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クールでジューシィ③
しおりを挟む僕は左肩を下にした態勢で、彼女の右隣に身体を横たえる。
「実は、山本さんが魅力的なもので、つい調子にのってしまいました」
彼女の腰に指先を這わせながら、もう一度、頭を下げた。
「どうも、すいませんでした」
「ううん、全然」山本さんは首を横に振る。「物事はトライ・アンド・エラーだもの。ミスったとしても、互いの理解が深まれば、それはそれでいいのよ。一番いけないのは、言ってもムダと勝手に判断して、相手に伝えないこと」
立て板に水の言葉は、彼女の仕事に対する姿勢を思わせた。山本さんは、事務系の公務員なのだろうか?
そんな凛々しい表情が、僕の情欲を駆り立てた。山本さんを思い切り責め立てて、最高の快楽を味わってもらいたい。そんな想いにとらわれるのだけど、強引に進めるのは彼女の趣味ではなさそうだ。
とりあえず、白くてやわらかな手を握りしめ、さりげないスキンシップからやり直す。
「ねぇ、シュウくんはどうして、この仕事をしているの?」
時折、こういった質問を受ける。中年男性が風俗嬢に訊く質問と同じだけど、説教的な響きはなく、純粋な好奇心からのようだ。
「この仕事を始めて3年目になりますが、端的に言えば、お客様に求めてもらえるからです」
きっかけはレイカさんにスカウトされたからだけど、コールボーイは僕の天職だったのだろう。幸い、御指名が途切れたことはなく、日々、新鮮な気持ちでお客様と向き合っている。
『キャッスル』に所属していた時も、『ナイトジャック』に移ってからも、辞めようと思ったことは一度もない。嫌な目にあったり不愉快な想いをしたりすることはあるけれど、そういうことは他の仕事も同じだろう。
「どの業界もそうだと思いますが、すべて需要と供給の関係ですよ。お客様に求められている限り、僕の仕事は尽きませんし、辞めるつもりもありません」
「……そうなんだ」
「ええ、正直いって、やりがいを感じているんですよ。常連さんもいますが、この仕事は基本的に一期一会です。いってみれば、日々、新鮮な出会いの繰り返しですよ」
コールボーイを含む風俗業の問題点といえば、イリーガルということと、偏見をもつ人が多いことだろうか?
ただ、僕自身はあまり後ろめたさを感じていない。それどころか、実は誇りを感じている。
女性にはもっとフランクに、セックスを楽しんでもらいたい。女性の性欲に関する戒めを解放する。いささか大袈裟ではあるけれど、それが自分の使命だと考えている。
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