部下に秘密を知られたから口止めとしてセフレになったのに思ってたのとなんか違う!

丸井まー(旧:まー)

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2:バレたーー!?

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 アルノーはご機嫌に花街を歩いていた。明日から久しぶりの二連休である。魔術師長に就任してから公休日も出勤することが多かったので、本当に久しぶりの連休になる。
 せっかくの連休なのだし、新しい玩具を買ってアナニーしまくって過ごそうと思い、現在、花街にある大人の玩具専門店を目指して歩いている。

 アルノーはアナニーが大好きだが、男にはまるで興味がない。10代、20代の頃は、女の恋人をつくったこともあるが、アナニーに目覚めてからは、女相手では物足りなくなった。一度、恋人の女にアナルを弄ってくれと頼んでみたら、ドン引きされた上にフラレた。以来、アルノーは女の恋人はつくっていない。

 アルノーは未だにかなりモテる。男にも女にも人気がある。
 腰まで伸ばしている淡い金髪、宝石のように輝く青い瞳、色白で、顔立ちは美しく整っている。よくよく見ればぽつぽつ白髪があるのだが、元の髪色が淡い金髪なので目立たない。細身だが背が高く、それなりにスタイルもいい。
 貴族の令嬢や子息から恋文をもらったり、親を通じて見合いの打診をされたりと、断るのが正直面倒なくらいモテている。

 アルノーは結婚する気がない。女と結婚をしても、確実にセックスで満足できない自信がある。それどころか、アナニーしまくっているせいで、ペニスへの刺激だけではイケない可能性が高い。
 対外的には仕事が一番の恋人だからということにしているが、ぶっちゃけると、結婚して満足できないセックスをしたり、アナニーができなくなるのが嫌だから結婚する気がない。

 アルノーはローブのフードをきっちり被り直し、大人の玩具専門店に入った。
 お徳用のデカいローションのボトルと浄化球が入った紙袋を手に取ってから、新たなアナニーの相棒を探していく。

 店内をぐるぐる見て回り、アルノーはいつも使っているものより少し太めのバイブを手に取った。
 バイブの根元あたりにリングがついており、そのリングを陰嚢につけると、陰嚢と会陰も刺激してくれるという優れものである。陰嚢、会陰、前立腺、結腸の四点責めなんて最高過ぎる。ペニスを模した竿には、柔らかい素材でできた襞がついており、ピストン機能を使えば、ぐりゅぐりゅと前立腺を襞が刺激してくるとか。愛用しているいぼいぼのものもいいが、これも使ったら楽しそうだ。
 強弱五段階二パターンの動きをしてくれる。連休中のアナニーが捗りそうである。

 アルノーがうきうきともう一つ買おうかと陳列しているバイブやディルドを眺めていると、店のドアが開く音がした。
 何気なくドアの方を見て、アルノーはぎょっとした。部下のダミアンである。

 ダミアンは腰まで伸ばしている茶褐色の癖毛を一つの三つ編みにしており、新緑のような色合いの瞳をしている男前だ。やや吊り目気味で、ちょっとキツそうな雰囲気に顔立ちが整っている。だが、お洒落な感じの黒縁眼鏡をいつもかけているし、やんわりと微笑んでいることが多いので、顔立ちのキツさはあまり気にならない。
 アルノーと同じくらい背が高く、すらっとした体型をしていて、ダミアンもかなりモテるということを知っている。

 アルノーは見つかったらヤバいと焦りながら、両手に買う予定のものを持った状態で、なんとかフードを眼深に被り直した。
 ダミアンは何故、大人の玩具専門店になんか来ているのだろうか。アルノーがアナニー大好きの変態だと誰かに知られたらマズい。こっそり会計をして店を出たいところだが、何故かダミアンがこちらに近づいてくる気配がする。

 マズいマズいマズい……と焦っていると、ぽんと肩を叩かれた。思わずビクッとすると、止める間もなく、ローブのフードを脱がされた。



「あ、やっぱりアルノー魔術師長だ」

「ダ、ダミアン君……」


 アルノーが引き攣った顔をすると、ダミアンがにこっと笑って、アルノーが両手で持っているものを指差した。


「それ、自分用ですか?」

「い、いや?」

「アルノー魔術師長って恋人いませんよね。他の人の魔力を感じたことないですし」

「……その、あの……」

「中々エグいので一人遊びしてるんですねー」

「あ、あ、あ……」


 人は誰しも魔力を持っている。セックスをすると、お互いの体内の魔力が混ざり合う。普通は他人の魔力が混ざっていても気づかないものなのだが、ダミアンは人一倍魔力については敏感で、僅かに残る他人の魔力も感知できてしまう。

