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誤解 3
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問答石にいったら悩みが減るどころか増えてしまった。
帰宅してから、十和はぼんやり問答石で出会った老人のことを考えていた。
夜、寝床に入っても弱々しい背中のことが頭をはなれない。老人を祟っている龍のことも。
(あのとき見えた若い男の方は、きっとあのおじいさんの息子さんね。
龍神様は自分の住処で殺生を働いた息子さんに怒っているのだわ)
問答石に答えをもらえていればいいが。
十和は寝返りを打った。床に入ってすでに半刻経っているが寝つけない。天井を見つめる。
「眠れないのか」
いつからそうしていたのか、月白がひじ枕をしてこちらを向いていた。
「月白様も眠れないのですか?」
「十和がいつ寝るか気になる」
「いつでもよいではありませんか」
寝顔を見せたくなくて、十和はまた月白に背を向けた。
「十和」
呼ばれて、少しだけふり向く。
視界の端に何か白いものがあった。ふわふわとした毛が耳に触れる。
「きゅう~?」
かわいらしい鳴き声に、十和は飛び起きた。
「雪白ちゃん!?」
子狐が狐火を吐いた。ろうそくの明かりほどの青い炎が宙に浮かび、子狐の姿を照らす。
やはり探していた子狐だ。雪のように真っ白な毛並み。十和が抱き上げて頭をなででやると、甘えた声が聞こえた。
「どうして? 今までどこに?」
「……口外しないで欲しいんだが」
「はい」
月白の前置きに、十和は背筋を正した。
「それは俺の霊力で作ったものだ」
問答石は正しかった。これが月白の霊力から作られたものなら、子狐はずっと十和のすぐそばにいたのだ。
「おもに見張りや偵察に使っている」
「見張りや偵察ですか? 屋敷には担当の者がおりますよね?」
「長年の習慣だな。……ここに来る前は一人だったから。
どこかの群れにいても、油断ならないことが多かった。裏切りやら下克上やら、一晩で情勢がくつがえることがあった。外敵だけでなく身内の諜報にも使っていた」
「月白様は用心深くいらっしゃるのですね」
感心したものの、十和は『身内の諜報』の言葉が引っかかった。
「だれにも言ってはいけないのですか? ここの者たちにも?」
今も身内を探っているのかと心配したが、月白の答えは違った。
「それは少しだが妖術も使える。不意打ちに活躍する。いざというときの隠し玉にもなるから、できるだけ秘密にしておきたい」
「以前、月白様が妖魔を退治するのに子狐をおとりに使ったとお聞きしたことがございますが、それは――」
「その子狐だ」
十和はほっと胸をなで下ろした。
(やっぱり月白様はお優しいわ)
引きつづき子狐をかわいがっていて、十和は月白の態度が気になった。
じっと十和の動きを注視している。相手の反応を探っているような、慎重で用心深い様子だ。
「月白様、もう隠しごとはございませんよね?」
「ない。すべて話した。――俺としては」
『俺としては』というのは引っかかる物言いだ。
しかし、ともかく子狐の正体は明らかになっている。
十和にはこれ以上疑問が思いつかないので、引き下がった。
「今夜だけでいいので、この子と一緒に寝てもいいですか?」
「好きにしていい」
十和は嬉々として子狐と寝床にもぐりこんだ。
(もし月白様との間に子供がいたらこんな感じかしら)
浮かれたことを考えながら、子狐の喉元や胸のあたりをなでてやる。子狐は気持ちよさそうに身もだえ、おなかを見せて転がった。もっともっとというように指を甘噛みしてくる。
(かわいい)
催促に応えてやっていると、大きな手が十和の頭をぎこちなくなでた。月白だ。はじかれたように相手を見上げる。
「……なでてもらっているから。こちらも返してみた」
「お、恐れ入ります」
動揺のあまり妙な返答になった。子狐の愛らしさに忘れていたが、子狐は月白の一部なのである。なでた分、なで返されるので、十和は気恥ずかしくなって手を止めた。
「これで寝られそうか」
「はい……あ」
さっき寝床で悩んでいたことは解決していない。
「まだ何か気になるか」
「雪白ちゃんのことは納得したのですけれど、実は――」
十和は昼間、問答石で出会った老人のことを話した。
「その方の問題が解決したかが気がかりで。今さら心配しても仕方のないことですけど」
「十和は、その老人の力になりたかったんだな」
「そう、だと思います。私、原因が視えたのです。だから余計に気になって」
名前を知らない相手だ。どこに住んでいるかも知らない。
今さら遅いと後悔していると、月白がふしぎそうにした。
「十和は老人の不幸の原因が分かっているのか」
「はい。そのお方を見ていたら、何か白昼夢のようなものを見たのです。
内容が祟られる原因になりそうなものだったので、たぶん正解だと思うのですが」
「……すごいな。過去が視えたのか。俺はそういうのはできん」
「い、いえ、それだけですし。他は何もできていないので」
感心されて、十和は照れた。
「老人の身元は町で聞きこみをすればたぶん分かる。
旅装でなかったのなら近いところからから来ている人間だろうから。
十和にその気があるなら赤城に相談して調べてもらうが」
どうする、と聞かれて、十和は肩に力が入った。
あれだけ雑鬼をつけていたのだ。家の方は妖魔御殿候だろう。
「伝えるのは、十和が直接でなくとも、手紙なり伝言なりにすればいい」
「いえ。私事でみなさんを頼るのですから、最後くらいは自分で動かないと」
「なら、行くときは俺もついていく」
老人の件に一段落がつくと、十和は最後にもう一つ気になっていたことを口にした。
「月白様。私にも弱い妖魔くらいなら払うことはできるのでしょうか?
