覗かれて

ザボン

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ビールで乾杯をして、お互い自分の事を話した。「晴彦さんがお勤めのアサカ電器には、僕も何人か飲み友達がいるんですよ」と、いい名前を挙げていった。
「えっ、そうなの?」全員名前は知っていたが、そのうち一人は同じ課の後輩だ。
「奇遇だな」と俺は言った。
名刺交換したとき、俺の年齢は27才と伝えてあった。向こうが敬語でも、こっちはタメ口で構わないだろう。
そして俺の名前は佐藤晴彦。
佐藤姓では良くあることだが、名字が同じだ。なので必然的に下の名前で呼ぶことになる。小中高大そして会社でも、必ず一人は佐藤さんがいたので、ずっと周りから晴彦と呼ばれている。多分勇樹も同じだろう。
その後はそれぞれの会社の愚痴と、チームエルバの話で盛り上がった。
お会計のとき少しもめた。全部で6千円だった。キーホルダーのお礼に俺がおごることになっていたが、「せんべろ分だけおごってもらいます」と、差額の二千円を出すときかなかった。「次回からはキッチリ割り勘な」ということにして、勇樹から千円だけもらうことになった。それでも申し訳なさそうにしていた。なかなか常識的な奴だ。
店を出て帰る方向が同じだったので、一緒に歩き出した。なかなか話も楽しく、気も使えて好青年だ。それより何よりイケメンだ。
飲んでる最中、チームエルバの事を熱く語っている勇樹の顔に見とれてしまい、ハッとする事もあった。
「じゃあ、俺はこっちだ」と言ってマンションを指さした。「へぇ、このマンションですか、駅に近くて良いですね」と言われ、LINEを交換して別れた。

階段をあがり、203号室のドアをあけ、誰も待つ人がいない部屋に「ただいま」と言って入り、まずは服を脱ぎ捨ててパン一になった。
部屋の電気をつけて、TVをつけ、閉じっぱなしだったベランダの窓を大きく開け換気しながら、さっそくTVの大画面(と言っても40インチだが)でエロビデオを選んでオナニーを始めた。「あぁ、勇樹。そんなところ触るなよ。気持ちいいじゃないか。そんな俺のペニスを、あっ、勇樹、勇樹のもしゃぶらせろ」
隣の部屋は空室なので、少しなら声を出しても聞こえない。喘ぎながら勇樹をビデオのモデルにダブらせた。
TVのボリュームもあえぎ声も控えめにしているつもりだが、下の部屋には聞こえてないだろうか?いつも気になるが、オナニーをしている最中はそんなこと頭から飛んでしまう。
TVでは、勇樹に少し雰囲気が似ている男の子が会社の上司に無理矢理犯されている。昨日もこのモデルが出ている動画でヌいた。昨日の朝、勇樹と別れてから、その日のオカズはこの動画だと決めていた。
今朝、コーヒーショップで話しかけられたときは嬉しかった。キーホルダーもうれしいが、勇樹と友達になれたことが、今日の一番の収穫だった。実は勇樹もゲイで、俺のベッドに全裸で入ってきて甘えてくる。今日はそんな妄想を会社で1日中していた。
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