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HAPPY HALLOWEEN
1.犬飼さん家
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はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。
犬飼ミヨ(いぬかいみよ)です。
15歳の高校1年生。
高校進学と同時に、高校の近くに住んでいる親戚のお兄さん「犬飼探(いぬかいさぐる)さん」の家でお世話になることになりました。
探さんは、親戚中でも「変人」って言われてる白衣が私服の自称科学者。
自分で「科学者」って言うだけあって、本当に科学者っぽいことはしている。
探さんの研究室には、危ない薬品がおいてあるし、キッチンの冷蔵庫も油断できない。
たまに、どこにでも売ってそうなジュースの瓶を薬のようきにしてたりするから、うっかり飲んだらなにが起こるかわかったものじゃない。
実際、探さんの研究の被害者というか、ついうっかりでまさかの事態に陥った人……人? が何人も……人? ……もいるんです。
かく言う私もその1人で。
そのおかげで、ここに住みやすくはなったけど……。
そう! この家に初めて来たときの探さんは前髪で目が見えないし、全然喋ってくれないし、すっごく怖かったんです!!
家に来て早々、「勝手にして」ってご飯もお風呂もどうぞご自由に、だったし。
「ヤバイのにはラベルが貼ってある」の言葉を信じてラベルのない瓶のジュースを飲んだ結果。
私は見事に被害者です。
そのおかげで、探さんは話をしてくれるようにはなったけど。
怖い探さんと無言の共同生活を送らなくてすんでいるわけだけど。
「ミーヨ!! なにしてるんだ? ボール遊びしようぜ! ボール遊び! 投げてくれよ!」
ボールを抱えて期待の眼差しでこっちを見る、人間の形をした男の子、イヌミミつき。
後ろを向けば、クルンとした柴犬のしっぽもついている。
彼は、柴犬のケン。
通称、ケン兄さん。
冗談とかではなく、ケン兄さんは元は本物の柴犬です。
彼も、探さんお被害者……被害犬。
しかも、ケン兄さんタイプの被害者……被害動物は他にもいて。
「なに言ってんだよ、ミヨは俺に構いたいんだよ。ミヨがしたいって言うなら、じゃれてやってもいいんだぜ?」
「あくまでも私が言うからしかたなく……」の体を通したいネコ兄さん。
ネコミミ、ネコしっぽの本名ニィさんの顏には、「猫じゃらししたい」って書いてある。
言わずもがな、ネコ兄さんはもとはネコです。
自称は世界で1番美しい毛並みの持ち主。
「ダーメ!! ミヨちゃんは、今日は僕をなでなでする日なの!!」
そんな日にはしてません。
私の心境なんてお構いなしに、頭を擦りつけてくるウサニさん。
この家で1番大きな身体をしていながら、1番甘えん坊が度を超えている。
ウサミミが意外と触り心地よかったりする、もとウサギ。
「ねぇミヨ、今日のスカートはどっちがいいかしら? やっぱり秋っぽくこっち? でも私としてはこっちの気分なのよね」
スカートを2着抱える赤毛の美人さん。
モフモフの髪から見えるクルンなツノ。
もとはヒツジのメェ子さん。
オシャレなお姉さんって感じ、だけど男の子なんだよね……。
それを知ったときの衝撃たるや……。
人の姿に似合ってる名前ではあるけども。
ちなみに、あの赤毛は染色されたもので、メェ子さんの美意識の賜物。
白い髪を想像してみたけど、見慣れたせいか赤の方がしっくりくる。
この家にいる動物たちは以上です。
どうして彼らが人間の姿をしているのかというと……。
探さん曰く、「事故」だそうです。
本当は自分が飲むつもりで、動物と意思疎通ができるようになる薬を作っていたそうです。
それを、彼らが飲んだら人間の姿になりました、と。
ホント、なにそのふぁんたじー。
そして、その摩訶不思議なふぁんたじーはうすに居候中の私はと言うと……。
「ミヨちゃん、ミヨちゃん」
部屋を訪れたこの家の主、探さん。
最初、この家に来たときからは想像もできないくらいフレンドリーになりました。
それも、探さんが作ったという『動物に好かれる薬』というのをうっかり私が飲んじゃったせいで。
こうしてしっかり、この家の動物たち、イヌ、ネコ、ウサギ、ヒツジに懐いてもらってその効力は存分に発揮されているわけだけど……。
その「動物」の中には「人間」も含まれているわけで。
しっかり人間の探さんにも好いてもらっています。
ときどき、ちょっとおかしけど。
「これ、着てよ」
訂正。
基本、いつもどこかおかしいです。
探さんが見せてきたのは、ぴらっぴらっした黒いワンピース。
小さい子、例えば幼稚園に通っているような、そんな女の子が着るような、変身セットを彷彿とさせるような、魔女のコスプレ衣装。
大型量販店とかに売っているようなやつ。
ご丁寧に、三角帽子に杖とマントつき。
「……イヤです」
私は「NO」と言える日本人。
「なんで!?」
そんなショッキングな顔をしないでください。
「せっかく……ミヨちゃんのために用意したのに……、ミヨちゃんのために……みんなの分も用意したのに……」
「あら、なぁにこれ、いいじゃない!」
メェ子さんが、探さんが持って来た衣装に興味を示した。
「それはメェ子の分だよ……。でも、ミヨちゃんが着てくれないなら意味ないよ……。片付けるね……」
あ、これは、嫌な予感。
「ミヨ!!」
メェ子さんが、怖い目してる。
「ミヨが着ないと、私が着れないじゃない。早く着替えて来てちょうだい」
メェ子さん、目が本気だ……。
「着てくれるのっ!?」
探さんの目が輝いた。
犬飼ミヨ(いぬかいみよ)です。
15歳の高校1年生。
高校進学と同時に、高校の近くに住んでいる親戚のお兄さん「犬飼探(いぬかいさぐる)さん」の家でお世話になることになりました。
探さんは、親戚中でも「変人」って言われてる白衣が私服の自称科学者。
自分で「科学者」って言うだけあって、本当に科学者っぽいことはしている。
探さんの研究室には、危ない薬品がおいてあるし、キッチンの冷蔵庫も油断できない。
たまに、どこにでも売ってそうなジュースの瓶を薬のようきにしてたりするから、うっかり飲んだらなにが起こるかわかったものじゃない。
実際、探さんの研究の被害者というか、ついうっかりでまさかの事態に陥った人……人? が何人も……人? ……もいるんです。
かく言う私もその1人で。
そのおかげで、ここに住みやすくはなったけど……。
そう! この家に初めて来たときの探さんは前髪で目が見えないし、全然喋ってくれないし、すっごく怖かったんです!!