一時的にですけれど、赤城さんがおじいさんから雑鬼を払っていたのです。
私にもああいうことができればと思うのですけれど……」
「できる。むしろ俺と同じくらいの霊力があるのに一切使わないから驚いている」
力強く肯定されて、十和は目を見張る。
「私、妖術はからきしなのですけれども。それでも?」
「妖術は必要ない。それだけ霊力があるなら、追い払う意志を持って霊力をぶつけてやればいいだけだ。
教えられなかったのか? 天遊殿にも?」
十和は首を左右にふる。
「父からはともかく逃げるようにと教えられました」
「……そうか。生半可なことをするとかえって危ないこともあるからな」
話が終わってしまいそうなけはいを感じ、十和は思い切って頼んだ。
「でも、できるなら、私も追い払えるようになりたいです!
強くなりたいです。いつまでも逃げ回ってばかりは嫌です。
やり方を教えていただけませんか?」
なかなか返事がない。
「いけませんか?」
「そうではなく。教えるほどのことも本当にない」
「コツはございますか?」
「ともかく気合」
「分かりました。気合ですね。がんばります」
やる気充分に拳を握ると、月白に軽く肩を押さえられた。
「十和。とりあえず、寝よう。今は夜だ」
「そ、そうですね。すみません。興奮してしまって」
十和は知らず知らずに入っていた肩の力を抜いた。
「もう心配事は尽きたか」
「はい。おかげさまで」
月白の広い胸が目の前にあった。寝床でこんなに近くに寄ったのははじめてだ。
十和は思い切ってその胸に頭をあずけてみた。距離を取られることもなく、受け入れられる。
「休みなさいませ」
「寝るのは大事」
ポンポンと背中を軽く叩かれているうちに、十和は安穏と眠りに落ちていった。
帰宅してから、十和はぼんやり問答石で出会った老人のことを考えていた。
夜、寝床に入っても弱々しい背中のことが頭をはなれない。老人を祟っている龍のことも。
(あのとき見えた若い男の方は、きっとあのおじいさんの息子さんね。
龍神様は自分の住処で殺生を働いた息子さんに怒っているのだわ)
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十和は寝返りを打った。床に入ってすでに半刻経っているが寝つけない。天井を見つめる。
「眠れないのか」
いつからそうしていたのか、月白がひじ枕をしてこちらを向いていた。
「月白様も眠れないのですか?」
「十和がいつ寝るか気になる」
「いつでもよいではありませんか」
寝顔を見せたくなくて、十和はまた月白に背を向けた。
「十和」
呼ばれて、少しだけふり向く。
視界の端に何か白いものがあった。ふわふわとした毛が耳に触れる。
「きゅう~?」
かわいらしい鳴き声に、十和は飛び起きた。
「雪白ちゃん!?」
子狐が狐火を吐いた。ろうそくの明かりほどの青い炎が宙に浮かび、子狐の姿を照らす。
やはり探していた子狐だ。雪のように真っ白な毛並み。十和が抱き上げて頭をなででやると、甘えた声が聞こえた。
「どうして? 今までどこに?」
「……口外しないで欲しいんだが」
「はい」
月白の前置きに、十和は背筋を正した。
「それは俺の霊力で作ったものだ」
問答石は正しかった。これが月白の霊力から作られたものなら、子狐はずっと十和のすぐそばにいたのだ。
「おもに見張りや偵察に使っている」
「見張りや偵察ですか? 屋敷には担当の者がおりますよね?」
「長年の習慣だな。……ここに来る前は一人だったから。
どこかの群れにいても、油断ならないことが多かった。裏切りやら下克上やら、一晩で情勢がくつがえることがあった。外敵だけでなく身内の諜報にも使っていた」
「月白様は用心深くいらっしゃるのですね」
感心したものの、十和は『身内の諜報』の言葉が引っかかった。
「だれにも言ってはいけないのですか? ここの者たちにも?」
今も身内を探っているのかと心配したが、月白の答えは違った。
「それは少しだが妖術も使える。不意打ちに活躍する。いざというときの隠し玉にもなるから、できるだけ秘密にしておきたい」
「以前、月白様が妖魔を退治するのに子狐をおとりに使ったとお聞きしたことがございますが、それは――」
「その子狐だ」
十和はほっと胸をなで下ろした。
(やっぱり月白様はお優しいわ)
引きつづき子狐をかわいがっていて、十和は月白の態度が気になった。
じっと十和の動きを注視している。相手の反応を探っているような、慎重で用心深い様子だ。
「月白様、もう隠しごとはございませんよね?」
