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【高校生編】
あいまいな関係
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* * *
みぞれ交じりだった雨が、菅原君の家に到着したころには雪に変わっていた。
道中、透吾にひと言伝えてから向かうべきだったかな――と後悔したけど、先に弓道場に向かうほどの余裕はなかったので仕方がない。
ここを出た後、急いで行けば問題ないだろう。
「寒かっただろう? 早く入って」
門扉まで迎えに来てくれた菅原君に通されたのは、屋敷の奥に位置する広々とした部屋だった。
漆喰の壁が天窓から差し込む光をやわらかく反射し、奥の暖炉では薪がパチパチと音を立てて燃えていた。
「これ、とりあえず飲んで」
「……ありがとう」
菅原君に勧められた飲み物は、前に来た時と同じアールグレイのミルクティーだったけど、今日は美味しいと思えなかった。
「母のこと、早く教えてくれない?」
なるたけ冷静に言ったつもりだったけど、わずかに声が震えているのが分かった。
菅原君はそんな私の様子を心配そうに見ていたけど、言いにくそうに口を開く。
「確かな情報ではないんだけどね……他から耳に入るよりはいいかなって。その、もちろん噂はできるだけ止めるように手配するんだけど」
「気を使わなくていいから、はっきり言って」
先を急かすと彼は一度だけ大きく息を吐き、信じられない言葉を発した。
「君のお母さん、どうやら違法な薬物に手を出しているらしい」
――と。
鈍器で頭を思いっきり殴られたような気がした。
痛いくらいに拳を握りしめ、必死に現実をつなぎとめようとする。
「嘘――だよね?」
必死に絞り出した声はあまりにも小さくて、頼りなかった。
「出所は言えないんだけど、どうやら信ぴょう性が高い噂みたいで……片桐さん、なにか思い当たることはない?」
思い当たることなんてありすぎる。
あの女の異常さなら、私が一番よく知っている。
狂ったように暴れる様は、酒に酔っているだけだとは到底思えない。
でも、まさか――どうして?
それに、どこにそんなお金があるっていうのよ。
頭がうまく回らない。
目の前で菅原君がなにか言っているけど、内容が入ってこない。
ただ、必死に息を吸って、息を吐いて。
それから彼に「ごめん、帰るね」とだけ告げて屋敷を後にした。
みぞれ交じりだった雨が、菅原君の家に到着したころには雪に変わっていた。
道中、透吾にひと言伝えてから向かうべきだったかな――と後悔したけど、先に弓道場に向かうほどの余裕はなかったので仕方がない。
ここを出た後、急いで行けば問題ないだろう。
「寒かっただろう? 早く入って」
門扉まで迎えに来てくれた菅原君に通されたのは、屋敷の奥に位置する広々とした部屋だった。
漆喰の壁が天窓から差し込む光をやわらかく反射し、奥の暖炉では薪がパチパチと音を立てて燃えていた。
「これ、とりあえず飲んで」
「……ありがとう」
菅原君に勧められた飲み物は、前に来た時と同じアールグレイのミルクティーだったけど、今日は美味しいと思えなかった。
「母のこと、早く教えてくれない?」
なるたけ冷静に言ったつもりだったけど、わずかに声が震えているのが分かった。
菅原君はそんな私の様子を心配そうに見ていたけど、言いにくそうに口を開く。
「確かな情報ではないんだけどね……他から耳に入るよりはいいかなって。その、もちろん噂はできるだけ止めるように手配するんだけど」
「気を使わなくていいから、はっきり言って」
先を急かすと彼は一度だけ大きく息を吐き、信じられない言葉を発した。
「君のお母さん、どうやら違法な薬物に手を出しているらしい」
――と。
鈍器で頭を思いっきり殴られたような気がした。
痛いくらいに拳を握りしめ、必死に現実をつなぎとめようとする。
「嘘――だよね?」
必死に絞り出した声はあまりにも小さくて、頼りなかった。
「出所は言えないんだけど、どうやら信ぴょう性が高い噂みたいで……片桐さん、なにか思い当たることはない?」
思い当たることなんてありすぎる。
あの女の異常さなら、私が一番よく知っている。
狂ったように暴れる様は、酒に酔っているだけだとは到底思えない。
でも、まさか――どうして?
それに、どこにそんなお金があるっていうのよ。
頭がうまく回らない。
目の前で菅原君がなにか言っているけど、内容が入ってこない。
ただ、必死に息を吸って、息を吐いて。
それから彼に「ごめん、帰るね」とだけ告げて屋敷を後にした。
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