若者たち

ザボン

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第十二章◆◆◆宮崎先生

第七十九話

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翌日には和馬の足の腫れがひき、なんとか歩けるようなっていた。私は和馬を避けていた。昨日、和馬を見てムラムラしてしまい、とんでもないことをしてしまった。
仙頭先生の携帯から着信があった。
今回、仙頭先生は同行していなかった。
「宮崎先生、どう言うことですか。今朝早くに和馬が泣いて電話をしてきた。昨日宮崎先生と何かあったと言うのだが、要領を得ない。何があったのですか」と聞かれた。
「私が全部悪いんです。和馬に謝ります」と言って電話を切った。
普通に考えれば懲戒免職は免れない。
なんとか和馬に許してもらおうと、和馬を探した。

結局、和馬は足を怪我していたので、誰かしらが一緒にいて、二人で話すチャンスがなく、謝ることができずに解散場所の駅まで戻ってきてしまった。
そこには和馬の保護者が車で迎えに来ていた。たしか、警察官だ。私はその場に座り込んだ。

和馬は島津さんに「本郷クリニックに寄って」と頼んだ。先生は僕の足を見て、湿布を貼り直してくれた。「報告する約束だったから」と言って、動画を見せた。「こうなったことは、お前が望んだことだな」と聞かれたので、「うん」と答えた。島津さんは少し寂しい顔をしていた。

◇◇◇

駅で座り込んでからしばらくだった。
解散となり、誰もいなくなった。
私はのそのそと歩き出して職場の連絡網をスマホで確認した。そこには職員の連絡先と住所が載っている。

仙頭先生の家はふるいアパートだった。
「202号室だったな」連絡網で確認してドアの前に立つと、(仙頭)と厚紙に書いた表札が貼ってあった。(今時珍しいな)と思いながら、呼び鈴を押したが、留守のようだった。
私は少し時間を置いてみようと、周りをうろついていた。
裏は、大学の寮みたいだ。仙頭先生は目白台大学出身で、寮住まいだったと聞いたことがあったが、ここだったのか。表札に(目白台大学生寮)と掲げられていた。
何となくその寮に沿って歩いていると、窓から中が見え、若い男がまっ裸で座っている。
透明な箱に入り、ぺニスには何かつけている。(何やってるんだ?)と目を凝らすと、その中の男、仙頭先生と目があった。仙頭先生は明らかにうろたえている。俺はぺニスにつけているものが貞操帯だと認識した。

俺は(明らかにいけないものを見てしまった)と感じてはいたが、知りたかった。
単に興味もあるが、和馬を犯してしまったこの状況を好転させる、何かのきっかけにならないか?つまり、このことと引き換えに仙頭先生を味方につけられないか、とも考えていた。しばらく最寄駅のドトールで時間を潰していると、仙頭先生から“これから会えないか”とショートメールがきた。
俺は“仙頭先生のアパートに行く”と、返信した。

アパートで、二人で向かい合って座り、ずいぶんと時間がたった。
どちらからどう話すべきか、整理ができていない。
まず口を開いたのは宮崎先生だった。
「俺は昨日、足を怪我した和馬をホテルに送り、なぜかムラムラして犯してしまった。
仙頭先生から連絡をもらい、謝ろうとしたけど、二人になるチャンスがなくて、謝りそびれている。訴えられたら終わりだ」何も隠さず、今自分が置かれている状況を話した。
「それで私のアパートに何のために来たのですか?」と聞かれた。「和馬とは、再勝負であんなことをしている。今回はその、和馬の体内に射精してしまったが、そんなに大差はないのではないかと」
再勝負でのシックスナインのことを言っているのだろう。
「再勝負のことを知っている仙頭先生に意見を聞こうと思って訪ねたら留守で、裏は仙頭先生の母校の寮で、そこに住んでいたと聞いたことがあったので、何となく見ていたら・・・」今度は仙頭が話す番になった。

「俺は性的にある人に支配されている。その人の指示で貞操帯をつけていて、その鍵を目白台大学の後輩に託されているんだ」俺は表情を変えずにたんたんと話した。「だから射精が必要なときは、寮に行ってあの場所で鍵を開けてもらうのを待ってたんだ」
宮崎先生が質問した。「鍵が開いたらあの場所で、その、、オナニーするのか?」と聞かれ、そうだと答えた。
次ぎに「学校に来ているときも、ずっと着けているのか?」と質問をして、仙頭先生がうなずいた。

俺は仙頭先生に、肝心な事を最後に聞いた。「ミスター目黒台高校コンテストや、その再勝負は、この事と関係あるのか?」
今までたんたんと答えていた仙頭先生が答えを詰まらせた。
「どう関係してるのですか?」と、被せて聞いた。
仙頭先生は話すべきか悩んでいるようだった。
「仙頭先生は私の弱味を握っています。和馬から泣いて電話をもらった。と証言すれば、私は懲戒免職どころではなく、逮捕される。ただ、そうなれば私は仙頭先生のことも学校じゅうに言いふらす。俺たちは、一蓮托生だ。協力して二人が最善になるように考えましょうよ」
仙頭先生は「齊藤に相談する」と言い、アパートの外で電話をした。
ほとんど待たされることなく、戻ってきて、「今から齊藤も来る」と言った。
「まさか、その後輩の齊藤ってやつに、俺と和馬の話もしたのか」と怒って聞いた。
電話をすると言い出したとき、口止めしなかった事を後悔した。
すると、ガチャとドアが開いて、コロンで一緒に審査員を勤めたバイトが現れた。
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