うちの悪役令息が追放されたので、今日から共闘して一発逆転狙うことにしました

椿谷あずる

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126.害虫駆除はお任せください!

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「いやぁさすがですよ。さすがアリスちゃん」

 追放がなんだ。フェリクスがなんだ。
 アリスちゃんの優しさに満足した私の怒りは一瞬にして浄化された。これで完結ってことでいいんじゃないかな。アリスちゃんはいい子でしたって事で終わりにしようよ。ヒロイン属性の子のお陰で私達みんな浄化されて、なんだかんだでハッピーエンドってことにしようよ。
 え、駄目なの? そんな無慈悲な。

「アリスさんからの擁護もありますが、最終的には――」

 やっぱり続くか。
 私の心の声など当然知らず、シュタイン先輩はお構いなしに、蛇足になるであろう会話を続けた。

「フェリクス様が『悪いのは偽装魔法を使った僕なんだ。ルセリナが悪なら僕だって追放を』と懇願しまして」

 ……。

「お屋敷の皆様が、フェリクス様の反省の深さに心打たれたので」

 …………。

「これ以上この件について咎めるのは止めよう、とそうなった次第です」

 ………………ね、言わんこっちゃない。
 だからあれほど終わりにしようって言ったのに。付いてきちゃったよ、クソみたいに余計な情報が。聞かなくてよかったよね。
 でもま、聞いちゃったからには仕方ない。

「……なるほど、話は分かりました」

 うん、ね、よーく分かりましたとも。
 
「では、シュタイン先輩」
「はい」

「早く奴を消しに行きましょう」

 こうするほかないだろう。さてと、ここからあの屋敷まで、どのくらいかかるかな?

「おい、だからやめろって」
「止めないで下さいレイズ様。これは私の戦いです」
「戦うな」

 嫌だ。絶対嫌だ。
 何が悲しくて『フェリクス様の優しさのお陰で救われた女』にならなきゃいけないんだ。あんな見え見えの猫かぶり発言にみんな騙されおって。あのクソガキ様は、本心じゃ自分が追放された方がいいなんて微塵も思ってないからね。全てはクソガキ様の娯楽の範疇だからね。

「このままじゃアリスちゃんの人生に悪影響が出ます。虫は駆除しなきゃ」
「お前はアリスの母親か。いいから大人しくしてろ」
「いーやーでーすー」

 押し問答再び。
 この場を立ち去ろうとする私の腕を、レイズ様は無造作に掴んだ。何故なんだ。何故邪魔をする。先輩は見てるだけだし。

「シューターイーンー、おー前ーもー止ーめーろーよー」
「いーえ、助ーけーてーくーだーさーい」

 本当にさっきからなんで何もしないんだ。
 何一つ先輩は心が笑ってない笑顔で私達を見ている。

「いえ、なんといいますか、お二人も随分仲良くなったなと思いまして」
「……」

 この男は。
 思いましてじゃないだろ。そこは感心するところじゃない。というか、これを見て仲がいいと思うのは感性が壊れてる。私はともかく仮にもレイズ様は元雇い主側だろ。いいのかそれで。


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