家に来て早々、「勝手にして」ってご飯もお風呂もどうぞご自由に、だったし。
「ヤバイのにはラベルが貼ってある」の言葉を信じてラベルのない瓶のジュースを飲んだ結果。
私は見事に被害者です。
そのおかげで、探さんは話をしてくれるようにはなったけど。
怖い探さんと無言の共同生活を送らなくてすんでいるわけだけど。
「ミーヨ!! なにしてるんだ? ボール遊びしようぜ! ボール遊び! 投げてくれよ!」
ボールを抱えて期待の眼差しでこっちを見る、人間の形をした男の子、イヌミミつき。
後ろを向けば、クルンとした柴犬のしっぽもついている。
彼は、柴犬のケン。
通称、ケン兄さん。
冗談とかではなく、ケン兄さんは元は本物の柴犬です。
彼も、探さんお被害者……被害犬。
しかも、ケン兄さんタイプの被害者……被害動物は他にもいて。
「なに言ってんだよ、ミヨは俺に構いたいんだよ。ミヨがしたいって言うなら、じゃれてやってもいいんだぜ?」
「あくまでも私が言うからしかたなく……」の体を通したいネコ兄さん。
ネコミミ、ネコしっぽの本名ニィさんの顏には、「猫じゃらししたい」って書いてある。
言わずもがな、ネコ兄さんはもとはネコです。
自称は世界で1番美しい毛並みの持ち主。
「ダーメ!! ミヨちゃんは、今日は僕をなでなでする日なの!!」
そんな日にはしてません。
私の心境なんてお構いなしに、頭を擦りつけてくるウサニさん。
この家で1番大きな身体をしていながら、1番甘えん坊が度を超えている。
ウサミミが意外と触り心地よかったりする、もとウサギ。
「ねぇミヨ、今日のスカートはどっちがいいかしら? やっぱり秋っぽくこっち? でも私としてはこっちの気分なのよね」
スカートを2着抱える赤毛の美人さん。
モフモフの髪から見えるクルンなツノ。
もとはヒツジのメェ子さん。
オシャレなお姉さんって感じ、だけど男の子なんだよね……。
それを知ったときの衝撃たるや……。
人の姿に似合ってる名前ではあるけども。
ちなみに、あの赤毛は染色されたもので、メェ子さんの美意識の賜物。
白い髪を想像してみたけど、見慣れたせいか赤の方がしっくりくる。
この家にいる動物たちは以上です。
どうして彼らが人間の姿をしているのかというと……。
探さん曰く、「事故」だそうです。
本当は自分が飲むつもりで、動物と意思疎通ができるようになる薬を作っていたそうです。
それを、彼らが飲んだら人間の姿になりました、と。
ホント、なにそのふぁんたじー。
そして、その摩訶不思議なふぁんたじーはうすに居候中の私はと言うと……。
「ミヨちゃん、ミヨちゃん」
部屋を訪れたこの家の主、探さん。
最初、この家に来たときからは想像もできないくらいフレンドリーになりました。
それも、探さんが作ったという『動物に好かれる薬』というのをうっかり私が飲んじゃったせいで。
こうしてしっかり、この家の動物たち、イヌ、ネコ、ウサギ、ヒツジに懐いてもらってその効力は存分に発揮されているわけだけど……。
その「動物」の中には「人間」も含まれているわけで。
しっかり人間の探さんにも好いてもらっています。
ときどき、ちょっとおかしけど。
「これ、着てよ」
訂正。
基本、いつもどこかおかしいです。
探さんが見せてきたのは、ぴらっぴらっした黒いワンピース。
小さい子、例えば幼稚園に通っているような、そんな女の子が着るような、変身セットを彷彿とさせるような、魔女のコスプレ衣装。
大型量販店とかに売っているようなやつ。
ご丁寧に、三角帽子に杖とマントつき。
「……イヤです」
私は「NO」と言える日本人。
「なんで!?」
そんなショッキングな顔をしないでください。
「せっかく……ミヨちゃんのために用意したのに……、ミヨちゃんのために……みんなの分も用意したのに……」
「あら、なぁにこれ、いいじゃない!」
メェ子さんが、探さんが持って来た衣装に興味を示した。
「それはメェ子の分だよ……。でも、ミヨちゃんが着てくれないなら意味ないよ……。片付けるね……」
あ、これは、嫌な予感。
「ミヨ!!」
メェ子さんが、怖い目してる。
「ミヨが着ないと、私が着れないじゃない。早く着替えて来てちょうだい」
メェ子さん、目が本気だ……。
「着てくれるのっ!?」
探さんの目が輝いた。
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