覗かれて

ザボン

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月曜の朝、俺は会社につくと周りの同僚に挨拶をしながら、パソコンの電源を入れ、メールの確認を始めた。
今朝はコーヒーショップに勇樹が来なかったから、少し残念だ。でも夜はジムで会えると思うから楽しみだ。もうちょっと大胆にシャワー浴びてくれればな。
と考えながら、処理が必要ないメールを読み流していた。
「ん?」一件、有限会社大田丸商会という会社から俺宛にメールが入っている。表題は“HK2025装置故障の連絡”となっている。

“アサカ電器株式会社 第一営業部 佐藤様”
から始まっているので、むやみやたらに送りつける迷惑メールではなさそうだ。

“昨年導入した測定機(HK2025)で、故障と思われる現象がでています。以下動画を確認頂き修理の手続きについて返信を頂戴したくお願いします”
となっていて、URLが貼り付けられ、その下にパスワードの記載があった。
HK2025は確かに当社製品の型式で第一営業部でも扱っている。
俺はなんの疑いもなく、URLにアクセスしパスワードを打ち込んだ。
「あっ、あ、勇樹っ、ああっ」という音声と共に俺の絶対に見られたくない恥ずかしい姿が画面一杯に表示された。
それは慌てて画面を閉じようとしても焦ってマウスを落としてしまいまい、画面を隠して大きい声で「あー今日は午後外勤だった」と言って音声をごまかした。
周りの同僚は「どうしたんですか佐藤さん、そんなに焦って」と言った。
周りに見えないように動画再生ソフトを閉じて、「ゴメンゴメン、ちょっと勘違いした」と訳のわからない言い訳をしながら、席に座り直した。
しかし僕の心臓はバクバクして、隣のやつにその音が聞こえるのではないかと心配するほどだ。
そのメールをもう一度見直すと、発信はフリーアカウントからだった。
そのメールを印刷し、トイレに行ってそのURLにスマホでアクセスし、音を消して再生してみた。
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