 詰んでる感が半端ない。ダミアン以外ならば、適当に『恋人に使う』とか言い訳できるが、よりにもよって、相手はダミアンだ。アルノーに恋人がいないことなんて分かりきっていると思う。

 アルノーが困りに困ってテンパっていると、ダミアンがにこっと笑いながら、とんでもないことを言い出した。


「アルノー魔術師長。流石に魔術師長ともあろうお方がアナニーしまくってるのがバレるのはマズいですよね? 誰にも言いませんから、口止め料ということでセックスさせてください」

「はいっ!?」

「あ、ちなみに俺は男専門ですよ。抱かせてくれるなら誰にも言いませんけど、どうします?」

「……ぼ、僕は男には興味がない」

「でも、好きなんでしょ? アナルを弄るの。そんな玩具持ってるくらいだし」

「うっ……いや、でも……」

「恋人になれとか言いませんよ。面倒ですし。身体だけの関係ってことで。所謂セフレってやつですねー」

「ちなみに、断れば?」

「うっかり飲み会とかでぽろっと喋っちゃうかも?」

「それはやめてくれ! ~~~~っ、き、君のセフレになる……」

「アルノー魔術師長も二連休でしたよね? じゃあ、早速アルノー魔術師長の家に行きましょうか。俺は母と二人暮らしなんで、流石にちょっとね。連れ込み宿は誰かに見られた時が面倒ですし。アルノー魔術師長って一人暮らしでしたよね?」

「あ、うん。その……本当にセフレにならないといけないのか……?」

「ちょうどセックスの相手を探してるとこでしたし、アルノー魔術師長は微妙に俺の好みからずれてるんですけど、まぁ抱けるかなぁと」

「好みじゃないなら、無理に抱かなくてもいいんじゃないかな!? その、あの……望むだけ金を払うし、見なかったことにしてくれると嬉しいんだけど……」

「いやー。金よりセックスの方が嬉しいんでー。で、どうします?」


 アルノーはぐるぐる悩んで、ニコニコ楽しそうに笑っているダミアンを見て、がっくりと項垂れるように頷いた。
 魔術師長という立場にある者がアナニー大好きの変態だと周囲にバレるのは相当マズい。

 ダミアンがにっこり笑って、『とりあえずそれを買ってきてくださいよ』と言ったので、アルノーは会計をして、全て紙袋に入れてもらった。
 泣きたいを通り越して、いっそ吐きたい。20年近く秘密にしていたアナニー趣味を、よりにもよって部下に知られてしまった。男に抱かれるだなんて、素直に気持ちが悪い。アルノーはあくまでアナニー好きなだけであって、普通に女が好きだ。アナルを弄ってくれるような女と出会えないから独身なだけで、アルノーのアナルを玩具でガン掘りしてくれるような女がいたら、すぐに結婚する。

 アルノーは紙袋を持ち、屠殺場に連れて行かれる牛のような気分で、ご機嫌な様子のダミアンと一緒に自宅へと向かって歩き始めた。


「君はなんであの店に来たんだ」

「あぁ。浄化球とローションのストックを買いに行ったんですよ。その後、男専門が集まるバーに行く予定でした」

「僕なんかとしないで、バーで好みの男を探したらいいんじゃないか?」

「いやー。俺も36ですし、おっさんになっちゃいましたからね。中々好みの相手が見つからないことが多いんですよ」

「あ、そう」

「アルノー魔術師長は遊び始めて何年くらいなんです? 少なくとも、俺が就職した頃からずっと恋人いないですよね」

「……もうすぐ20年……」

「わぉ。それだけ長くしてて、男に走らなかったんですね」

「僕が好きなのはあくまで女性だ」

「ふぅん? まぁ、今夜は楽しみましょうよ」

「楽しめる……かなぁ!?」


 アルノーはとんでもないことになっちゃったと思いながら、玄関の鍵を開けて家の中に入った。


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