女装家政夫の愉快なお仕事(三食昼寝おやつセックスつき)

丸井まー(旧:まー)

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23:だって男の子だもん

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ヨザックに抱き締められて、キスをされた。
ヨザックが開けていたカーテンをアイディー達側だけ閉めたので、外から見られることはない。

ヨザックがいつもより激しくキスをしてくる。アイディーの吐息を奪って飲み込むように、何度も何度も唇を重ねて、アイディーの唇を吸ってくる。アイディーの腰の辺りにヨザックの腕が回っているので、下半身が密着しており、アイディーの股間辺りに固いものがゴリゴリ当たっている。
ヨザックがアイディーに欲情して勃起している。その事実が何故だか嬉しい。自分でも理解できない感情が溢れて、アイディーも夢中でヨザックと唇を吸いあった。
ぬるっとヨザックの舌がアイディーの下唇を舐めた。アイディーは思わず自分の唇に触れているヨザックの舌を舐めた。触れているアイディーの舌を舐めあげるようにして、ヨザックの舌が口内に入ってくる。舌を絡め合いながら、ヨザックがアイディーの口内を舐め回した。特に上顎にヨザックの舌が触れると、ゾクゾクして気持ちがいい。さっきまでヨザックが飲んでいた珈琲の匂いとヨザックが愛用している練り香の匂いがする。アイディーが密着しているヨザックの腰に両手を回すと、アイディーを抱き締めているヨザックの腕の力が強くなった。少し苦しいくらい強く抱き締められると、どうしても心臓が煩いくらいに高鳴る。
ヨザックが唇を触れあわせながら、小さくアイディーの名前を呼んだ。


「……アイディー」

「……ん」

「すまん」

「ん?」


ゴッと2人の額が派手な音を立ててぶつかった。


「いっでぇ!!」

「おぉ……ちょ、お前石頭過ぎんだろ」

「は?何で頭突き?何で頭突き?」

「いや、その、悪い……」


唐突に頭突きをかましてきたヨザックが気まずそうな顔でアイディーから少し身体を離した。
アイディーはじんじんと鈍く痛む額を手で押さえた。ヨザックとのキスで少し反応しかけていた自分の下半身がしゅんと大人しくなる感じがする。
ヨザックが、はぁーと大きな溜め息を吐いて、アイディーの肩に自分の額を押しつけた。


「本当、悪い。色々我慢できなくなりそうだったもんで」

「……我慢」

「おう。お前の石頭のお陰でちょっと落ち着いた」

「……あっそ」


我慢をしなくてはならないのか。
アイディーを緩く抱き締めているヨザックが、ぐりぐりと額をアイディーの肩に擦りつけた。


「……先輩よー」

「んー」

「俺とセックスしてぇの?」

「したいな。でも今はしたくない」

「どっちだよ」

「お前がちゃんと俺のこと好きになってくれたら、お前の全部が欲しい。お前の心も残りの人生も全部俺にくれたら、俺も俺のもん全部お前にやるよ」

「……微妙に意味分かんねぇ」

「俺がお前を好きだってことだよ。お前の心も身体も欲しい。死ぬまで一緒に生きていける権利もな」

「…………」

「とは言えだ。俺もまだ男の子なもんだから、色々先走っちゃうというか何というか」

「……まだ当たってっけど」

「ちょっとは萎えたぜ」

「ちょっとかよ」

「このままお前を押し倒さないくらいの理性は戻ってる」

「……ふーん」

「……わりぃ。気持ち悪いか?」

「あ?何がだよ」

「普通嫌だろ。男にこうされるの」

「本気で嫌なら今頃先輩の顔面ぼっこぼこになってっぞ」

「…………そういうこと言うと、マジで期待するからな」

「……お、おう……」


なんとも言えない空気が流れた。
アイディーは頭突きの痛みと衝撃で萎えたが、未だに服越しにヨザックの勃起したペニスの感触がある。アイディーはどうしようかと目を泳がせた。自分でも不思議な程、今の状況が嫌ではない。むしろ、何故だが嬉しい。胸の辺りがむずむずする。ついでにヨザックの固くなっている股間が当たっているアイディーの股間も少しむずむずする。端的に言うと、こうしてくっついているだけで勃起してしまいそうになる。何だこれ。
アイディーは戸惑いながら、ヨザックに声をかけた。


「……先輩」

「んー?」

「萎えんの?」

「ちょっと待っててくれ。今高等学校の教頭のハゲ頭を必死で思い出してっから」

「マジかよ」

「おう」


アイディーはドキドキと忙しない自分の胸の鼓動を感じながら、恐る恐るヨザックの腰に回していた右手をヨザックの股間に動かした。ズボン越しにヨザックのペニスを掴むと、ヨザックの身体がビクッと震えた。


「ちょっ!こらっ!」

「……全然ガチガチじゃねぇか」

「そんなところ触るんじゃありません!ちょっ、マジで離せアイディー。引っ込みつかなくなるだろっ!!」


何やら焦っているヨザックの顔を見れば、顔どころか、耳まで真っ赤になっている。なんだか少し可愛い。アイディーはごくっと口内に溜まった唾を飲み込んで、ヨザックのペニスの形を確かめるように、ズボンの盛り上がっている所をやんわり撫でた。


