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第12章 Moving Voice
5.
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「ケルベロス、どうしたんだ。伏せっ!! ケルベロス!?」
裕貴くんに懐いていたはずのドーベルマンは、裕貴君の言葉に従わず、グルルルと唸りながら歯茎を剥いて牙のような歯を見せ、だらりと舌と涎を垂らし、唸りながらゆらりと距離を詰めてくる。
なによりその目が真っ赤になっており、これは興奮を超えた異常事態だと本能で感じて悪寒が背中に走った。
そして。
「柚、裕貴! ソファの影に走れ!」
ドーベルマンが須王に向かって飛び跳ねると同時に、須王が声を上げる。
「須王!!」
悲鳴を上げれば、ドーベルマンがあたしの方を向き、棗くんが間に割って視界を塞いでくれている間に、あたしは裕貴くんに引き摺られた。
立ち上がれば、大人の男以上もある大型犬。
その動きはとても速く獰猛で、須王の腕に噛みついた。
「須王!」
棗くんは銃を取り出し、ドーベルマンを狙うが、裕貴くんが声を上げた。
「棗姉さん、殺さないで!!」
舌打ちした棗くんが、硝煙を漂わせてドーベルマンの足を撃ったが、須王から離れない。
獣の狩猟本能の方が、痛みよりも強いようだ。
このままなら、須王がやられてしまう。
「須王、須王!!」
あたしは涙声を張り上げる。
ドーベルマンが、床に崩れた須王にそのまま覆い被さる。
棗くんの銃にびくともしない。
「やだ、やだ、須王!!」
その時、犬の体が浮き上がった。
「ああ、くそっ、重いっ!!」
須王がドーベルマンに噛みつかれる前に、横にしたナイフをドーベルマンの牙に押し当てて噛みつかれるのを回避していたらしく、そのまま力任せに起き上がる。
そして棗くんが、須王に憤るドーベルマンの腹を横から思いきり蹴り上げ、さらに須王までもが蹴りを追撃すれば、その体は上昇した。
空飛ぶドーベルマン。
須王はナイフを持った片手で、宙に銀と真紅の光を煌めかせるようにして、ドーベルマンに切りつけ、そしてどさりとケルベロスが床に落ちた。
随分と長い時間を要していたようだが、ケルベロスが落下するまでの間に成された早業だった。
「ケルベロス!?」
裕貴くんの震えた声に、棗くんがさらりと髪を掻き上げながら言う。
「大丈夫よ、死なせてはいない。足の腱を切っただけ。しばらく安静にしていれば治るでしょう」
ケルベロスは四肢をだらりと垂らしたまま、横になっているが、飼い主の裕貴くんが手を出そうとすると、唸って噛みつこうとした。
「裕貴、手を出すな」
「……っ」
犬を飼ったことがないあたしには、ゾンビゲームのゾンビ犬とか狂犬病とかがこういう感じなのかなと想像するしかない。
「看護師は!?」
棗くんの声で慌てて、今まで裕貴くんのお姉さんだった看護師さんを見たが、その姿が消えていた。
「ちくしょう、犬に薬飲ませた、もうひとりがいたのか!」
逃走は、窓のルートだ。
そう断定出来るのは、床に泥がついた大きな靴跡が点々としていたから。
それは、悪天候だったブルームーンが残した、明らかな証拠だった。
須王がすぐに駆けて、その靴跡を残した人物を突き止めようとしたけれど、黒い車に乗り込んで逃走してしまったようだ。
戻ってきた彼の足は、案の定泥だらけ。
これでは犯人の一味になってしまうと靴下を脱がせ、用意した濡れタオルで王様のおみ足を拭ってあげれば、王様は顔から硬質の警戒心が少し解けたような……ご満悦な笑みを浮かべて、あたしの頭をよしよししてくれた。
あたしはワンコの気分で、尻尾を振りたい心地。
「自分でしなさいよ。上原サンにそんなことまでさせて。あんた彼女を、ペットとして調教でもしているの?」
しまった、傍観者がいるんだったと、あたしは慌てて、空想の尻尾を引っ込ませて、二足歩行できる人間へと成長。
「いいんだよ。これも愛情表現。お前らが見ていないところで、色々俺だって濃厚なご奉仕しているんだから。な、柚?」
「濃厚な、ご奉仕……」
