うちの悪役令息が追放されたので、今日から共闘して一発逆転狙うことにしました

椿谷あずる

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99.サプライズ、それも嬉しいじゃなくてびっくりする系のやつ

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「ずっとお慕いしていました、好きです」

 いやはや、これはまたストレートな告白で。
 最初に告白した女性は、見た目がマリアさんにも似た清楚系のお嬢様だった。そんな彼女が一生懸命告白している。

「うわー……」

 開いた口が塞がらない。
 実際に目の当たりにすると、やっぱりこれ相当恥ずかしいよね?

「ありがとうございましたー!」

 会場にわあっと歓声が沸き起こった。泣いてる人すらいる。
 ……これのどこにそんな要素が。恥ずかし人間晒し首ショーの間違いじゃない? やりたくないなー。
 心の中にポコポコと不穏な気持ちが湧きあがる。
 おっといけない。これじゃマリアさんの魔法が抜群の効果を発揮してしまう。平常心平常心っと。
 自分の気持ちを引き締めて、私はステージに注目した。

「続きましてこちらの女性です」

 今度は高級感あふれる装飾を身にまとった気品ある女性。

「一目見た時からコルトン様の優しい瞳に(以下略」

 この辺は省略してお送りさせていただく。まあとりあえず、それから何人にも渡って愛の告白タイムは繰り広げられたわけだ。
 そしていよいよそれは私の身にも押し寄せる。

「では最後になりました! 心の準備はいいでしょうか、それでは……」

――覚悟を決めるしか、ない! お爺ちゃんがなんだ。これは演技だ、演技。女優になるのよ、ルセリナ!

 意を決して一歩前へと歩み出そうとした、その時だった。

「あら、ちょっと待って下さいね」
「え?」

 急な進行ストップに私の足は空を切った。
 お、どうした、アクシデントか? これで万が一告白審査中止になったら、それはそれでラッキーなんだけど。
 司会者が目の前に差し出されたカンペのようなものを読み上げる。

「コルトン様、ちょっと体の調子が優れないそうです」

 ほ、ん、と、か!
 ざわざわと会場が不安の声に覆われる。
 そうだね一瞬歓喜しちゃったけど、不謹慎だったね。すみません。
 目の前を小走りで伝言役のような人が走り抜けていった。彼はこそっと司会者の女性に耳打ちをする。

「え? そうですか、分かりました」

 何が分かったんだろう。

「……えーっ、確認しましたところ、コルトン様、体調不良により急遽休養を取りたいということです」

 休養!
 再びどよめく会場。
 じゃあもしかしてこれ本当に中止の流れなんじゃ……

「というわけで、コルトン様より指名がありました。ご紹介しましょう、新たな領主ヒューベル様です!!!」
「ぶっ」

 いや待て待て待て待て、聞き間違い? ねえ、私の聞き間違いかな?? だってその展開はっ、その展開は反則でしょう! ね? ねえええぇぇ?

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