「は、ちょっ、アイディー……ダメだ……」

「……抜こうか?」

「……い、いやいやいやいや」

「全然萎えねぇじゃん」

「お前に触られて萎えるわけねぇだろ」

「……ふーん」


何だろう。普段は頼り甲斐があって大人っぽいヨザックが年相応に見えるというか、なんか可愛い。
ヨザックの股間に触れているアイディーの手を、ヨザックが握って股間から離した。


「これ以上は本当ダメだ」

「じゃあ、どうすんだよ」

「……トイレで抜いてくる」

「手伝う?」

「…………いい」

「悩んだ」

「う、うっさい。しょうがないだろ。男の子なんだから」

「ふはっ」


少し拗ねたような顔をするヨザックが、不思議な程可愛く見える。アイディーが思わず笑うと、ヨザックが唇を尖らせてアイディーにデコピンをした。


「さくっと抜いてくるから待っててくれ。頼むから聞き耳立てたりするなよ?」

「しねぇよ」


ヨザックの頬が少し赤い。ガシガシとアイディーの頭を撫でて、ヨザックがトイレへと歩いていった。胸の辺りがむずむずそわそわする。
アイディーは落ち着かない気持ちをもて余したまま、ヨザックがトイレから戻ってくるのを待った。







ーーーーーー
「アイディー。それ、どうした」

「あ?あぁ。先輩とやり合った」

「は?仲がいいんじゃないのか?」

「喧嘩じゃねぇよ。剣の鍛練やっただけだ」

「ふーん」


ロバートが帰宅してアイディーの顔を見るなり、アイディーの頬の擦り傷を指差して眉間に皺を寄せた。保育園に迎えに行った時、ミケーネも同じような反応をした。


「さっさと手を洗ってきてくれよ。今日の晩飯はハンバーグだ」

「あぁ……他にも怪我してるのか?」

「あ?まぁ、何ヵ所か。軽い打撲と擦り傷だけどな」

「薬は?」

「先輩に塗ってもらった」

「家に薬はあるか?」

「あ?薬箱に入ってっけど」

「風呂上がりに塗るから薬箱出しとけ」

「そのうち治るから別にいい」

「早く治った方がいい。……痛いのはしんどいだろ」

「んー……じゃあ頼むわ」

「うん」


アイディーは手を洗いに行くロバートをその場で見送ってから、なんとなく擦り傷がある頬を擦った。別にそんなに痛くないし、この程度の怪我は以前は日常茶飯事だった。何故か自分の方が痛そうな顔をしていたロバートを不思議に思う。
アイディーは首を傾げながら、台所へと向かった。

ミケーネと一緒に風呂に入った後、パンツ1枚の姿でロバートに薬を塗ってもらった。ロバートもミケーネも、何故か自分が痛いような顔をしてアイディーを見た。


「本当に痛くないのか?」

「痛いうちに入らねぇ。剣握ったの、めちゃくちゃ久しぶりだったから、はしゃぎすぎたんだよ」

「……お前、剣が好きなのか?」

「まぁ……先輩とやり合うのはすげぇ楽しい。あの人ガチで強いし」

「よーちゃん、つよいの?」

「めちゃくちゃ強いぜ。俺と2つしか変わらねぇのに、すっげぇ強い」

「かっこいい?」

「ちょー格好いいぜ」

「みたい!」

「あ?剣やってっとこ?」

「うん!」

「……俺も見る。『先輩』とやらに、まだ会ったことがないし」

「そうだっけ?」

「あぁ」

「んー……先輩に都合聞いてみるわ」

「その……アイディー」

「あ?」

「剣が好きなら、やってもいいぞ。ミケーネが保育園に行っている時なら時間に余裕があるだろう」

「鍛練用の剣ねぇからいいわ」

「買えばいいだろう。その、なんだ。お前の休みって実質ないわけだし、ちょっとでも余暇ができれば、その時は自分がしたいことをしていい。鍛練用の剣はボーナスとして買う」


アイディーは目を丸くして、アイディーの頬に薬を塗っているロバートの顔を見た。


「……俺が好きことをしているのだから、お前だって好きなことをしてもいいだろう?」

「いや俺、家政夫だし。常時勤務の」

「雇い主の俺がいいって言ってるんだからいいんだ。……休みがなくて、お前もしたいことあるって、気づかなくて悪かった……その、今更だが、休みの日をつくるか?お前が休みの日は俺1人でなんとかするし」

「あ?できんの?」

「……自信はないけど……」


何故かシュンと萎れているロバートをアイディーはまじまじと見た。普段は情けない馬鹿でダメなオッサンのくせに、こういうところがあるから憎めないのだ。
アイディーはふっと笑って、ロバートの額を軽くつついた。


「休みは別にいらねぇ。ただ、筋トレと剣の素振りはやっていいか?あと、坊っちゃんが保育園行ってる間に先輩と剣の鍛練やったりとか。まぁ、先輩の休みと合った時だけだけどよぉ」

「好きなだけやればいい。次の休みに運動用の服と剣を買いに行くぞ」

「おう。旦那様」

「なんだ」

「ありがとな」

「……別に」


照れたように少し頬を赤くしてそっぽ向くロバートが可笑しくて、アイディーはクックッと小さく笑った。

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