うちの悪役令息が追放されたので、今日から共闘して一発逆転狙うことにしました

椿谷あずる

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39.類は友を呼ぶせいでダメ人間ばかりが集まる

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「ちょっと待って下さいよ。レイズ様、え、なんでこんな場所に?」

 まさかの再会。いや、探してたけどさ。こんなところで会うとは思ってなかったっての。

「なんでって言葉は俺のセリフで……」
「レイズーやっほー久しぶり!」
「あ」

 ベルさんたら何を。
 流れを無視したハグ突撃。それがレイズ様の腹部に見事クリーンヒットした。これは痛い。

「はーなーれーろっ。相変わらず面倒な奴だな」
「ははは、そういうレイズは相変わらず俺様きどってるねぇ」

 強引に引きはがされたベルさんは腰に手を当て楽しそうに笑った。
 仲良さそうだな、この二人。
 このままだと話が進みそうにないので、割って私も会話に混ざることにした。

「えーっと、二人はお知り合いで?」

===

「なるほど。つまり二人ともこの街で、どっちがより多く花嫁を見出せるか競っているってわけですね」
「そそ」

 やっぱり二人は知り合いだったようだ。
 そうじゃなきゃ、とっくに短気なうちの令息様は剣を抜いていただろうしね。

「今のところ俺が49勝、レイズが49勝」
「49……」

 この数字は花嫁を見つけた数字。って事はつまり、最低でもそれだけ女性と恋愛をしてるってことで。

「控えめに言っても死ぬほどろくでもない勝負ですね」
「ははは、ありがとう」

 褒めてねえよ。

「レイズ様も女の人好きですもんね」

 お屋敷でもよく女の人いっぱい連れてパーティとかやってたし。

「お前には関係ないだろ」

 へいへい。そっすね。

「まーそんな感じで、レイズの方は数うち当たるで複数人を、俺はこの人って決めてピンポイントに一人を花嫁候補に推薦してるんだ」

 広く浅くか、深く狭くか。
 お互い手段は別にして花嫁になりそうな人を見つける……なんだその実験みたいなの。完全にお遊びでは? うん、やっぱりどっちもたちが悪いな。

「二人ともいつか刺されますからね?」
「うーん、それはどうかな」
「?」

 その自信はどこから。

「そんな話、今どうでもいい。おいベル」
「なんだい?」
「お前は今回その一人を選べてないんだろ」
「そうだね」
「じゃあ50勝目は俺で決まりでいいな」
「あ、そうなっちゃうのか。でもそれはやだなぁ」

 いや、チラってこっち見ても私は参加しないよ。

「そいつに期待しても無駄だぞ」

 さすが、よくご存知で。

「花嫁に選ばれるような奴じゃない」
「はい?」

 今ちょっと聞き捨てならないような発言を聞いたような。

「性格も容姿も人間性も問題ありまくりの駄メイドだ」
「ちょっと」

 おいおい、何言ってんだ。私を誰だと? 超エリートメイドのルセリナさんですよ。こんな家庭的で可愛らしい女性どこ探してもここにしかいませんよ(当社比)。

「えーそうかな?」

 そんなことない。全然そんな事無いよベルさん。ベルさんの目に狂いはないよ、自信持って。

「そういう意味では自分の立場をわきまえて、ベルの誘いを断ったことだけは偉いな」

 おい待て。そんなつもりで断ったんじゃねえ。
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