拾った子犬は英雄様

丸井まー(旧:まー)

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16:嬉しいパーティー

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 新年を迎えて2日目の夕方。アロルドは、バタバタとパーティーの準備をしているデニス達の邪魔にならないように、ソファーの上でそわそわしていた。いよいよ三度目の満月の日がやって来た。今夜は3人で新年おめでとうパーティーである。ふわふわと台所からいい匂いが漂っている。

 エプロンを着けたデニスがエプロンで手を拭きながら、アロルドの側にやって来た。


「コニー。今日は、お風呂はどうする? 一緒に入る?」

「わふっ! (勿論!)」

「じゃあ、そろそろ一緒に入ろうか。のんびりしてると月が出ちゃうし。料理の方は粗方出来上がってるから、お風呂に入ろうね」

「わふっ! (喜んで!)」


 アロルドは、デニスに抱き上げられて、デニスの部屋に着替えを取りに行ってから、ご機嫌に風呂場に向かった。デニスとの入浴という至福の時間を過ごすと、脱衣所で身体を拭いてもらっているタイミングで人間の姿に戻った。目線の違いに一瞬混乱する。アロルドよりもデニスの方が頭半分背が低いので、アロルドは、『あ、戻りましたねー』と全裸でのほほんと笑っているデニスを見下ろし、狼狽えた。

 お互いに全裸である。子犬の時には感じない性欲がぶわっと高まって、本気で勃起しそうになる。アロルドはデニスの裸体を見ないようにデニスから微妙に目を逸らしつつ、中途半端に濡れている身体をタオルで拭いて、デニスが自分の着替えと一緒に持ってきてくれていた服に着替えた。楽な寝間着の上から温かいガウンを羽織る。
 服を着たデニスが、アロルドを見上げて手を伸ばし、タオルでアロルドの濡れた髪を拭き始めた。胸がどんどこどんどこ高鳴る。顔が赤くなっていないことを祈りながら、アロルドはデニスをとめることなく、好きにさせた。
 デニスがアロルドの頭からタオルを離し、アロルドの少し伸びている気がする髪に触れた。


「乾いたかな? コニー。姉さんもお風呂に入ったら、パーティーですよ。パーティー」

「あぁ。すごく楽しみだ」

「ねー」


 おっとり笑うデニスが可愛くて正直堪らん。アロルドはでれっと笑って、デニスと一緒に脱衣所から出た。

 アデラが風呂に入っている間に、完成したご馳走を温め直し、居間のテーブルに運ぶ。デニス達が蒸留酒も買ってきてくれていた。前の満月の時に、アロルドが好きだと言ったからだろう。2人の温かい気遣いが嬉しくて堪らない。

 風呂上がりのアデラが居間にやってくると、パーティーの始まりである。前回の満月の時にお願いした料理と、それとは別に、羊肉の煮込みなど、沢山の美味しそうなものがテーブルの上に並んでいる。杏酒で乾杯してから、子犬の姿では食べられない美味しいものを食べ始める。アデラは本当に料理上手だ。どれも最高に美味しい。おっとり笑って美味しそうに食べるデニスとアデラを眺めているだけでも、なんだかほっこりして、胸の中が満たされていく。アロルドは、今この場に自分がいられることの幸運に感謝しながら、デニスとアデラとのお喋りを楽しみつつ、腹いっぱいになるまで美味しい料理を堪能した。

 沢山あった料理が全てなくなり、杏酒の入った瓶が一瓶空になる頃には、デニスが眠そうにしていた。酔っているのだろう。隣に座るアロルドに寄りかかり、うとうとし始めた。ほんのり顔が赤くなっているアデラが、のほほんと笑った。


「あらあら。デニスはおねむね。飲ませ過ぎたかしら」

「アデラ殿。デニスは酒に弱いのか?」

「そうねぇ。あんまり強くはないから、外では飲まないように言っているわ。この子、酔うとすぐに寝ちゃうから」

「デニスも外で飲むことがあるのだろうか」

「年に数回だけど、職場の人達と一緒に飲みに行くことはあるわねぇ。酔って寝ちゃったらご迷惑をかけるから、基本的に飲まないようにさせてるけど」

「そうか。……デニスを寝かせてこよう」

「お願いするわ。ありがとう。コニー。私では魔法を使わないと運べないのだけど、今日は私も少し飲み過ぎたから、途中でうっかり落としちゃいそうだもの。ふふっ。楽しいとお酒が進むのよねぇ」

