若者たち

ザボン

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第二章◆◆◆暖人

第十八話

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斉藤はホッとしていた。

俺は本郷さんに叱られてしまった(本当は俺のせいではないのに)ので、シュンとしていた。

本郷さんが部屋から出てきて、「今日は暖かくなるようなので、昼飯は海岸でバーベキューをするぞ」
と言った。
、、、それは流石に無理だ!
海岸まで行って帰ってくるだけであんな思いをしたのに、海岸に滞在するなんて!
俺は何とか思いとどめさせられないか考え、斉藤に目でこう訴えた。
さきほど、人(犬)に罪を被せて、少しでも人の心があるなら、無理だと、反対してくれ。
お前はしゃべれるだろ!

 しかし、斉藤も本郷さんの先程の迫力を見ていて、意見に反対などできなかった。

そして、バーベキューセットと食材を2台の台車にのせ、それぞれ斉藤と伸一が押した。須藤が撮影係で本郷さんかリードをもった。
当然、お散歩セットも持っている。
俺はドキドキした。
本郷さんは、俺に相当怒っていて、どん底まで落ち込むような屋外バーベキューなど提案したんだろう。また、リードを自ら持つのは、海岸に行くまでも俺をどん底まで恥ずかしめようとしてるに違いない。
俺は警戒レベルをMAXにした。

道に出ると、歩いてる人の層が昨日と随分違っていた。多分昨日は昼過ぎだったが、今日は、まだ遅めの朝だった。
遠くの方に犬をつれている人がいた。
昨日、ウンコ付き肛門をサラし続けるのがあまりにも耐えられず、早く別荘に帰りたかったので、膝なしよつん這い歩きも随分上手くなり、みんなが歩く速度と変わらなくなった。
逆に、今日は2人台車を押しているので、本郷さんと俺の方が早い位だ。
それでも本郷さんは速歩きをするので、俺は負けまいと、スピードをあげ小走りになっていた。
本郷さんは額に汗を光らせながら、ポン太は速いな。と誉めてくれた。
怒ってると思っていた本郷さんに誉められたので嬉しくなった。本郷さんはミネラルウォーターをごくごく飲んでいた。
俺も小走りまでしたから、喉はカラカラだった。
やっと追い付いてきた台車組の片方から欠けた皿をだし、それにミネラルウォーターを入れてくれた。
渇き切っていた僕の喉はすごい勢いで、その水を吸収した。
本郷さんは、カロリーメイトを食べだしたが、少し割って俺にも食べさせてくれた。
そんなことをしていると、前方から視線を感じた。
犬の散歩の井戸端会議のようなグループで、こちらを見てヒソヒソと話している。
昨日は斉藤が高校生を蹴散らしてくれたので、今日は本郷さんに期待し、じっと顔を見つめて(蹴散らして)と念じていた。
しかし、、本郷さんは「どーもどーも、暑いですねぇ」と言って、リードを強い力で引っ張りながら近づいて行った。
俺は訳がわからなかった。
「何してるんですか?」
怪訝そうにリーダー格と思われる婦人が聞いた。
「いや、お見苦しい物をお見せしまして恐縮です、まぁ、世の中には、いろんな趣味の人がいましてねぇ、こないだも、、、」と違う話にすり替えて、輪に入ってしまった。
おばさんたちの顔はこの高さからはよく見えないが、犬たちはよく見えた。犬の種類は知らないが、小型犬が4匹と、大型犬(たしかシェパードってやつかな)が1頭だった。
小型犬たちはそのシェパードを意識していたが、僕が来て、犬たちの間の空気が変わった。
その結果、シェパードが僕を敵対してるようで、唸りながら落着きがなくなりうろうろし出した。
俺は怖くて震えてしまった。
しかし、シェパードと俺の間には常に本郷さんがいることに気がついた!
世間話しながら、俺を気にかけてくれていたのだ。
すると別の大型犬をつれた人が通りがかり、シェパードはそちらを牽制し出した。
ホッとした僕は顔を落として気を緩めていたら、隣の小型犬が僕の顔をなめだした。
こんなに間近で子犬の顔を見たことなかったが、可愛いすぎる。すると今度は俺の唇をなめだした。カロリーメイトの粉がついていたのだろう。唇をその子犬に奪われ、俺は軽く勃起してしまった。
これ以上は、マズイ、、そう思い顔を高く上げてお座りの体制になった。
しかしその子犬は俺の太ももに足をかけ唇を奪いにきた。
その子犬の飼い主が「あらあら、ダメよリリーちゃん」と言って抱き上げた。そして俺を見て「あら、お兄さん。案外可愛い顔してるのね」と、俺の話題になりそうになったので
本郷さんは上手にその場を切り上げた。そのとき、勃起している俺のぺニスをチラッと見ていた。
そして、また海岸を目指し歩きだした。
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