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和平会議
発情の衝動
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「な、何を言って……、うンン……っ」
下着の間から手を入れられて、雄を握られる。
そこは後ろの穴を愛撫されている最中にそうなったように、痛いほどに敏感になっていて、イドリスは驚いた。
「いっ、入れられてないのにっ……俺のものがおかしくなってるっ……!?」
「お前の肉体の性が、過剰に雌に傾いてきている……。ほら、確かめてやるからこっちに来るがいい……」
ラファトがきつくなっている自分のキュロットの前立てをくつろがせ、そこから凶暴にいきり勃った性器をとり出し、見せつける。
それを目にした瞬間、何かの装置が押されたように、イドリスの理性が壊れた。
狭い馬車の中で腰を曲げたまま立ち上がり、対面の座席に手をつきながら、相手の前まで移動してゆく。
ラファトは目の前に突き出された尻を掴んで高く上げさせ、下着の紐をずらして、ヒクヒク蠢く小さな穴に口付けした。
「あ……!」
「そのまま、足を開いて腰を下ろせ……」
言われるがまま、はしたなく膝を開きながら尻を怒張の上に落としてゆく。
先走りで濡れた先端がついにそこに当たり、ゾクゾクと期待が高まった。
もはや我慢できない。
イドリスは自らそこに圧を掛け、恍惚とした表情で雄を徐々に呑み込んだ。
今朝まで男を貪っていたそこは、まだ充分に柔らかく、ラファトの形を覚えていた。
「はぁぁ……ン……っ」
壁一枚、カーテン一枚を隔てた外には人目があると言うのに、馬車の振動に合わせて小刻みに腰を振り、熱い吐息と共に男との交合に溺れてゆく。
絹のシャツの中で二つの乳首を優しく引っ張られると、それだけで淫液が結合部からトロトロと溢れて、ラファトの色のない陰毛を濡れそぼらせた。
「あああッ、はあァッ……」
すぐに果ててしまいそうな勢いで雄を夢中で飲み込んでいると、ラファトの手が下着の前を引き下ろし、イドリスの男性器を握り込んでくる。
「アッ、両方はっ、ンっ、まっ、前もイッてしまったらっ……汚れる……アアアッ!」
きゅんきゅんと雄を締め付けながら、イドリスは雄への刺激で急速に達した。
だが、後ろの淫液がどっと溢れるだけで、鈴口からは先走りしか出ない。
「え……なん……前、で果てた、のに……!?」
雌の快感に浸りながらもイドリスは怯えた。
雄を握り込んでいた手が移動して、性器の付け根を確かめるように触れてくる。
「……双玉が以前よりも小さくなっている……恐らくだが、一時的に子種を作らなくなってしまったのだ……赤子を産む時に竜の器が抜ければきっと元に戻るから、安心しろ……っ」
――こんな身体にされて、安心など出来る訳がない。
「い、嫌だ……怖い……っ、こんな身体……どんどん俺ではなくなって……っ」
不安で涙を滲ませるイドリスの腰を掴んで、激しい水音を立てながら、ラファトは容赦なく中を突き上げてきた。
「んぁ! やめっ、はあっ!」
「お前の身体がもっと美しく変わっていくのが、楽しみで仕方ない……っ。イドリス、ああ、私のイドリス……っ」
自らを犯す男の分身がどくどくと脈打ち、精を放つ。
下腹で青い光が強くなり、イドリスは乱れた熱気の充満した馬車の中で、また夢中で腰を振り始めた。
「あ……もっと……もっと中に……最後まで出してくれ……、ラファト……っ」
竜の器に狂わされ続けたまま、馬車の旅は続いた。
発情の衝動が来るのはいつも突然だった。
馬車の中でただ背中を撫でられたり、あるいは夜の野営の天幕の中で軽く口付けしただけであっても、ふとした瞬間にはもう、いつの間にか欲に堕ちている。
そしてラファトがはっきりと誘う意志を示してくる時には、確実に答えてしまう身体になっていた。
馬車で、天幕の中で、最中にあまりに喘ぎ声やよがり声が漏れてしまうので、もはや伴の御者や護衛の者と顔を合わせるのが恥ずかしくて辛い。
移動中はせめて馬車の席の端に座るようにして、イドリスはなるべくラファトと接触や会話を避けた。
それでも、食事を挟んだり、車窓の外の風景が変わってくると、つい気が緩む。
そもそも馬車は酷く退屈な乗り物だ。
無為な時間をしのごうと思えば、隣にいる男と話をするしかない。
国境も近くなってくると、そこかしこの街にまつわる共通の思い出などもあり、淫らなことに至らずとも、自然と会話が増えていた。
