フェロモン

ザボン

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第5章

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函館で休憩となった。
本郷といい男がいないか街を物色していると、田舎の父親から電話があった。lineとかは使えない人だ。
向こうから連絡してくることは珍しいのでドキッとした。(母ちゃんに何かあったのか?)と、不吉なことを考えてしまった。
「そっちはどうだ?こっちは近所の人に会うたびに“マコトちゃんの四菱に預金してきたよ”
と言われる。みんなお前を応援してんだぞ」
と言っていた。
とっくに退職しているが、親には言えてない。
少し涙がでた。
「東京は寒くないか?風邪引くなよ。それでな、この前、元さんからサプリメントをもらって飲んだら、たいそう元気になった。東京の息子が送ってくれたようだ。それでマコトも探して送ってくれないか?メジロ粉って言うのだが。こっちじゃ手に入らんだで」
親父も僕のフェロモンを欲していた!
「うん、探してみる」と言って電話を切ると、しばらくして兄貴から電話があった。
7才上で結婚して実家に住んでいる。
こないだ子供が生まれたと連絡がありお祝いを贈ったのだ。たしか名前は、、公太君だったか?
「マコト、久しぶりだな。さっきじいちゃんから電話あったか?」
子供が生まれてから、親父を“じいちゃん”と呼んでいるようだ。
「メジロ粉のことだろ、とってもいいサプリだと言ってたが、精力増幅剤だ。こっちでも手にはいるから気にしなくていい」
兄貴もメジロ粉を知っていた。
「実はメジロ会の会員になって定期的に手にはいる。公太が生まれたのも、実はメジロ粉のおかげた」
(公太と僕の関係はどうなるのだ?)
よくわからなくなった。
メジロ会の会長が僕だって、気づくのも時間の問題かもしれない。パンフレットなどに大きく写真が載っている!
兄貴に本当の事を話すか悩みどころだ。
そんなことを考えていると、「マコト様、そろそろ出発の時間です」と本郷が言った。
ここからはおとなしくリビングにいた。

テーブルには牡蠣の燻製や山芋の磯辺巻きなど“つまみ”が並べられている。調理部が精力が付くものを準備したのだ。支部についたら、また支部の幹部を相手にしなければならない。
本郷の膝枕で一緒にテレビを観ながら
本郷がクチャクチャと咀嚼した料理を口移しで僕にくれる。なので温度もちょうどよい

「そういえば」
口の中の食べ物を全部僕に与えてから本郷が思い出したように話始めた。
「本部を松山に移します」
と言った。
僕は口の中の牡蠣を飲み込んで「何で松山なんだ?今の日比谷でいいじゃん、便利だし」
元々大きな公園だったところを整備して本部がたてられている。
地下にはホームがあり、そこから専用列車で新幹線や在来線に乗り入れられる。
「今の場所だと飛行場が作れないのです。支部をアジア全域に広げるので、飛行機にもすぐに乗れた方がよいですから」
そう説明して別の料理を咀嚼し始めた。
なるほど、今は沖縄支部に行くときや、急ぐため飛行機移動の時は、屋上のヘリポートから羽田空港に行っているのだ。
また口の中のものを僕の口に移してから続けた。
「それに、先月日本政府と話して、四国をメジロ会の領土としてもらうことになったのです。独立国として」
僕は驚いて口の中のものを飲み込んみ言った。
「じゃあ、僕は会長ではなく国王ってことか!」
本郷は微笑んで、「そうなりますね。国名はそのまま四国でいいですかね?」
と言った。
元々の国の機関や、自治体はそのまま引き継ぐようだ。
すると今までの北海道から沖縄までの支部は、海外支部となる。
それに加え、韓国、中国、台湾、タイに支部を置く計画だ。
(外人も相手するのか)
少しドキドキした。

「でも、メジロ粉そんなに生産できるの?僕が毎日射精しないと間に合わないのじゃない?」
と素朴な疑問を聞いてみた。
本郷は「その通りです。そろそろマコト様には話さないといけませんね。今回の支部回りの最後にお話しします」
と言われた。
「ふーん」
まぁ、僕の精液が毎日採取されると、萎えてしまい幹部達に直接与えられなくなる。
採取する医療スタッフもイケメン揃いなので僕はそれでもいいのだが、、、
(それは第1秘書の本郷が考えることだ)
と思い、そして、
(北海道支部ではどんなご馳走を用意してくれてるんだろう。料理も男も!)
と別の事を考え始めた。

今回の支部回りは北海道、仙台、名古屋、大坂、広島、福岡、沖縄の順番だ。
福岡までは新幹線に連結された専用車両で行き、最後に福岡からは飛行機で行く。
メジロ会がリクエストした特別機だ。
飛行機の中では、第2秘書を呼んだ。3人で個室に座り、鍵を閉めて本郷から話を聞いた。極秘のようだ。
「マコト様のフェロモンはマコト様が特別なわけではありません」
驚いた。
僕が持つ特別なフェロモンのはずだ。
「私がマコト様の会社に行ってこの話をしてから、毎日薬を飲んでますね」
恥ずかしいプライベートで脅され毎日飲まされていたが、今では日課となり欠かさず飲んでいる。
「あれは私が開発したホンゴタマチンと言う成分です」
聞いたことがない。
「その成分がマコト様の睾丸に溜まり、精液が作り出されるときに作用してフェロモンとなります」
「じゃあ、僕でなくても?」
と聞くと頷きながら
「若い男性なら誰でもフェロモンを放出できます」
と言った。
ショックだった。僕でなくても誰でもよいだなんて・・・
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