義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍

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パーティの準備

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オレリアンの領地で品種改良されたフルーツたちは、どれもつやつやしていて美味しそうだ。

野菜も、全部瑞々しくて、素材の良さが際立っている。


「ジェイムズ、再来週のメニューについて、シンからリクエストは?」


「今フルコースを考えているところですが、領地のブランドを惜しみなく使うようにと。問題はメイン、ですね。領地で畜産だけはやっていないので…。」


「私の領で畜産をやっているから手配しようか?でも、何がいいかな。野菜の素材を際立たせたい。」


「そうですね。とりあえず、サンプルで一通り。試作を作りましょう。」


「分かった。クライブ、私の領から牛と豚と鳥……は鶏と鴨を。」

自分の侍従、クライブに指示をする。

キッチリ分けた七三の黒髪のつむじが見える。
黒縁眼鏡をきらりと光らせて、クライブは領に電話をした。


「すぐに絞めたものを届けるそうです。」


「ありがとう。あとは、できれば魚もあるといいな。魚は?」

「このあたりでイワナがとれますので、それをポワレにでもしたらどうかと。」


「いいですね。」




あ~~~~。料理って楽しいなあ。

平民の振りして学校に通っているとき、自炊してて楽しかった。

王子でも戦場で料理することがあるから、最低限は自分の身の回りのことを覚える。
だけど、自分の場合は、好きが高じている自覚はある。

王子じゃなかったら、料理人になってた!






キャッキャウフフしているロイを、シンは入口からこっそり見ていた。



ロイの方が旦那さまなんだけど、どう考えても嫁みたいだよね。







じーっと見ていたら、ロイはフルーツをじっと見て、小麦粉と卵を混ぜ始めた。


フリルのエプロン。手際は良い。

重い生地をかき混ぜる手には力が入っていて、鍛えられた腕力が窺える。



今日のおやつは何を作ってくれるんだろう。
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