元々二人は同じ年齢で生まれている。
子供時代の思い出や、同じ武芸の大会での笑い話などもし始めると、共通点が意外に多く、話が尽きないことに気付いた。
――アルスバーンまでもう一息という折。
昼下がり、馬の交換で馬車が止まっている合間にも、イドリスは座席でラファトの肩にもたれながらぼんやりと話し始めた。
「この街には、帝国の戴冠式に行く途中に寄ったことがある……確か、肉料理がとても美味かった。アルスバーンでは、塩で焼くだけが主流だから……」
ラファトも揶揄うような口調で話に乗ってくる。
「お前、思い出が大体、食い気なのだな……。戴冠式の式典の後の晩餐会でも、周りのことなど目にも入れず、作法もそっちのけで食べてばかりいただろう。私は見ていたぞ」
「なっ。子供だったのだから、仕方がないではないか!」
「私はお前と同じ年だったが、言いつけを守って大人しくしていたが?」
確かに涼しい顔をしていたのを思い出して、イドリスがムッと押しだまる。
ラファトは懐かしげに目を細めた。
「――あの時のお前の姿を見て、本当はお前を竜舎に誘い、一緒にドラゴンに乗りたいとずっと考えていたのだ。……同じ年頃の子供を見たのは、お前が初めてだったからな」
イドリスがふと横を見ると、あの時には見ることができなかった輝くような微笑みに魅了され、ドキンと心臓が跳ねる。
もしも幼い頃の彼が自分のそばにやってきて、そんな風に微笑みかけ、ドラゴン乗りに誘われていたら……。
皇族席に見たこともないほどに美しい姫君がいると思い込んでいた自分は、お転婆な姫とドラゴンに一目惚れをして、生涯忘れられなくなっていたに違いない。
「その時にお前が誘ってくれていれば、サキルに乗るのにあれほど苦労しなかったろうに……」
イドリスが小さく微笑むと、ラファトがイドリスの頭を抱き、黒髪を優しく撫でてくる。
「そうだな、誘えば良かった。きっとお前はドラゴンに夢中になって、帝国に残ると我儘を言ったに違いないぞ」
「そうしていれば今頃、俺はお前よりも騎竜術が上手くなっていたかもしれないな……」
気付かれない程度にラファトの手に頭を擦り寄せて、イドリスは切なく目を閉じた。
――もしその頃に友人になれていたら、今頃の自分達はどんな関係だったのだろうと……あり得るはずのない世界に思いを馳せながら。
下着の間から手を入れられて、雄を握られる。
そこは後ろの穴を愛撫されている最中にそうなったように、痛いほどに敏感になっていて、イドリスは驚いた。
「いっ、入れられてないのにっ……俺のものがおかしくなってるっ……!?」
「お前の肉体の性が、過剰に雌に傾いてきている……。ほら、確かめてやるからこっちに来るがいい……」
ラファトがきつくなっている自分のキュロットの前立てをくつろがせ、そこから凶暴にいきり勃った性器をとり出し、見せつける。
それを目にした瞬間、何かの装置が押されたように、イドリスの理性が壊れた。
狭い馬車の中で腰を曲げたまま立ち上がり、対面の座席に手をつきながら、相手の前まで移動してゆく。
ラファトは目の前に突き出された尻を掴んで高く上げさせ、下着の紐をずらして、ヒクヒク蠢く小さな穴に口付けした。
「あ……!」
「そのまま、足を開いて腰を下ろせ……」
言われるがまま、はしたなく膝を開きながら尻を怒張の上に落としてゆく。
先走りで濡れた先端がついにそこに当たり、ゾクゾクと期待が高まった。
もはや我慢できない。
イドリスは自らそこに圧を掛け、恍惚とした表情で雄を徐々に呑み込んだ。
今朝まで男を貪っていたそこは、まだ充分に柔らかく、ラファトの形を覚えていた。
「はぁぁ……ン……っ」
壁一枚、カーテン一枚を隔てた外には人目があると言うのに、馬車の振動に合わせて小刻みに腰を振り、熱い吐息と共に男との交合に溺れてゆく。
絹のシャツの中で二つの乳首を優しく引っ張られると、それだけで淫液が結合部からトロトロと溢れて、ラファトの色のない陰毛を濡れそぼらせた。
「あああッ、はあァッ……」
すぐに果ててしまいそうな勢いで雄を夢中で飲み込んでいると、ラファトの手が下着の前を引き下ろし、イドリスの男性器を握り込んでくる。
「アッ、両方はっ、ンっ、まっ、前もイッてしまったらっ……汚れる……アアアッ!」
きゅんきゅんと雄を締め付けながら、イドリスは雄への刺激で急速に達した。
