若者たち

ザボン

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第0章◆◆◆本郷物語

#19◆◆◆木下物語

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移送車には他の囚人も乗っていた。
俺は射精するタイミングを逸し、そのまま裁判となった。
判決は懲役1年で執行猶予はつかなかった。俺はそのまま前橋刑務所に送られた。

悶々としながら移送車で揺られていた。さすがにぺニスはなえていたが、不完全燃焼で一刻も早く続きをやりたい。
しかし完全に監視されていて、ぺニスに触ることもできずに、前橋刑務所に収容された。
移送してきた看守から引き継ぎとして「陰部検査の途中であります」と敬礼しながら伝達され「陰部検査の途中、了解しました」と受けた。すでにおあずけをくってから27時間は経過している。
すると、移送車で一緒だった兄ちゃんも、連れてこられ、一緒に検査を受けることになった。まず看守に名前を聞かれ、名前を言った。そいつも聞かれ「春田一男です」と名乗った。
ここでも全裸にさせられ、肛門をもてあそばれた。看守のなかで、誰が一番手が小さいかを比べだした。
小柄な若い看守となると、石鹸で手をヌルヌルにして俺と春田のケツに片方づつ突っ込んだ。「痛っ、痛っ、無理です、無理です、入りません」と訴えたが、俺の悲鳴を無視している。「どちらが先に手首まで吸い込むかな」と看守のやつらはかけを始めた。
結局、春田のケツの穴には手首まで突っ込めたが、俺の方は入らなかった。
「春田、お前の検査は終了だ」と言われ、連れていかれた。「木下、お前、ケツの穴に手を入れさせないのは、何かを隠してるからだろ」と言われ「法務省のマル秘器具での検査をする。マル秘だから目をつぶれ。何種類かの器具を使い、薬品検査をするぞ」と言われ目隠しをされた。
俺は五種類の器具で検査を受け、五種類の薬品をケツの穴の奥に注入された。
検査を実施していた看守の数と一致した。
「よし、こいつを第32房へ収容しろ」ドアの外にたっていた若い看守が言われ、連れていかれた。
途中で別室に連れ込まれ、「検査の続きだ」と言われて、立ったままケツの穴にぺニスをぶちこまれ、そいつは射精した。俺のケツはすでになにも感じなかった。
服を着るように命じられ、歯ブラシやタオルなど生活用品が支給されたのち、第32房に収容された。
そこでは、4人の囚人が先程の春田を素っ裸にして犯していた。春田はすでに抵抗をあきらめてされるがままだ。
その様子を見ている囚人にむかって「こいつも新入りだ、1日に二人も新入りが入ると忙しいな、こっちも可愛がってやれ」と言うと、その囚人は両隣にいる別の囚人を促して、俺を中に引き入れさせながら、すでに俺を脱がし始めていた。俺が収容された監房は懲役が10年以上のやつらばかりだった。第32房で一番幅を利かせていたのは、30代のヤクザの幹部らしく、若い看守へ指導までしていた。
春田はそれほど長くはないが、3回目のようだ。刑期が1年の俺は目の敵にされた。
毎日交代で同房のやつらや、看守に犯された。

刑期をどれだけ耐えて待ったことか。しかし、受刑態度が悪いと、刑期を2回延ばされた。
面会も誰一人なかったし、手紙も来なかった。
ヤクザの幹部が「そろそろ飽きた」と看守に言うと、3回目の刑期延長はなく、出所が決まった。俺の肛門は肘まで入るようになっていた。