「ない。すべて話した。――俺としては」
『俺としては』というのは引っかかる物言いだ。
しかし、ともかく子狐の正体は明らかになっている。
十和にはこれ以上疑問が思いつかないので、引き下がった。
「今夜だけでいいので、この子と一緒に寝てもいいですか?」
「好きにしていい」
十和は嬉々として子狐と寝床にもぐりこんだ。
(もし月白様との間に子供がいたらこんな感じかしら)
浮かれたことを考えながら、子狐の喉元や胸のあたりをなでてやる。子狐は気持ちよさそうに身もだえ、おなかを見せて転がった。もっともっとというように指を甘噛みしてくる。
(かわいい)
催促に応えてやっていると、大きな手が十和の頭をぎこちなくなでた。月白だ。はじかれたように相手を見上げる。
「……なでてもらっているから。こちらも返してみた」
「お、恐れ入ります」
動揺のあまり妙な返答になった。子狐の愛らしさに忘れていたが、子狐は月白の一部なのである。なでた分、なで返されるので、十和は気恥ずかしくなって手を止めた。
「これで寝られそうか」
「はい……あ」
さっき寝床で悩んでいたことは解決していない。
「まだ何か気になるか」
「雪白ちゃんのことは納得したのですけれど、実は――」
十和は昼間、問答石で出会った老人のことを話した。
「その方の問題が解決したかが気がかりで。今さら心配しても仕方のないことですけど」
「十和は、その老人の力になりたかったんだな」
「そう、だと思います。私、原因が視えたのです。だから余計に気になって」
名前を知らない相手だ。どこに住んでいるかも知らない。
今さら遅いと後悔していると、月白がふしぎそうにした。
「十和は老人の不幸の原因が分かっているのか」
「はい。そのお方を見ていたら、何か白昼夢のようなものを見たのです。
内容が祟られる原因になりそうなものだったので、たぶん正解だと思うのですが」
「……すごいな。過去が視えたのか。俺はそういうのはできん」
「い、いえ、それだけですし。他は何もできていないので」
感心されて、十和は照れた。
「老人の身元は町で聞きこみをすればたぶん分かる。
旅装でなかったのなら近いところからから来ている人間だろうから。
十和にその気があるなら赤城に相談して調べてもらうが」
どうする、と聞かれて、十和は肩に力が入った。
あれだけ雑鬼をつけていたのだ。家の方は妖魔御殿候だろう。
「伝えるのは、十和が直接でなくとも、手紙なり伝言なりにすればいい」
「いえ。私事でみなさんを頼るのですから、最後くらいは自分で動かないと」
「なら、行くときは俺もついていく」
老人の件に一段落がつくと、十和は最後にもう一つ気になっていたことを口にした。
「月白様。私にも弱い妖魔くらいなら払うことはできるのでしょうか?
一時的にですけれど、赤城さんがおじいさんから雑鬼を払っていたのです。
私にもああいうことができればと思うのですけれど……」
「できる。むしろ俺と同じくらいの霊力があるのに一切使わないから驚いている」
力強く肯定されて、十和は目を見張る。
「私、妖術はからきしなのですけれども。それでも?」
「妖術は必要ない。それだけ霊力があるなら、追い払う意志を持って霊力をぶつけてやればいいだけだ。
教えられなかったのか? 天遊殿にも?」
十和は首を左右にふる。
「父からはともかく逃げるようにと教えられました」
「……そうか。生半可なことをするとかえって危ないこともあるからな」
話が終わってしまいそうなけはいを感じ、十和は思い切って頼んだ。
「でも、できるなら、私も追い払えるようになりたいです!
強くなりたいです。いつまでも逃げ回ってばかりは嫌です。
やり方を教えていただけませんか?」
なかなか返事がない。
「いけませんか?」
「そうではなく。教えるほどのことも本当にない」
「コツはございますか?」
「ともかく気合」
「分かりました。気合ですね。がんばります」
やる気充分に拳を握ると、月白に軽く肩を押さえられた。
「十和。とりあえず、寝よう。今は夜だ」
「そ、そうですね。すみません。興奮してしまって」
十和は知らず知らずに入っていた肩の力を抜いた。
「もう心配事は尽きたか」
「はい。おかげさまで」
月白の広い胸が目の前にあった。寝床でこんなに近くに寄ったのははじめてだ。
十和は思い切ってその胸に頭をあずけてみた。距離を取られることもなく、受け入れられる。
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