらいなら、いっそここで舌を噛み切って死んでしまいたい――。
 発情と快感に溺れながらも、情けなさと羞恥が止まらない。
 そんなイドリスにラファトが手を差し伸べ、背中を支えて帆布の中から助け起こした。
「……安心しろ、ここで無理矢理犯したりなどしない。――お前が私に勝つまでは、お前に子種を与えるわけにはいかないからな……」
 イドリスは怒りに眉を吊り上げ、首を横に振った。
「おっ、俺はお前に絶対に勝つが、そんなものは要らん……っ」
「こんなに下半身をグズグズに蕩かせておきながら、強情な男だな。――ほら、明日の為にも……竜の器を治めてやる。私の膝の上に来るがいい」
 宥めるような言葉と共に腕が差し出される。
 イドリスは膝を抱いてそっぽを向いたが、後ろから腹を抱かれ、無理矢理に膝の上に乗せられた。
 ラファトが軍服の上に着ていた赤い衣の帯を解き、袖を抜いて、自らとイドリスの身体を覆い包む。
「これならお前の尻の穴などみえないぞ」
「見えなければいいというものではない……っ」
 睨みつけようと後ろを振り向いて、また唇を奪われた。
 連日連夜、口付けのあらゆる技巧を教え込まれ、今夜もまた何度も愛撫された唇の粘膜は、もはやうっすらと腫れている。
 それでも抱きしめられながら舌を求められれば、つい答えてしまう体になっていた。
「……はっ、ン……っ」
 いつか竜に乗せられた時のように、ラファトの胸に背を寄りかからせ、その体温に包まれる安心感に溺れてゆく。
 イドリスが静かになったのを見計らって、ラファトは衣の下から「前」に手を伸ばしてきた。
 ドロドロに濡れそぼったイドリスの男性器を、ラファトの器用な指が包み込み、クチュクチュと体液を絡ませながら優しく扱きたてる。
「ン! ……ぅンっ、んぐぅッ!」
 口腔と性器、両方に他人から直に与えられる激しい快楽に、甘く苦しい喘ぎが止まらない。
 自分で慰めていた時もそれなりに気持ちが良かったはずだったのだが、そんなものはもはや思い出すこともできなかった。
「あふっ、気持ちいい……っ、あぁっ、そこはダメだ……っ」
 唇が外れたあとも、ねだるように腰を振り、ラファトの手に裏筋を擦り付け、精を放出することしか考えられなくなっていく。
 ところが、ラファトは急に雄への愛撫を中断してしまった。
 もどかしく悶えていると、腹を支えていたラファトのもう一方の手が深く股の間に差し入れられて、イドリスの尻の狭間を探り出す。
「ひっ! そっちは関係ないっ、何して……!!」
 膝を閉じて避けようとするが、かえって尻の穴は無防備になった。
 指先が窄まりを探り当て、ついにラファトの指がイドリスの濡れた場所に侵入し始める。
「あああ……!! やめろ……っ、入ってくるなぁ……っ!」
 いくら叫んでも、指はイドリス自らが分泌した蜜を利用して、易々と奥までにじり入ってきた。
「そんなことを言っている割には、奥までドロドロに柔らかくなっているぞ……」
 囁かれながら優しく、だが淫らに肉の中を掻き回され、頭がおかしくなっていく。
「あー……ァ……っ」
 イドリスの股は徐々にゆっくりと開き、指を咥えた穴はラファトの与える刺激を従順に呑み込んだ。
「いい子だ……よく吸い付いてくる……」
 うなじに口付けされながら、男性器を握っていたラファトの手もゆっくりと愛撫を再開した――その瞬間、思いがけないことが起こった。
 そこの感度が先ほど触れられた時よりも著しく敏感になっていて、下腹部に一気に強い波が広がっていく。
 雷に打たれたように激しく痙攣し、イドリスがラファトの手の中に精を噴き上げた。
「ああああ……っ!」
「……っん……っ?」
 ビクっ、ビクッとのけぞりながら、予想だにしない速さで達してしまったことに、イドリスは呆然とした。
 ラファトも不意を突かれたようになって手のひらをぼんやりと見ている。
 その内に、彼はふと気付いたように呟いた。
「……なるほど? お前のこれ、後ろと同時にいじると感度が増すのか……?」
「っ? ど、どういう……ンアッ!」
 会話もままならない内に、グチュ、と奥まで指を入れられた。
 同時に精液まみれの茎をヌルヌルと撫でさすられ、痛い程の刺激に涙が滲む。
「やめっ、そこっ、強い……っ!」
 睨みつけて抗議すると、ラファトは興味深げに首を傾げた。
「……。陽根というより、まるで女の陰核のような敏感な反応だな……しかもマトが大きな分、女よりも快感を拾いやすい、のか……?」
「……っ、?」
「こんな体質では、口付けのたびに精を漏らしてしまうのも致し方ない……元からか……? それとも、器のせいで……?」
 その表情に明らかに喜色を浮かべながら、ラファトがイドリスの身体を再び双方から弄び始める。