あたしより聞いている裕貴くんの方が赤くなり、瀕死状態だ。
阿吽の呼吸の王様と女王様に助けられた形で、なんとか張り詰めていた空気も緩和して、ド素人のあたしと裕貴くんはようやく呼吸を出来るようになったと思う。
こういうところも須王と棗くんは凄い。
何度もこうした緊迫した場面に立ち会い、対処方法を知っているから、なんだろうけれど。
棗くんが須王にぽいとなにかを寄越せば、ボールペンだ。
「高性能の盗聴器発見機よ。須王は上原サンと一階を。私は裕貴と二階を探してくるわ」
棗くんの提案通りふた組に分れて、宮田家の住人や盗聴器や爆弾などという物騒なものを探したが、拍子抜けしてしまうほど異常がなかった。
棗くん達と合流しても、二階も異常はなかったらしい。
そんな時、あたしのハンカチで轡(くつわ)中のドーベルマンが、クゥンと弱々しい声を出したため、皆で宮田家かかりつけの動物病院にドーベルマンを連れ、傷の手当てと共に胃の洗浄をして貰い、可哀想なケルベロスは点滴と、専用の轡をつけて数日入院となった。
獣医さんは、弾痕にも驚いていたけれど、そこは棗くん、話術ですんなりとかわして、銃弾を取って貰った。
病院からの帰り、裕貴くんの携帯が立て続けに鳴った。
それは安否を気にして裕貴くんが連絡をとっていた、お母さんとおばあちゃん、本当のお姉さん達、お父さんからだったらしい。
「なんだよもう。なんで後から一斉に連絡寄越すんだよ」
裕貴くんはぷりぷり怒りっているが、ほっとしたようで、それはあたし達も同じ心地だ。
「ちょっと、スイーツでも食べて一息いれよう」
帰りにコンビニに寄り、あたしのおごりでプチデザートを買い、宮田家にお邪魔する。勿論再度念入りに、平和とは縁遠いものを探索した上でリビングで、お母さんとおばあちゃんのお戻りを待つことにする。
やはり、無事を確認したかった。
ちなみにリビングの割れた窓は、棗くんの電話一本で新しい窓が届けられ、配達人を頑なに中に入れない須王と棗くんがせっせと取り付けた。
これは外から銃弾が撃ち込まれようとも平気なものらしい。
元々嵌め殺しになっている窓は、一緒に運ばれた透明な防弾シートを中から貼る。これは特殊素材だそうで、一般には売られていないとか。
電話一本、まるでそばの出前でも頼むように届けさせ(どこから?)、取り外した窓を回収させる棗くんは凄い。
外から見れば、以前と変わりがない家だけれど、実際は堅固に生まれ変わった。須王と棗くん曰く、バズーカー砲でも持って来ない限り、窓硝子からの侵入は不可避らしい。同時に空き巣にも狙われる心配はないと笑う。
「なあ裕貴。このことは、お袋さんやばあちゃんに言うな。下手に心配させるのは、心労をかけさせるだけだ」
「うん、そうするよ。でも今日みたいに、病院とか買い物に出歩くのはどうしよう」
「恐らく、ふたりが今無事に帰ってこれるのなら、狙われねぇだろう」
「根拠はなんだよ」
「勘」
……王様は、人差し指でコメカミをぽんぽん叩いて言い切った。
しかしその目は怜悧な光を湛えており、冗談ではないことはすぐわかる。
「今までの流れでは誰かが十悪の犠牲になっている。わざわざ『殺生』を選んで曲を聞かせたということは、俺らが接触した誰かが殺されたという可能性が高いが、死体がないとなれば今までの流れとはなにか違う」
そうだ。
今まで十悪に該当するものを犯した(と思われている)牧田チーフ、美保ちゃん達は、既に断罪がなされた後に音楽が流れていた。
しかも相手から直接招かれたわけではなく、あたし達が偶然にその場所に行き当たった時もあったのだ。
「犠牲者の裕貴の家族であったのなら、こんな面倒なことせずに死体を置いておけばいい。俺らを呼び出す意味がわからねぇよ」
「もしも……呼び出された場所が違ったとしたら?」
棗くんが怖いことを言う。
「看護師もいたし、病院?」
「まさか、遥がっ!?」
「いや、その可能性はねぇと俺は見る。ほっとけきゃ、そのうちまた、遥に会いに病院に行くのはわかるだろう。わざわざこのタイミングで、呼び寄せる意味はねぇよ」
須王は目を細めた。
