裸のプリンスⅡ【R18】

坂本 光陽

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愛の代理人⑪

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 あまり驚きはしなかった。あらかじめ、ココナさんから仄めかしを受けていたからだ。

「お客様は〈ハメ撮り〉以上の段階をお望みなの。事務所のルールを守った上で、御要望に応じるかどうかは、シュウくんに一任する」と言われている。

「宮国さん、僕の出す条件を飲んでいただければ、答えはイエスです」
「よかった。シュウくんはそう言うと思っていた」美紗緒さんの素敵な笑顔を浮かべる。
「それで、条件というのは?」宮国さんは真剣に耳を傾けてくれる。

 僕の出した条件は三つだ。

 一つ目は、〈ハメ撮り〉も含めて、セックスの撮影は一切しないこと。
 スマホを手にしながらの行為は、意外と神経を使う。僕はコールボーイであって、AV監督ではない。いつも以上に集中力を必要とする作業は承服しかねる。

 二つ目は、場所の選定は僕に任せてもらうこと。
 夫妻の決めた場所では、隠しカメラがないとは限らない。夫妻の真摯な態度から盗撮の心配は薄いと思うけど、念には念を入れて。

 三つ目は、宮国さんは鑑賞者に徹すること。
 僕はマン・ツー・マンのプレイしかしない。3Pは御遠慮ください、ということだ。(衣湖さん、オサムさんとのプレイは変則的な3Pだったけど、あれは例外である。(『裸のプリンスⅡ』「濡れるレッスン」参照)

 僕はフィフティ・フィフティと予想していた。
 宮国さんは美紗緒さんの手に、自分の手を重ねて、にっこり微笑んだ。

「まったく問題ないよ。シュウくん、その条件を飲もうじゃないか」

 とりあえず、場所について御相談をする。この顔ぶれで落ち着けるのは、やはり、一流ホテルのスウィートルームだろう。六本木の高層ホテルを提案してみた。神保町からのタクシー代、ホテル代は、お客様持ちとなるが、宮国さんはそれで構わないという。

 電話を入れてみると。平日のせいか、部屋には空きがあった。タクシーを拾って20分後には、家族を装った僕たちは無事チェックインを済ませていた。

 コールボーイはギャランティを受け取り、引き換えにサービスを提供する。当然、お客さんに満足してもらう責任が生じる。

 部屋に入れば、イニシアティブをとるのは僕だ。リビングのソファに座った二人に、こう切り出した。

「お二人には充分に楽しんでもらいたいと思います。お客様の御希望御要望に沿う形で進めますが、プレイには互いの信頼関係が必要です」

 老婆心ながら、釘を刺しておく。

「ただ、残念ながら、信頼関係が損なわれた時、つまり、約束事が破られた場合、プレイはそこで終了です」

 真っ直ぐ、御夫婦を見つめる。

「御了承のほど、よろしくお願いします」

 二人は頷いた。
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