若者たち

ザボン

文字の大きさ
42 / 136
第七章◆◆◆目黒台高校ラグビー部

第四十二話

しおりを挟む
🔺42
翌日、目黒台高校ラグビー部の幹部会が開かれた。幹部と言っても尚輝を除く3年全員だ。
部室で練習終わりに、後輩と尚輝を帰らせ残って集まっていた。
俺は皆に切り出した。「キャプテンのことだ」
あれ以来、尚輝以外はその事に触れるのは
タブーだと考えて誰も口にしていなかった。
そして、夏輝先輩との会話を皆に聞かせた。
「どうするか?」と仲間に問いた。
まずは夏輝先輩の周辺を調べる。
なにもでなかったら、皆でもう一度夏輝先輩に、他に手がかりを知らないか迫る。
となった。

進は、目白台大学に行った他の先輩に連絡をした。進学先を選んでることを話し、「目白台大学のこと教えてもらえないですか?」と言ったら快くOKしてくれた。伊藤先輩の講義がない時間をきいて、大学のキャンパンスを訪れた。
一通り大学のことを聞きおえて、「そう言えば随分前ですけど、夏輝先輩と三浦先輩にお会いしたんですよ」と、話題にしてみた。
そして、「その時の二人がちょっと言い争ってたようで、夏輝先輩が泣いてたようなので気になってたんですよ。あっ、この話をしたこと、二人に内緒で」と言うと話に乗ってきた。
「夏輝は、最近なにかに悩んでいた様子だった。最近淳と連絡とってるか?と聞かれたので、淳が関係してるかも知れないと思ってた」
と、俺の話と繋がったことで、伊藤先輩も満足そうだった。
「寮の同室の3年の須藤先輩と九十九里旅行に行くことになったと喜んでいたので、元気になって良かったなって思ってたんだけど帰ってきて、また元気なくなって上の空なんだよな」と言った。
そして、「そう言えば、、」と、もうひとつ情報をくれた。

俺は早速幹部会を開き、この事を報告した。
「夏輝先輩は九十九里で何かあったと思うが、それがキャプテンと関係してるのかな?」と、近藤が言った。
「九十九里で調べたいが、ちょっと遠すぎるな、やはり夏輝先輩にもう一度聞くしかないか」と思った。

俺は「ラグビー部の部室にキャプテンの私物があり、あれ以来全然来ないので、困ってる」と夏輝先輩に相談し、「預かってもらえませんか?」と相談した。
部活の無い日曜日に、部室まで取りに来てもらうこととなり、学校で待ち合わせた。
夏輝先輩は、ゴメンゴメンといいながら5分遅れて来ると一緒に部室に入った。
そこにはラグビー部幹部が揃っていた。

僕は皆がいたので「お前ら、どうしたんだよ」と驚いて聞いた。
「こないだの話を皆にしたら、キャプテンのこと心配して、今日夏輝先輩がキャプテンの私物取りに来るなら、その時皆で話を聞こう、となったんです」
と俺は説明しながら椅子を勧め、自分も座った。他の3年部員たちは立って聞いている。
「話をって言っても、、こないだ話したことをもう一度話すのか?」と僕は進の顔を見て聞いた。
「いや、須藤って奴と行った九十九里のことです」いきなり俺が言うと「どうしてそれを」と、明らかに狼狽していた。
「九十九里でキャプテンと会ったのですね」少し強い口調で夏輝先輩を尋問すると、「あぁ」と即座に答えてから「はっ」とした顔になった。
「その時の様子を教えてください」
幹部全員が1歩夏輝先輩に迫った。
ラグビー部3年はガタイが良い奴が多く、小柄な夏輝先輩への圧は凄かった。
夏輝はおどおどしながら話し出した。

「俺と須藤先輩が旅館に着くと、同じ寮の2年生の鈴木先輩が、本郷と言う男の人と来ていて一緒に夕食をって、なったんだ」
僕は一言づつ確認しながら話した。
「その本郷というのは、須藤先輩の先輩らしく、鈴木先輩と二人で本郷に気を使ってた」
とっさに、本郷を悪者にする言い方で話を進めることにした。
「夕食の個室に入ると、その、、寝ている裸の男の上に刺身が盛り付けられていて、、その男が、、」
そこまで話すと夏輝先輩は言葉を詰まらせた。
俺が「その男がキャプテンだったのですね」と聞くと、夏輝先輩は頷いた。

「その時の写真を見させてください」
写真があること前提で進は要求してきた。
僕は「写真なんか、、」と言ったところで手にしていたスマホを奪われ、無理矢理の僕の指紋で解除した。他の3年部員たちも集まってきて、僕のスマホのギャラリーを見られた。
そこには須藤先輩から送られてきた、あの写真が保存されていた。

俺は、唾を飲み込んだ。
刺身を盛られたキャプテンのぺニスは勃起していて、海草や刺身で飾り付けられていた。
両脇には男が二人づつ写っていて、その一人が夏輝先輩だった。
夏輝先輩の表情は困った様子だった。奥に写るキャプテンの顔の口元がひきつっていた。
俺はこの写真を見て勃起してしまった。エロすぎる。こんな格好をさせられ、恥ずかしがっているキャプテンが欲しかった。
他の3年部員たちも写真に釘付けで、股間を膨らましていた。
夏輝先輩は俺の手からスマホを奪い取り、「もういいだろ」と言った。
俺はその写真が欲しかったが、もらう理由が思い付かなかった。

僕は、この場所に一緒に居たのに助けなかった事を責められると思っていた。
しかし、誰も責めるものはいなかったので助かった。
進が言った。
「この3人が絶対に関わっていますね。
この三人を調べましょう。」
僕は慌てて「須藤先輩は関係ないよ、淳と会ったこともないし、この男体が僕の友達だってことも知らないし、、きっとこの本郷ってやつが何かしたんだ」と言った。

まず、この本郷ってやつの事を調べてください。と頼み、3日後に結果を教えてもらう約束をして、夏輝先輩を帰した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...