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愛の代理人⑫
しおりを挟む置き時計が14時30分を指している。プレイ時間は残り1時間30分。
「時間がありません。すぐ始めたいと思います」
僕は美紗緒さんに歩み寄り、手を差し伸べた。彼女は頬を染めて、僕の手を握る。
「シュウくん、私、シャワーを浴びてきます」
立ち上がって、バスルームに向かおうとする。でも、僕は彼女を強引に引き寄せる。
「あっ、いやっ」
御主人の目の前で、僕たちは唇を交わす。美紗緒さんは身を捩って逃れようとするけど、僕はさらに力を強める。
宮国さんの視線を感じながら、ワンピースのホックを外し、ジッパーを一気に引きおろす。
「シュウくん……」声が震えていた。
彼女はされるがままだ。僕はあっさり、下着姿にしてしまう。前回とは違うブラとショーツだった。僕も素早く、下着姿になる。
「美紗緒さん、とても可愛らしい下着ですね。もしかすると、御主人のお好みですか?」
恥ずかしそうに頷いた。宮国さんの表情は変わらない。頬に血が上ったようだけど、黙って僕たちを見てくれている。
「ねぇ、明るすぎて恥ずかしいの。カーテンをしめましょう」
大きくとられた窓からは陽光が差し込んでいる。高層ホテルの最上階に近い部屋だ。外から覗かれることはない。
「大丈夫ですよ」僕はにっこり微笑んだ。
「明るい場所で、美紗緒さんのすべてを見せてください」
二度目のお客さんに対しては、かなり乱暴な御提案だ。
美紗緒さんは立ちすくみ、真っ白な肌を紅潮させる。チラリと御主人を窺って、顔を伏せてしまう。
宮国さんは無言だ。僕は彼女の前にひざまずき、手を伸ばしてブラのホックを外す。形のよい水蜜桃が露になるが、彼女は両腕を組んで隠してしまう。
僕はすかさず、彼女のショーツをずり下げ、足先から抜く。
「ああっ、いやっ」
陽光の中で美しく輝く裸身。少し下がって、僕は眼を細める。
「美紗緒さん、とてもきれいです。宮国さんもそう思いませんか?」
返答はない。眼を細め、口元を少し歪めている。悲哀、嫉妬、それとも、苦渋か? 宮国さんの思考は読めない。
僕がいきなり、攻めのスタイルで突っ走ったのは、彼の出方、反応を見るためだ。
これまでの受け答えから、言葉にされなくても、御夫婦の事情は察した。おそらく、宮国さんは病気もしくは事故で、性的不能に陥ったのだろう。
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