「うっ、後ろなど、触ったことがないからっ……わっ、わからないぃ……っ、アッ、ひぅっ!」
 グチュグチュと裏側から男性器の深い根元を刺激され、ジンと深く腹に響く快感に翻弄された。
 もはや雄の側は亀頭を優しく握られているだけだったが、それだけで充分だ。
 腰を揺らすだけでラファトの手の中に先端が擦れ、一方で指には雌の快感を深くえぐられて、頭がおかしくなっていく。
「あッんっ……! あアっ!」
 イドリスの嬌声を楽しみながら、ラファトが自らの唇を舐める。
「……こんな淫らな身体を代々受け継いで、アルスバーンの淫蕩な血筋というのは、恐ろしいものだな……? 侍従の子を産んでしまった王子がいるという噂も、案外本当の話かもしれん……」
 侮辱するようなラファトの言葉に傷付いて、イドリスは汗ばんだ黒髪を振り乱して叫んだ。
「お前にだってっ、その血が流れているんだろうが……っ!」
 耳元に、囁くような甘い声が答える。
「……そうだ。だから私はお前に、こんなにも堪らなく魅かれてしまうのかもな……」
 ――それは、初めてラファトが漏らした、イドリス個人への好意らしき言葉だった。
 そしてそれを聞いた途端、イドリスの下腹は引き攣るように何度も収縮し、そこに凝縮されて溜まり切った雌の悦楽が爆ぜ散り始めた。
「うあっ、ナカが……っ、俺のっ、ナカがおかしくなって……っ! んぁッ、はぁっ、イく……ん……ッ!」
 強く強く指を食い締めながら、波打つ下腹が初めての「雌」の絶頂に染められてゆく。
 もはや後戻りできない程の強烈な官能に、剥き出しの外性器と、器に侵された内性器が支配され、蜜の中を泳いでいるような甘い充実感に満たされた。
 ――こんな気も狂うような快楽が、この世に存在していたなんて……。
「うっ、あ」
 堪らない余韻と敗北感の両方に打ちのめされたまま、どうにか自分を取り戻そうとラファトの膝を離れる。
 浮かせた裸の尻を淫らに震わせ、地面に手をついてどうにか立ちあがろうとしていると、イドリスの後ろで、ラファトが赤い衣を地面に捨て、いつの間にかズボンのホックを外していた。
「ああ、イドリス……っ、イドリス……っ」
 名前を呼ばれてうっかり振り返った途端、ラファトが濡れそぼったイドリスの尻を両手で乱暴に掴んでくる。
「……っあ……、ばか、何して……!」
 逃げる間もなく、尻の狭間に熱い雄を押し付けられて、ラファトが腰を振ってきた。
「ああ……っ!」
 一瞬入ってしまうかと思ったが、ラファトのモノは濡れた尻肉の間を往復するだけだ。
 それだけで物欲しいようなたまらない気分になり、胸の奥がジリジリと焦げる。
 イドリスは無意識に這いつくばり、濡れそぼった穴を見せつけるように尻を高く上げ、ラファトの熱い雄に差し出していた。
 そこに怒張が擦れるたび、すぐにジンと前の方が敏感になってきて、渇望が止まらなくなる。
 仕方なく、雄を握り自ら擦り始めたが、後ろをいじられた時に比べると物足りない。
「イドリスっ、ああ……お前の中に入れたくて気が狂いそうだ……っ」
 ラファトの呻きに、ギュッと穴の奥が締まって、前の感度が高まった。
 入ってくればいい。早く中に入ってきて、何度も、奥まで入れて好きに突いてくれ。
 孕むまで俺を……お前ならば、好きなだけ犯していいのに……。
 イドリスの中の誰かが、背後の雄を切望し、求めて媚びている。
 逞しく太い雄の先端が濡れてヒクつくそこにグッと強く擦れてひっかかり、一瞬中に入りかけた。
 その刺激だけで、奥までそれが入ってくることを想像して、イドリスの下腹がまたギュンと強く疼く。
「あはあぁぁ……っ」
 一瞬で過敏になった雄を擦り、快楽を寄せ集め、どうにか果てた。
 ラファトも相当に興奮していたのか、同時にドロドロの熱い精が尻の間に放出される。
「はあっ、はぁ……っ」
 前をいじっていた手の中を見ると、もはや薄い液体しか出ていない。
 殆ど後ろだけで……しかも、ナカを犯される妄想だけで達してしまった……。
 まだ頭が薄ぼんやりとしたまま、イドリスは振り返り、息を荒くしているラファトの紅潮した顔を見つめた。
 今までの三日間も、この男は部屋に帰ってから、イドリスの名を呼びながら自分で処理していたのだろうか。
 ……入れたくて仕方がなさそうな癖に、自分の言い出したことを守る為にそれを堪えているこの男の愚かしさが可笑しく、そしてなぜか堪らなく可愛く思えてしまう。
 服を整えながら視線に気付いたラファトは、子供のように無邪気に微笑み、ドラゴンの挨拶を真似てイドリスの額に額を付けた。
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