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アフターストーリー『ディズニー♡プリンセスナイト』
黒咲りりあ編:「#きみといる夢なら、もう目覚めたくない」
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「べ、別にあんたのために待ってたわけじゃないんだからねっ!」
……言っちゃった。
っていうか、言わせないでほしいし。
せっかく、みんなと別れてふたりきりになれたのに、
第一声がこれって、ほんと……ほんとわたしってば……
「……うう、バカ……」
口の中で小さくつぶやいたのは、きっと自分に対して。
彼――水城 澪は、相変わらず涼しい顔してて。
でもその目が、ふわってやわらかく細められてるの、ちゃんと見えてる。
「うん、でも……待っててくれてありがとう、りりあ」
「~~っ! だ、だからっ! ちが……」
ねぇもう、やめて?
そんなストレートな笑顔で返されたら、わたし、負けちゃうから。
……もう、半分くらい負けてる気がするけど。
* * *
午後のパークは、日差しがちょっとだけ優しくなって、
人の波も落ち着いて、ふたりの時間が自然に溶けていく。
「次、どこ行く?」
「んー……別に、どこでも。りりあが行きたいとこでいいよ」
「は? そ、そういうのがいちばん困るのよね! リードしなさいよ、男でしょ!」
「はは、じゃあ……あそこ、どう?」
指さされた先にあったのは、暗めのライド系アトラクション。
ま、まさか……やっぱり、あの手のやつ?
「こ、こわいとかじゃないんだからね……! そういうの、女子って“きゃー”ってなって、男子に抱きついたりするでしょ? べ、べつにそういうの期待してるとか、そういうんじゃなくて――!」
「うん。じゃあ、俺が抱きしめてあげるね」
「~~~~~~っっ!!」
ちがうの! そういうのじゃないの!
でもちがわなくてもいいの!!(どっちなの!?)
真っ赤な顔を隠すように、わたしは彼の手をぎゅっと引っぱった。
「……とっとと行くわよ、バカ澪……!」
* * *
アトラクションの中は、想像以上に暗くて、静かで、
ふたりの距離が、息づかいまで届くくらい近くなる。
「りりあ、こわい?」
「……うるさい。こわくないけど、手は……つないでて、あげる」
「“あげる”、なんだ」
「う、うっさいっ!」
でも、その手はたしかにあったかくて、
指先が少しだけ震えてたのは、たぶんどっちも。
ライドが揺れて、静寂の中に映る幻想的な水の光景――
まるで水中を漂ってるみたいな空間で、
気づいたら、彼の肩によりかかってた。
「……ねぇ」
わたしの声は、ささやきみたいに小さかった。
「今、キスしたら……ダメ?」
「……ダメじゃないよ」
目を閉じた瞬間、
唇が重なった。
暗闇に包まれた静けさのなかで、
ふたりの熱だけが、確かに触れ合っていて。
ツンデレなんて、
そんなキャラどっか飛んでっちゃうくらい、甘くて、やさしいキスだった。
「ん……っ、」
唇が離れて、でも心はぴったりくっついたままで。
わたしは、彼の耳元に、そっと呟いた。
「……だいすき、なんだからね。今日だけは、素直になってあげる」
「うん。俺もずっと、りりあのことが好きだよ」
「~~っ、ずっとって……ずるい、そういうの。あとでまた、ちゃんと言って……」
「何回でも言うよ。“好き”って。りりあのことが、大好き」
……ねぇ、なんでそんなに真っ直ぐなの。
そんな風に何度も言われたら、わたし……
「……んっ、もういっかい、して……?」
自分で言って、自分で顔が真っ赤になる。
でも、止められない。
澪の瞳が、驚いたあと、ふっと笑って――
さっきよりずっと、深くて、やさしくて、でもどこか熱っぽいキスをくれた。
「ん……んっ……ぁ、ふ……ん……♡」
もう、頭の中、ふわふわで。
何が現実で、どこが夢なのか、よくわかんなくなってく。
気づけばわたし、ぎゅうって澪に抱きついて、
彼の胸に顔をうずめて――
「……もっと、ギュってして……離れないで……」
声、震えてた。
たぶん涙もちょっと出てた。
「どうしたの?」
「……だって、こわいの。夢だったらどうしようって……。
せっかくここまで来たのに、澪のこと、本当に好きになっちゃったのに……朝起きたら全部なかったことになってたら、って……!」
「……りりあ、これ、夢じゃないよ。
だって、こんなに可愛いりりあが、こんなに甘えてくれるんだもん。絶対現実」
「な……ば、ばか……っ、かわいいって……そ、そういうの、もっと言ってよ……」
もう、ぐずぐずだった。
ツンとか、カッコつけとか、そういうの全部どっか行っちゃって。
「……ねぇ、澪」
「うん?」
「今夜……わたしの部屋、来るでしょ?」
「もちろん。ずっと一緒にいるって、約束したもん」
「……うん、約束だよ。だから……いーっぱい、甘やかして?」
「うん。りりあがくっついてくる限り、ぎゅってして、好きって何回でも言う」
「えへへ……♡ だいすき、澪。……だいすき、だいすき、だいすき……っ♡」
パレードの音が遠くに聞こえて、
夢の国のイルミネーションが、わたしたちを包み込む。
わたしは、腕の中で、子猫みたいに何度も頬をすり寄せながら、
何度も「すき」を囁いていた――まるで、はじめて“恋”を知った少女みたいに。
……言っちゃった。
っていうか、言わせないでほしいし。
せっかく、みんなと別れてふたりきりになれたのに、
第一声がこれって、ほんと……ほんとわたしってば……
「……うう、バカ……」
口の中で小さくつぶやいたのは、きっと自分に対して。
彼――水城 澪は、相変わらず涼しい顔してて。
でもその目が、ふわってやわらかく細められてるの、ちゃんと見えてる。
「うん、でも……待っててくれてありがとう、りりあ」
「~~っ! だ、だからっ! ちが……」
ねぇもう、やめて?
