例えばこんな来世でも貴方は私を再び三度

 人心地付き、呼吸を整えたあの人は其れでも抱きしめる手は離さない。自分も耳元に埋めた顔を上げる気には成らない。断じてもらい泣きした事を悟られない様にしている訳ではない。

 「…気に入ったか?」
 何をとは言わない、まぁ言うのも野暮ですが。

 「えぇ…嬉しい」
 当初の意に反して、現在の意に服従して思うままの感想が口を突いて出た。

 「着けてる所、良く見せてくれないか」
 あぁ、もう、そんな言い方をされては恥も外聞も埒外に飛び去ってしまう。胸の上に二の腕を突き上体を起こす。二つの指輪は微かな音を立てて再び重なった。

 もう良いだけは流しつくした筈の煌きがあの人の瞳に宿る。

 「あぁ、確かに―――――


※本編終章より引用
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