「それにここは見張られていたから、あの看護師は連れ去られた。呼び出されたのはここだ。問題は、なぜここなのか、だ」
裕貴くんに懐いていたはずのドーベルマンは、裕貴君の言葉に従わず、グルルルと唸りながら歯茎を剥いて牙のような歯を見せ、だらりと舌と涎を垂らし、唸りながらゆらりと距離を詰めてくる。
なによりその目が真っ赤になっており、これは興奮を超えた異常事態だと本能で感じて悪寒が背中に走った。
そして。
「柚、裕貴! ソファの影に走れ!」
ドーベルマンが須王に向かって飛び跳ねると同時に、須王が声を上げる。
「須王!!」
悲鳴を上げれば、ドーベルマンがあたしの方を向き、棗くんが間に割って視界を塞いでくれている間に、あたしは裕貴くんに引き摺られた。
立ち上がれば、大人の男以上もある大型犬。
その動きはとても速く獰猛で、須王の腕に噛みついた。
「須王!」
棗くんは銃を取り出し、ドーベルマンを狙うが、裕貴くんが声を上げた。
「棗姉さん、殺さないで!!」
舌打ちした棗くんが、硝煙を漂わせてドーベルマンの足を撃ったが、須王から離れない。
獣の狩猟本能の方が、痛みよりも強いようだ。
このままなら、須王がやられてしまう。
「須王、須王!!」
あたしは涙声を張り上げる。
ドーベルマンが、床に崩れた須王にそのまま覆い被さる。
棗くんの銃にびくともしない。
「やだ、やだ、須王!!」
その時、犬の体が浮き上がった。
「ああ、くそっ、重いっ!!」
須王がドーベルマンに噛みつかれる前に、横にしたナイフをドーベルマンの牙に押し当てて噛みつかれるのを回避していたらしく、そのまま力任せに起き上がる。
そして棗くんが、須王に憤るドーベルマンの腹を横から思いきり蹴り上げ、さらに須王までもが蹴りを追撃すれば、その体は上昇した。
空飛ぶドーベルマン。
須王はナイフを持った片手で、宙に銀と真紅の光を煌めかせるようにして、ドーベルマンに切りつけ、そしてどさりとケルベロスが床に落ちた。
随分と長い時間を要していたようだが、ケルベロスが落下するまでの間に成された早業だった。
「ケルベロス!?」
裕貴くんの震えた声に、棗くんがさらりと髪を掻き上げながら言う。
「大丈夫よ、死なせてはいない。足の腱を切っただけ。しばらく安静にしていれば治るでしょう」
ケルベロスは四肢をだらりと垂らしたまま、横になっているが、飼い主の裕貴くんが手を出そうとすると、唸って噛みつこうとした。
「裕貴、手を出すな」
「……っ」
犬を飼ったことがないあたしには、ゾンビゲームのゾンビ犬とか狂犬病とかがこういう感じなのかなと想像するしかない。
「看護師は!?」
棗くんの声で慌てて、今まで裕貴くんのお姉さんだった看護師さんを見たが、その姿が消えていた。
「ちくしょう、犬に薬飲ませた、もうひとりがいたのか!」
逃走は、窓のルートだ。
そう断定出来るのは、床に泥がついた大きな靴跡が点々としていたから。
それは、悪天候だったブルームーンが残した、明らかな証拠だった。
須王がすぐに駆けて、その靴跡を残した人物を突き止めようとしたけれど、黒い車に乗り込んで逃走してしまったようだ。
戻ってきた彼の足は、案の定泥だらけ。
これでは犯人の一味になってしまうと靴下を脱がせ、用意した濡れタオルで王様のおみ足を拭ってあげれば、王様は顔から硬質の警戒心が少し解けたような……ご満悦な笑みを浮かべて、あたしの頭をよしよししてくれた。
あたしはワンコの気分で、尻尾を振りたい心地。
「自分でしなさいよ。上原サンにそんなことまでさせて。あんた彼女を、ペットとして調教でもしているの?」
しまった、傍観者がいるんだったと、あたしは慌てて、空想の尻尾を引っ込ませて、二足歩行できる人間へと成長。
「いいんだよ。これも愛情表現。お前らが見ていないところで、色々俺だって濃厚なご奉仕しているんだから。な、柚?」
「濃厚な、ご奉仕……」
あたしより聞いている裕貴くんの方が赤くなり、瀕死状態だ。
阿吽の呼吸の王様と女王様に助けられた形で、なんとか張り詰めていた空気も緩和して、ド素人のあたしと裕貴くんはようやく呼吸を出来るようになったと思う。
