近未来絵図

ザボン

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第二章~マウント取り合う悲しき雄たち

6 ~信頼していた店長が~

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春田は帰っていった。
そのとき
 “ドアの鍵は閉めるな”
 “外出するな”
 “全裸でいろ”
 “無許可での射精禁止”
とチラシの裏にマジックで書いて冷蔵庫に貼っていった。
僕は仕方がなくコーヒーショップをやめると店長にLINEをした。
かなりシフトに入っていたので、店長は焦って履歴書に書いてあった僕の住所を訪ねてきた。
「おい信一、急に辞めるってどう言うこと、、だ、よ」いきなりドアを開けて入ってきた店長に全裸の僕は股間を慌てて隠すしか出来なかった。
「あれ、わりぃ。一人で楽しみちゅうだったか」と、言いながら部屋に上がってきた。
店長はそういうタイプだ。
僕は「いや、コーヒーショップを辞めたいわけではないのですが・・・」
事情を話した。
全部聞き終えると
「そうだな、女性社会になって、男性は二分したよな」
僕は意味がわからず「二分て?」と聞いた。
店長は少しあきれた顔をして「女性に支配された男は、鬱憤がたまり誰かを支配したいと思うだろ。女性は法律で守られてるから男を支配するんだ」
僕は春田に支配された。
支配を“する方”か“される方”か、の二分だとやっとわかった。
(僕は支配される側になったのか)
そう考えていると、LINEの通知があった。
春田からだ。
僕がこの部屋で春田に犯されたり春田のペニスをしゃぶっている動画が送られてきた。
僕の顔はわかるが春田の顔はわからないように編集されている。
僕がスマホを見ながらドキッとして狼狽えた様子を店長が見て「どうした」と、僕に聞いた。
僕は「いや、何でもないです」と言ったが「見せてみろ」と言われた。
店長には犯されたこと、ペニスをしゃぶらされたことをさっき話したので、隠しても仕方がないと思い、「その、僕を支配した春田さんから動画が送られて来ました」とスマホをわたして、顔を伏せた。
泣いている顔は、店長にあまり見せたくない。
店長は動画を確認して「こんな動画が広まったら、お前は支配される側の男だと世間中に知れ渡ってしまい、殺気づいた男たちがお前に群がるぞ」と言いながら、俺にスマホを返した。
僕は袖で涙を拭って「どうしたらいいでしょうか」と店長に相談した。
店長は自分のスマホを見ながら言った。
「この動画、完全に村上だとわかるな、これが更に身バレして広まったら大変なことになるな」
店長が手にして見ている店長のスマホには、男のペニスをしゃぶる僕の顔が再生されている。
「えっ?」
僕は店長の顔を見た。
「この動画、俺のスマホにもラインで転送しめ共有させてもらった」
俺は慌てて自分のスマホを見ると、店長宛に送信済みとなっており既読もついている。
「俺、村上くんの履歴書持ってるんだ」と、たぶん住所を調べるために撮影した僕の履歴書を見せた。これにはマイナンバーのIDも記載されている。
「支配されるゲイだと広まれば、もう女性センターに呼ばれることもなくなるな。その方が良いのかな?」
僕は頭をハンマーで殴られたような衝撃だ。
春田に脅されることを懸念していたが、なにも関係ない店長にまで、、
僕は口をパクパクさせ、次に発する言葉が思い浮かばなかった。
「こいつの種からはゲイしか産まれない」と掲示板に書かれた男など、誰もその種を欲しがらない。
女性センターに相手をされない男など今の社会では何の価値もない男と位置付けられる事を意味しているのだ。
店長はスマホのレンズを僕に向けながら「それが嫌なら村上くん、脱げよ」と言った。
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