そんなストレートな笑顔で返されたら、わたし、負けちゃうから。
……もう、半分くらい負けてる気がするけど。
* * *
午後のパークは、日差しがちょっとだけ優しくなって、
人の波も落ち着いて、ふたりの時間が自然に溶けていく。
「次、どこ行く?」
「んー……別に、どこでも。りりあが行きたいとこでいいよ」
「は? そ、そういうのがいちばん困るのよね! リードしなさいよ、男でしょ!」
「はは、じゃあ……あそこ、どう?」
指さされた先にあったのは、暗めのライド系アトラクション。
ま、まさか……やっぱり、あの手のやつ?
「こ、こわいとかじゃないんだからね……! そういうの、女子って“きゃー”ってなって、男子に抱きついたりするでしょ? べ、べつにそういうの期待してるとか、そういうんじゃなくて――!」
「うん。じゃあ、俺が抱きしめてあげるね」
「~~~~~~っっ!!」
ちがうの! そういうのじゃないの!
でもちがわなくてもいいの!!(どっちなの!?)
真っ赤な顔を隠すように、わたしは彼の手をぎゅっと引っぱった。
「……とっとと行くわよ、バカ澪……!」
* * *
アトラクションの中は、想像以上に暗くて、静かで、
ふたりの距離が、息づかいまで届くくらい近くなる。
「りりあ、こわい?」
「……うるさい。こわくないけど、手は……つないでて、あげる」
「“あげる”、なんだ」
「う、うっさいっ!」
でも、その手はたしかにあったかくて、
指先が少しだけ震えてたのは、たぶんどっちも。
ライドが揺れて、静寂の中に映る幻想的な水の光景――
まるで水中を漂ってるみたいな空間で、
気づいたら、彼の肩によりかかってた。
「……ねぇ」
わたしの声は、ささやきみたいに小さかった。
「今、キスしたら……ダメ?」
「……ダメじゃないよ」
目を閉じた瞬間、
唇が重なった。
暗闇に包まれた静けさのなかで、
ふたりの熱だけが、確かに触れ合っていて。
ツンデレなんて、
そんなキャラどっか飛んでっちゃうくらい、甘くて、やさしいキスだった。
「ん……っ、」
唇が離れて、でも心はぴったりくっついたままで。
わたしは、彼の耳元に、そっと呟いた。
「……だいすき、なんだからね。今日だけは、素直になってあげる」
「うん。俺もずっと、りりあのことが好きだよ」
「~~っ、ずっとって……ずるい、そういうの。あとでまた、ちゃんと言って……」
「何回でも言うよ。“好き”って。りりあのことが、大好き」
……ねぇ、なんでそんなに真っ直ぐなの。
そんな風に何度も言われたら、わたし……
「……んっ、もういっかい、して……?」
自分で言って、自分で顔が真っ赤になる。
でも、止められない。
澪の瞳が、驚いたあと、ふっと笑って――
さっきよりずっと、深くて、やさしくて、でもどこか熱っぽいキスをくれた。
「ん……んっ……ぁ、ふ……ん……♡」
もう、頭の中、ふわふわで。
何が現実で、どこが夢なのか、よくわかんなくなってく。
気づけばわたし、ぎゅうって澪に抱きついて、
彼の胸に顔をうずめて――
「……もっと、ギュってして……離れないで……」
声、震えてた。
たぶん涙もちょっと出てた。
「どうしたの?」
「……だって、こわいの。夢だったらどうしようって……。
せっかくここまで来たのに、澪のこと、本当に好きになっちゃったのに……朝起きたら全部なかったことになってたら、って……!」
「……りりあ、これ、夢じゃないよ。
だって、こんなに可愛いりりあが、こんなに甘えてくれるんだもん。絶対現実」
「な……ば、ばか……っ、かわいいって……そ、そういうの、もっと言ってよ……」
もう、ぐずぐずだった。
ツンとか、カッコつけとか、そういうの全部どっか行っちゃって。
「……ねぇ、澪」
「うん?」
「今夜……わたしの部屋、来るでしょ?」
「もちろん。ずっと一緒にいるって、約束したもん」
「……うん、約束だよ。だから……いーっぱい、甘やかして?」
「うん。りりあがくっついてくる限り、ぎゅってして、好きって何回でも言う」
「えへへ……♡ だいすき、澪。……だいすき、だいすき、だいすき……っ♡」
パレードの音が遠くに聞こえて、
夢の国のイルミネーションが、わたしたちを包み込む。
わたしは、腕の中で、子猫みたいに何度も頬をすり寄せながら、
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