こういうところも須王と棗くんは凄い。
何度もこうした緊迫した場面に立ち会い、対処方法を知っているから、なんだろうけれど。
棗くんが須王にぽいとなにかを寄越せば、ボールペンだ。
「高性能の盗聴器発見機よ。須王は上原サンと一階を。私は裕貴と二階を探してくるわ」
棗くんの提案通りふた組に分れて、宮田家の住人や盗聴器や爆弾などという物騒なものを探したが、拍子抜けしてしまうほど異常がなかった。
棗くん達と合流しても、二階も異常はなかったらしい。
そんな時、あたしのハンカチで轡(くつわ)中のドーベルマンが、クゥンと弱々しい声を出したため、皆で宮田家かかりつけの動物病院にドーベルマンを連れ、傷の手当てと共に胃の洗浄をして貰い、可哀想なケルベロスは点滴と、専用の轡をつけて数日入院となった。
獣医さんは、弾痕にも驚いていたけれど、そこは棗くん、話術ですんなりとかわして、銃弾を取って貰った。
病院からの帰り、裕貴くんの携帯が立て続けに鳴った。
それは安否を気にして裕貴くんが連絡をとっていた、お母さんとおばあちゃん、本当のお姉さん達、お父さんからだったらしい。
「なんだよもう。なんで後から一斉に連絡寄越すんだよ」
裕貴くんはぷりぷり怒りっているが、ほっとしたようで、それはあたし達も同じ心地だ。
「ちょっと、スイーツでも食べて一息いれよう」
帰りにコンビニに寄り、あたしのおごりでプチデザートを買い、宮田家にお邪魔する。勿論再度念入りに、平和とは縁遠いものを探索した上でリビングで、お母さんとおばあちゃんのお戻りを待つことにする。
やはり、無事を確認したかった。
ちなみにリビングの割れた窓は、棗くんの電話一本で新しい窓が届けられ、配達人を頑なに中に入れない須王と棗くんがせっせと取り付けた。
これは外から銃弾が撃ち込まれようとも平気なものらしい。
元々嵌め殺しになっている窓は、一緒に運ばれた透明な防弾シートを中から貼る。これは特殊素材だそうで、一般には売られていないとか。
電話一本、まるでそばの出前でも頼むように届けさせ(どこから?)、取り外した窓を回収させる棗くんは凄い。
外から見れば、以前と変わりがない家だけれど、実際は堅固に生まれ変わった。須王と棗くん曰く、バズーカー砲でも持って来ない限り、窓硝子からの侵入は不可避らしい。同時に空き巣にも狙われる心配はないと笑う。
「なあ裕貴。このことは、お袋さんやばあちゃんに言うな。下手に心配させるのは、心労をかけさせるだけだ」
「うん、そうするよ。でも今日みたいに、病院とか買い物に出歩くのはどうしよう」
「恐らく、ふたりが今無事に帰ってこれるのなら、狙われねぇだろう」
「根拠はなんだよ」
「勘」
……王様は、人差し指でコメカミをぽんぽん叩いて言い切った。
しかしその目は怜悧な光を湛えており、冗談ではないことはすぐわかる。
「今までの流れでは誰かが十悪の犠牲になっている。わざわざ『殺生』を選んで曲を聞かせたということは、俺らが接触した誰かが殺されたという可能性が高いが、死体がないとなれば今までの流れとはなにか違う」
そうだ。
今まで十悪に該当するものを犯した(と思われている)牧田チーフ、美保ちゃん達は、既に断罪がなされた後に音楽が流れていた。
しかも相手から直接招かれたわけではなく、あたし達が偶然にその場所に行き当たった時もあったのだ。
「犠牲者の裕貴の家族であったのなら、こんな面倒なことせずに死体を置いておけばいい。俺らを呼び出す意味がわからねぇよ」
「もしも……呼び出された場所が違ったとしたら?」
棗くんが怖いことを言う。
「看護師もいたし、病院?」
「まさか、遥がっ!?」
「いや、その可能性はねぇと俺は見る。ほっとけきゃ、そのうちまた、遥に会いに病院に行くのはわかるだろう。わざわざこのタイミングで、呼び寄せる意味はねぇよ」
須王は目を細めた。
「それにここは見張られていたから、あの看護師は連れ去られた。呼び出されたのはここだ。問題は、なぜここなのか、だ」
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