強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬

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この世界はゲーム

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「秘密の花園で愛され偽物悪役令嬢の魔法世界」

メディア化も数多くされている大人気乙女ゲーム。

主人公の悪役令嬢は悪名高い家の少女だった。

使役している使い魔と共に学園に入学するところから始まる。
そこで少女は友人や使い魔達と共に、学園の最高位である神の祝福になるために生徒会に挑むという話だ。

その中でも、使い魔や友人…生徒会などと交流して恋をする。

シリーズは三つあり、攻略キャラクターが四人ずつ増えていき12人もいる。
シリーズの二つは学園編で、最新作は卒業後の話になる。

俺がどうして詳しいのかは、妹の影響が大きい。
妹はこういうゲームが好きで、俺によく勧めていた。

ゲームは俺のやっていたゲームにも頻繁に広告として出ていた。
その時は興味もなくて、軽く流していたがそこまで勧めるならとやってみた。

スマホ版もあるが、妹は実機を貸してくれたから液晶が大きな実機で始めた。
迫られているシーンは全年齢ギリギリを攻めていて色気でドキドキした。

戦うシーンもあったが、RPGではなくノベルゲームだった。

結局三作目までやって、内容も頭に入っていた。
妹の最推しは騎士団長と生徒会長の二人だった。

騎士団長は学園の中では出会わなくて、外で基本出会う人だ。
ちなみに学園の寄宿舎の隣に騎士団の兵舎がある。

名家の子息令嬢もいて、未来を背負う生徒達を守るという役目がある。
学園の元神の祝福だから、魔力も強く守ってくれるのが魅力なのだろう。

しかし、今の生徒会長は強さに固執した俺様男だった。

どちらも最初はレイラの事をよく思っていなくて、だんだん惹かれていくと執着が見えてくる。

俺は男ばかりの攻略キャラクターだから、ヒロインが一番好きかな。
悪役な家で、刺客を送られてもめげずに頑張る姿は応援したくなる。

敵は生徒会だけではなく、悪名高い家の刺客達もいる。
攻略キャラクターも中にはいるが、ほとんどが本物の悪役だ。

父親が幼い頃に他界して、実の子ではないヒロインは継母と連れ子に虐められていた。

継母はヒロインの秘めた力を知り恐れていて、殺そうと企んでいる。

連れ子の姉は攻略キャラクター達に想いを寄せるが、ヒロインにしか愛が向かず弟を使って人生をめちゃくちゃにしようと企む。
ヒロインが家が悪役なだけだとしたら、彼女は本物の悪役令嬢だ。
連れ子の弟はヒロインを無理矢理手に入れようと企み、姉に協力する。

生徒会より、悪逆非道なコイツらの方が厄介だよな。

幸せのルートを選べば、コイツらが没落して国を追われるだけだからすっきりした。
帰る実家がなくても、ヒロインは好きな人と結婚して一緒に住むから何の問題もない。

バッドエンドは最低な弟にいいようにされていたり、攻略キャラクターが死んだり散々な事になる。

エンディングリストを埋めるために仕方ないとはいえ、心が痛んだ。
いつの間にか、バッドエンドがトラウマになっていた。

バッドエンドルートを選ばなければいいんだ、酷い選択をしないといけないからそんな事は楽勝だ。

それが、シナリオを読むだけのゲームの中での話だ。

「ルイス!何処にいるの!?早く来なさい!」

「はい!お姉様!」

家の中だからとガニ股で歩いて、大声で俺の名前を呼ぶ。
すぐに行かないと、物に当たりだして俺が壊したと罪を着せるから厄介だ。

金髪の巻毛の美しい少女がイラついた様子で俺を呼んでいた。

俺、今はそれどころじゃないんだけど何の用なんだ?

姉のベアトリーゼは周りに誰もいないか確認してから、俺のネクタイを引っ張って近くの部屋に入った。
ネクタイが締まり、苦しくなったと思ったら部屋に入った瞬間床に投げ捨てられた。

「ぐえっ」とカエルが潰れたような小さな声が出た。
相変わらず姉は俺の扱いが雑すぎる、そんな事生まれる前から分かっていたけど。

この部屋はいらないものを何でもかんでも押し込んだ倉庫部屋か。

姉がドアを閉めると、若干明るかった室内が真っ暗になった。
窓もない室内は埃っぽくて、長時間いたくはない。

「協力しなさい!」

「…はーい」

「返事は!?」

「はい!お姉様!」

姉は作戦を誰にも知られたくないからか、小声で話していた。
そりゃあそうか、姉の作戦はいつも過激だから。

それに毎回のように付き合っているが、いつも上手くはいかない。
俺が全て悪い結末を回避しているから当然だ。

生前の俺は命を落として、新しい人生が始まった。
不思議な事に、生前の記憶を残して…

この世界は俺が生前やっていた乙女ゲームの世界だった。
そんな事現実にあり得るわけがないと思っていた。

名前と容姿が似ている、ただそれだけだと思っていた。

母が父の家を乗っ取り、父を暗殺者に殺させて家を乗っ取った。
次に目を付けたのは薬剤の研究をしていた男。
薬の情報を奪い、殺す気なんだろうなと子供ながらに理解していた。

止めたら俺まで殺される、母は身内でも自分に不利益な者は排除する。
実の父が亡くなった時、まだ3歳になったばかりの俺は危険を伝える事が出来なかった。

でも、10歳になり母が再婚した時は危険を伝えて逃す事が出来ると思っていた。
しかも、連れ子の少女を見て驚きが隠せなかった。

美しい黒髪に小さな花のカチューシャを付けているヒロインであるレイラ。
レイラを執拗以上にいじめる母と姉、この世界はあの乙女ゲームの世界だと確信した。

それと同時にトラウマも蘇ってきて頭を抱えた。

俺が無事なルートはレイラが不幸になるという事だ。
レイラの幸せを願うなら、俺だけじゃなく家族が永遠に追っ手から逃げてコソコソ暮らすしかない。

どちらも幸せになるルートがない、ゲーム通りの展開を期待してはいけない。

それから俺は、今までは普通に生きていただけだけど交流関係を広げた。

なるべく人に優しくして、二人の夫殺しと噂の家柄の子だからと偏見を持たれても心を穏やかにしてきた。
そのせいで、なにか企んでいて怪しまれてしまっているが。

俺をどうしても悪の道に引きずり込みたいのかと焦った事もあった。
でも俺は自ら変えられると信じて今まで生きてきた。

姉の悪事の手伝いも、一緒に居れば阻止がしやすい。
俺がやらないと他の人にやらせて、俺の方まで飛び火が来ると思った。

ずっと付きっきりは無理だが、家でイジメを見つけたらレイラを庇っていた。
そのせいで、姉に俺がレイラを好きなんだと勘違いされている。

俺がレイラを好きとか、ゲームみたいだな…と思ったが考えないようにした。
同じ歳の連れ子でも、俺は姉と同じようにレイラを妹だと思っている…それだけだ。

そして17歳になり、俺は悪役として乙女ゲームの最大の分岐点の前にいる。

姉と婚約者である騎士団長の婚約破棄事件だ。

全てに自信を持っていた姉は騎士団長と幼少期から幼馴染みだったレイラに嫉妬した。
家柄も公爵家で優秀な男が何故あんな普通の子と一緒にいるのか。

嫉妬した姉は母に頼み、騎士団長を婚約者にした。
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