だが、後ろの淫液がどっと溢れるだけで、鈴口からは先走りしか出ない。
「え……なん……前、で果てた、のに……!?」
雌の快感に浸りながらもイドリスは怯えた。
雄を握り込んでいた手が移動して、性器の付け根を確かめるように触れてくる。
「……双玉が以前よりも小さくなっている……恐らくだが、一時的に子種を作らなくなってしまったのだ……赤子を産む時に竜の器が抜ければきっと元に戻るから、安心しろ……っ」
――こんな身体にされて、安心など出来る訳がない。
「い、嫌だ……怖い……っ、こんな身体……どんどん俺ではなくなって……っ」
不安で涙を滲ませるイドリスの腰を掴んで、激しい水音を立てながら、ラファトは容赦なく中を突き上げてきた。
「んぁ! やめっ、はあっ!」
「お前の身体がもっと美しく変わっていくのが、楽しみで仕方ない……っ。イドリス、ああ、私のイドリス……っ」
自らを犯す男の分身がどくどくと脈打ち、精を放つ。
下腹で青い光が強くなり、イドリスは乱れた熱気の充満した馬車の中で、また夢中で腰を振り始めた。
「あ……もっと……もっと中に……最後まで出してくれ……、ラファト……っ」
竜の器に狂わされ続けたまま、馬車の旅は続いた。
発情の衝動が来るのはいつも突然だった。
馬車の中でただ背中を撫でられたり、あるいは夜の野営の天幕の中で軽く口付けしただけであっても、ふとした瞬間にはもう、いつの間にか欲に堕ちている。
そしてラファトがはっきりと誘う意志を示してくる時には、確実に答えてしまう身体になっていた。
馬車で、天幕の中で、最中にあまりに喘ぎ声やよがり声が漏れてしまうので、もはや伴の御者や護衛の者と顔を合わせるのが恥ずかしくて辛い。
移動中はせめて馬車の席の端に座るようにして、イドリスはなるべくラファトと接触や会話を避けた。
それでも、食事を挟んだり、車窓の外の風景が変わってくると、つい気が緩む。
そもそも馬車は酷く退屈な乗り物だ。
無為な時間をしのごうと思えば、隣にいる男と話をするしかない。
国境も近くなってくると、そこかしこの街にまつわる共通の思い出などもあり、淫らなことに至らずとも、自然と会話が増えていた。
元々二人は同じ年齢で生まれている。
子供時代の思い出や、同じ武芸の大会での笑い話などもし始めると、共通点が意外に多く、話が尽きないことに気付いた。
――アルスバーンまでもう一息という折。
昼下がり、馬の交換で馬車が止まっている合間にも、イドリスは座席でラファトの肩にもたれながらぼんやりと話し始めた。
「この街には、帝国の戴冠式に行く途中に寄ったことがある……確か、肉料理がとても美味かった。アルスバーンでは、塩で焼くだけが主流だから……」
ラファトも揶揄うような口調で話に乗ってくる。
「お前、思い出が大体、食い気なのだな……。戴冠式の式典の後の晩餐会でも、周りのことなど目にも入れず、作法もそっちのけで食べてばかりいただろう。私は見ていたぞ」
「なっ。子供だったのだから、仕方がないではないか!」
「私はお前と同じ年だったが、言いつけを守って大人しくしていたが?」
確かに涼しい顔をしていたのを思い出して、イドリスがムッと押しだまる。
ラファトは懐かしげに目を細めた。
「――あの時のお前の姿を見て、本当はお前を竜舎に誘い、一緒にドラゴンに乗りたいとずっと考えていたのだ。……同じ年頃の子供を見たのは、お前が初めてだったからな」
イドリスがふと横を見ると、あの時には見ることができなかった輝くような微笑みに魅了され、ドキンと心臓が跳ねる。
もしも幼い頃の彼が自分のそばにやってきて、そんな風に微笑みかけ、ドラゴン乗りに誘われていたら……。
皇族席に見たこともないほどに美しい姫君がいると思い込んでいた自分は、お転婆な姫とドラゴンに一目惚れをして、生涯忘れられなくなっていたに違いない。
「その時にお前が誘ってくれていれば、サキルに乗るのにあれほど苦労しなかったろうに……」
イドリスが小さく微笑むと、ラファトがイドリスの頭を抱き、黒髪を優しく撫でてくる。
「そうだな、誘えば良かった。きっとお前はドラゴンに夢中になって、帝国に残ると我儘を言ったに違いないぞ」
「そうしていれば今頃、俺はお前よりも騎竜術が上手くなっていたかもしれないな……」
気付かれない程度にラファトの手に頭を擦り寄せて、イドリスは切なく目を閉じた。
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