『スプラッシュ・サマー・キス♡』〜アイドル達の夏と恋と″ホラー″〜

のびすけ。

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アフターストーリー『ディズニー♡プリンセスナイト』

幽谷しずく編:ふたりの秘密、星にとけて

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「……ねえ、しずくちゃん? 眠そうじゃない?」

レストランを出た後、
ホテルのロビーまで手をつないで歩いてるとき。
わたしはそっと、彼の手をぎゅっと握りなおした。

「ううん……眠くないよ。むしろ……さっきから、ずっと、ドキドキしてるの」

照れくさそうに笑った彼に、
わたしはもう一度、少しだけ強く手を引いた。

「……はやく、お部屋に行こ? わたし……がんばるって、決めたから」

その言葉が、わたしの胸の奥から出てきたとき――
きっと顔は、真っ赤だったと思う。

ミラコスタの部屋は、とても静かで、
天井にはまるで星のような間接照明が灯っていた。

「……ねえ、覚えてる? 夏の夜、花火を見ながら……」

わたしはソファの上で、彼の隣に座ったまま、目を伏せた。

「――“ずっと一緒にいたい”って言ったの。あれ、ほんとだよ」

「しずく……俺も、同じ気持ちだよ」

その声だけで、胸がいっぱいになる。
わたしの手は、もう無意識に彼の指を探してた。

「……じゃあ、お風呂、入ろ? 一緒に」

そう言って立ち上がると、
彼の手が、やさしくわたしの手を引いた。

お風呂場の湯気が、わたしの肌を包む。

白くて透明な肌。
細くてすらりとした肩。
胸は小さめだけど、手のひらにすっぽり収まりそうな丸みがあって。
背中から腰のラインが、なだらかに曲線を描いている。

「……あんまり、見ないでね?」

わたしはタオルで胸を押さえながらそう言ったけど、
ほんとは少し、見てほしいって思ってた。

彼の目がやさしくて。
だから、怖くなかった。

湯船に一緒に入って、
彼がそっとわたしの肩に触れたとき――
思わず、小さく息を呑んだ。

「……ふふ、手……冷たいね」

「緊張してるんだよ、俺も……」

その答えが嬉しくて、わたしはそっと寄り添った。

ベッドに入ったとき、
わたしは彼の胸に、そっと頬を当てた。

「……ねえ、今日だけは、わたし……素直になるって決めたの」

彼の目が見つめ返してくる。

「――だって、好きな人と、こうしてふたりきりの夜なんて……
きっと、もう何度もあるわけじゃないよね?」

唇と唇が、そっと重なった。

「……ふぅ、ん……」

身体の距離が、自然と近づいていく。

彼の手がわたしの背中をゆっくり撫でて、
わたしの手も、彼の胸に触れる。

タオルがほどけて、
肌と肌がふれあった瞬間、
心臓の音が跳ね上がった。

「……だめ……じゃないよ。今日は、全部、あげたいの」

わたしの声は震えてたけど、
目だけは、まっすぐ彼を見てた。

ふたりの影が重なって、
熱がゆっくりと溶けていく。

胸元に触れた彼の指に、小さく声が漏れる。
細くて柔らかい脚が彼の腰に絡んで、
くちづけが深く、長く、重なって――

夜が明けるころ、
わたしは彼の胸の中で、小さくつぶやいた。

「……こんなに幸せな気持ち、初めてだよ」

そして、目を閉じながらキスをひとつ。

「おはよう。今日も、だいすき」

そう。
恋って、怖いことばかりだと思ってた。
でも――
こんなにあったかくて、柔らかくて、やさしいものだったんだ。
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