収監されてから1年半が経ち、ようやく出所となった。
門を出るとき「二度と来るなよ」と、ドラマなどで聞く台詞を言われた。
門の外では本郷が待っていた。

「木下先輩、お疲れ様でした」と俺は言った。刑務所の最寄駅に隣接するファミレスだ。俺は高3、大西先輩は高校を卒業して社会人になっていた。
俺は木下先輩達が俺の名前を出さないでくれたことに、恩義を感じていた。
木下先輩は20才のはずだが、もっと上に見えた。俺は木下先輩が逮捕されたあとの事を話した。
「あの後、水泳部は解散となり、吉田先輩と米山先輩、水泳部の深津キャプテンは退学になりました」当然、木下先輩も退学にっている。「そして、先輩を訴えた村上ですが」ここで、ジュースを一口飲んで続けた。「今は休学して精神病棟に入ってます、もう1年以上です」と言った。
「えぇっ?」木下先輩は驚いて「どうしてだ?」と聞いた。
「村上はあのあと、誰かにこの動画で脅されたのです」と言って、俺はタブレットで動画を見せた。周りからは死角になっている席だったので良かった。
それは、水泳部の更衣室で回されている姿や、教室の前にたってぺニスをシゴいている姿だった。
「これをバラまくぞって」
そういって、ジュースを飲み干した。
「あのとき、誰が撮影なんか」といいかけ、気づいたようだった。
「初めは、誰かわからない相手に、もっと恥ずかしい姿を自撮りして送れと言われてたらしくて、要求にしたがったようです。見ます?」と言って、タブレットを操作し、フォルダーをあけると、動画ファイルが数十個入っていた。
俺はジュースのお代わりをとりにドリンクバーに向かった。
その間に、木下先輩はファイルを次々と確認していった。
席に戻ると「ね、とてもじゃないけど流出したら生きていられないような姿ですよね」とにこやかに言った。
その中の数動画は、誰だかわからないように顔をモザイクで加工されている。
「この動画は公開され、始め濃かった顔のモザイクがだんだん薄くなっていくんです、言うこと聞かないと」そう言い、1~5までふられている動画ファイルを順番に見せていった。5は知り合いが見たら間違えなく村上だ、と断言するほど完全に顔が特定出来る薄さだった。
「3の公開までで発展場での全裸一泊を実行してましたよ」と俺は報告した。
そして、その一泊の動画を再生した。
それは、俺が刑務所で味わった以上の侮辱的行為だった。
その中には、顔は映ってないがどう見ても本郷と思える人間もいた。
「このあと、家から捜査願いが出されて、歌舞伎町の公園で保護されたんです」段々と声が小さく震えてきた。「そして学校を休学して、入院したらしいです」と言った。
俺はなぜか涙が出てきた。
木下先輩は画面から俺の方にゆっくりと目線を移動してきたので、震える声で報告した。「カタキハウチマシタ」

木下先輩は家から勘当され、帰る家がないので住み込みで働ける職を探すと言った。
そして、「職が見つかるまで、事務所に寝泊まりさせてもらえないか?」と相談された。
「実は事務所は木下先輩が逮捕された時に摘発されて、解散となりました。頻繁に出入りしていた木下先輩もそこの若いやつの一人と警察は思ったようです」木下先輩は、かなり動揺していた。「事務所を家宅捜査され、木下先輩とは無関係となりましたが、いろいろボロがでて・・・」
そして、「住み込みの職が見つかるまでは、俺の家にいてください」と誘った。木下先輩は「本郷のご家族に迷惑になる」と遠慮したが、水泳部での一件で、俺の名前を出さないでくれたことに、俺は恩義を感じていて、「そのくらいさせてくれないと俺の気が済みません」と言って、来てもらうことになった。
「ところで、ご両親は出所の事はご存じなのですか?」と聞いてみた。「刑務所にいる間に、俺が逮捕されたことで両親が離婚して、母親の連れ子だった俺は、戸籍上“秋川”と姓が変わっていることだけを知らされ、それ以降連絡は来ていないんだ」となんとも複雑で重い回答だった。少し気まずくなりそうだったので、あえてアッケラカンと「なら、今後呼び方を変えた方がよいですよね、秋川先輩」と言った。「そんなの、どっちでもいーよ、俺は俺だっ」と秋川先輩は怒るように言った。
「そういえば、大西はどうした?」も聞かれたので、「卒業してからは、あまり連絡がないんです。新しい彼氏ができたのかも」と、遠くを見つめながら答えた。
その事については、秋川先輩はそれ以上なにも聞かなかった。
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