恋とはどんなものかしら

東雲さき

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凛子の婚活

1 凛子、婚活中⑴

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高梨凛子たかなしりんこ、33歳。

婚活を始めて早3年。
今日は結婚相談所で申し込んだヤマさん(仮)とのお見合いの日である。

申し込んでもお断りされたり、せっかく申し込まれても私が乗り気じゃなかったり…
そんなことが何度も続いたけれど、ようやく受け入れてくれたお相手との初対面。
交際に繋がるご縁であることを願って、お見合い会場に足を踏み入れた。

相談所のアドバイザー・佐藤さん仲介の挨拶後、ふたりきりになった瞬間待ちに待ったお見合いがスタートした。


 ◆ ◆ ◆


ことは一カ月ほど前に遡る。
私が登録している結婚相談所でお相手探しをしていたところ、相談員の佐藤さんからこのようなアドバイスをいただいた。

「高梨さんはどういう人がいいのか好みがはっきりしているでしょう?髭の濃い人はイヤだとか煙草を吸う人はダメだとか。だったらもうマッチングリストに載っている人をどんどん振り落としていったらいいよ」

マッチングリストは「気になる」「気にならない」「保留」に振り分けることができる。
だが、私はよほどのことがない限り振り分けるということをしていなかった。
「生理的に無理」とかでもなければ振り分けをせず、来所する度に同じ人のプロフィールを見ていたのだけれど、これがどうやら効率が悪かったらしい。

アドバイス通りに写真とプロフィールを見て次々と振り分けていく。

 煙草 吸う  却下
 髭 濃い  却下
 顔が好みじゃない  却下
 髭 濃い  却下
 身体が横に大きい  却下
 ・
 ・
 ・

振り分け続けた結果、三十人ほどの中から四人の男性が残ることになった。
その四人を見てみると標準体型でいてかつ顔の第一印象もとくに悪くない人だけが残っている。
自分の事だけれど、いかに外見に偏見を持っているかをまざまざと見せつけられてしまった。


よく聞くよね。
「会ってみないとわからない」
「外見より中身」
「とりあえず会ってみる」
いや、分かるんだけどね~
たくさんの男性と会うべきなのは分かっているんだけれど、会ってみたいと思える人がいないのも事実。

「佐藤さん、四人まで減りました」

「じゃあその中からお見合いを申し込む順番を決めて早速申し込もう」

こうして申し込んだ結果、第一希望のヤマさん(仮)とのお見合いが組まれることが決定したのであった。


 ◆ ◆ ◆


「それではお時間なので、お話が盛り上がっているかと思いますが女性の方から退席になります。」

佐藤さんに促されヤマさんとはお互いに挨拶をして私はお見合い会場を後にする。

会場から離れたところで佐藤さんにお見合いの手応えとお相手・ヤマさんの感想についてを聞かれた。

「背、(写真より)高くありませんでした?」

私の問いに佐藤さんも頷く。

「やっぱり?(写真だと)もっとこの辺だったよね?前髪もセンター分けじゃなかった!」

「ちょっとこっちに寄りましたね」

佐藤さんはセンター分けは好みではないみたいだけれど、私はセンター分けでも七三でも似合っていればよほどじゃない限り不満はない。
身長もかなり高く見えたし、良い意味で裏切られた!
会話もなかなか楽しかったし手応えアリなのでは?

「お話しの方はどうでした?趣味とか共通点とか話せましたか?」

「映画も見るしお互いに猫好きで飼っているし(私は実家飼いだけど)、意外とたくさん話せたので楽しめました!」

「そっかー!それじゃ高梨さんとしては次に進む方向でOK?」

「はい、よろしくお願いします」

相手もOKだといいな~
でも、私が良いんじゃない?と思っていても断られたことだって過去にあったからなるべく期待はするまい。

そう心に決め、帰り道で偶然遭遇なんてしたくないからと早々に帰宅した。


 ◆ ◆ ◆

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