うちの悪役令息が追放されたので、今日から共闘して一発逆転狙うことにしました

椿谷あずる

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149.神々しさと安心感

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 人質に取ったのに悪くない?
 頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
 そんな私に更にダメ押しをするように、再びその単語が私の耳に届いた。

「悪くはありません」

 今度は年老いた声ではない。
 ヘッセンさんに続き、聞こえてくるのは少女の声だった。私はその声のする方に目を向けた。

「だって今回の人質作戦は、私の同意の上で行われたことですから」

 そう言い切ると、ヘッセンさんの背後からゆっくりと人影が現れた。まだ幼さの残る小柄な少女。
 私はしっかりと姿を目で追った。

「はじめまして、ルセリナ様。この度は、大変ご迷惑をおかけしました。私、ココネ・ダルクと申します」

 ココネ・ダルク。そう名乗った少女は、見た目の幼さからは想像出来ない、とてもしっかりとした挨拶を私に向けた。
 身にまとう雰囲気は温室で丁寧に育てられた高級花のような、庶民には手の届かない感じで――。

「あ、はい、こんにちは」
「お前の方がボサっとしててどうするんだよ」
「そ、そうですよね」

 私は素直に動揺した。
 さっきのモンスター騒動の時は気付かなかったけど、何故だろう、この子すごく惹かれるものがあるのだ。それこそ、今のレイズ様の小言も響かないくらいに。

「ええっと……それで、同意の上の作戦ってのは?」
「なんで俺の方を見て言う」
「え、あ、あれ? どうしてでしょうね」

 その理由が分かったのは、それから数秒後の事だった。
 私が目を逸らしてしまった理由。それは彼女から発する真っ当で神々しいオーラに耐えられなかったからであった。
 そんな事あるもんかって思うでしょ? いや、ある。見てるとその眩しさに消滅しそうになる。

「失礼だろ」
「はい、本当にそう思います」

 それに比べてレイズ様の安心する事といったらない。実家に帰ったような気分。一生見ていられる。

「お前なんか今、失礼なこと考えたな」
「いやいや、考えてませんって」
「……あっそ」

 私の弁明を受け入れたかと思いきや、レイズ様はおもむろにに私の頭を抑えた。

「ち、ちょっと、痛い痛い痛いっ! 何するんですか、いきなりー」
「いいから、こっち見るな」
「分かりました、分かりましたって!」

 何が癇に障ったのだろう。その嫌がらせは暫く続いた。

「ふふふ」

 ココネちゃんの朗らかな笑い声が聞こえる。年下の子に笑われるとは、なんて恥ずかしいんだ。

「ごめんなさい、変なところお見せしました」

 全ては隣にいるこの男のせいです。

「いえ、こちらこそ笑ってしまってごめんなさい」

 丁寧に謝罪を述べると、彼女は改めて話を続けた。

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