「ははっ。俺もすごく楽しかった。こんなに楽しい新年を過ごせるのは、生まれて初めてだ」

「あら。来年も一緒だと嬉しいわねぇ。不便だろうし、早く人間の姿に戻った方がいいのでしょうけど。貴方がいるとデニスが楽しそうだし、いつまでいてくれても構わないわ。もう家族のようなものだもの」

「……ありがとう。アデラ殿」

「ふふっ。後片付けは明日にしましょうか。私もそろそろ眠気が限界だわ」

「あぁ。デニスをベッドに運んだら、食器を台所に運んでおく。桶に水を張って浸けておけばいいのだろうか」

「あら。いいの? じゃあ、お願いするわ」

「あぁ。こんな時にしか手伝いなんてできないからな。普段は世話をしてもらうばかりだ」

「ふふっ。可愛らしくて癒されているから、いてくれるだけで十分よ」

「……そうか」


 アデラも酔っているようで、デニスに話しかけるように、アロルドにも敬語なしで話してくれる。『家族のようだ』と言われて、いっそ泣きたい程嬉しい。デニスも、アデラも、本当に本当に優しい。アロルドには、眩しいくらいだ。

 アデラが『おやすみなさい』と言って、自室に向かっていったので、アロルドは完全に寝てしまったデニスを横抱きに抱き上げて、二階のデニスの部屋に向かった。デニスを抱っこしたまま、なんとか部屋のドアを開けると、ぐっすり眠っているデニスをそっとベッドの上に下ろす。掛け布団と毛布をずらして、デニスの身体にしっかり掛け布団と毛布をかけてやる。穏やかなデニスの寝顔が可愛くて堪らない。アロルドはじっとデニスの寝顔を眺めてから、ベッドのヘッドボードの上の目覚まし時計をちらっと見た。夜明けまで、あと数時間ある。

 本当はもっといっぱいデニスとお喋りしたかったが、気持ちよさそうに眠るデニスを起こすのは可哀そうなので、次回の満月の時の楽しみにとっておく。

 アロルドは、階下の居間に戻って、空っぽになった皿などを台所に運び、桶に水を張って食器類を浸けた。洗って片付けた方がいいのだろうが、アロルドは食器洗いというものをしたことがない。いつもデニス達が洗ったりするところを見ているので、なんとなくは分かるのだが、やったことがないことを中途半端にやって、逆に二度手間になるようだといけない。
 アロルドはほんの少しだけ残っていた蒸留酒を飲み干すと、デニスの部屋に向かった。

 デニスの隣に横になり、デニスが熟睡していることを確認してから、おずおずとデニスの身体を抱きしめる。幸せ過ぎて、思わず溜め息が出てしまう。慣れたデニスの体温と匂いに、どうしてもペニスが反応してしまう。

 アロルドは暫し悩んだ後で、自分の股間に手を伸ばした。こちらを向いて穏やかな寝息を立てているデニスの寝顔をガン見しながら、勃起してしまった自分のペニスをできるだけ静かに擦る。久しぶりの快感と興奮に荒い息が出てしまうが、デニスを起こしてしまったら気まずいどころではないので、できるだけ振動や荒い呼吸がデニスに伝わらないように頑張りながら、自分のペニスを扱いていく。先走りを塗り広げるようにペニス全体をゆるゆると扱くだけで、射精しそうになる。

 アロルドは、デニスの寝顔をじっと見つめながら、自分のアナルがうずうずするのを感じた。ペニスを弄るだけでは物足りない。デニスの無垢な色合いの大きなペニスをアナルに咥えこみたい。

 デニスは熟睡していて、起きる気配がまるでない。アロルドは、ごくっと唾を飲みこんだ。デニスのペニスをアナルに咥えこむのはマズいだろうが、デニスのペニスを舐めるくらいはしてもいいのではないだろうか。アロルドは、自分も酔っているなと思いながら、どうしても頭の中に思いついた誘惑に勝てず、そーっと起き上がり、2人の身体にかけていた布団をずらした。

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