あたしのマリオネット

ザボン

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1話

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「久仁子、帰ろーぜ」
あたしの唯一の友達、好美だ。
カバンに教科書を適当に詰めて、少し窓際の男子たちを見つめ、吹っ切るように教室を出た。
「あんた、また見とれてたね。さっきの秋山の表情、妄想するんでしょ」
好美には敵わない。図星だった。
「あたしが何を妄想しようと、あたしの勝手でしょ、あたしの頭の中くらい自由にさせて!」
そう言って好美を睨んだ。
あたしと親友好美は世間的に言う「腐女」だ。美形男子同士のいけない行為を妄想して毎日を過ごしている。
高3になり、クラス替えで3年2組になると、よりいっそう没頭するようになった。
好美とは2年から同じクラスで「けっ、また一緒かよ」と言い合ったが、内心お互い大喜びだった。
しかし、それ以上に興奮したのが、バスケ部四天王が同じクラスになったからだ!
バスケ部で一番のイケメン秋山。バスケ部のムードメーカーで実力があり、中心的存在の五十嵐。キャプテンで一番背が高く、バスケにしか興味がなく私服があり得ない高木の3人である。イケメン四天王としたかったので、2年から同じクラスでバスケ部の伊丹を加え、“バスケ部イケメン四天王”と(二人の間では)呼ばれている。
伊丹も高木より女子に人気があり、まぁ悪くはない。しかし、冴えない中に輝く美男の素に、あたしたち二人は惑わされなかった。
高木はダイヤの原石だ!と言うのが二人の共通認識だった。

しかし、、、

あたしたち二人はなかなかこの四天王にお近づきになれない。唯一話ができるのが、よりによって伊丹だった。
(あとの三人とは緊張して話せない!)
「伊丹ぃ~、ちょっとあたしたちに協力してあの三人との“場”を作れよ」と、さんざん言っている。対象外だと、ズケズケ言える。
伊丹は三人と仲が良いが、改めて言われると困っていた。
まぁ、あたしたちも本当に“場”を設けられたら、緊張して何もしゃべれず、反省会をする事になるだろう。あの三人は眺めて、妄想するのが一番だ。と二人のときは話している。
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