異世界転生から500年、隻腕の仙人は忌竜憑きと旅をする

鵩 ジェフロイ

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戻らずのドゥルス山脈

第4話 ウン百年越しの新事実

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 全裸の男が全裸の男に抱きついてあたためることしばらく。

 
 結果は芳しくない。


 表面的にはオレからぬくもりを得たかのように感じるが、身体の芯のほうは未だ熱を失っている。やっぱり、マナのほうをどうにかしないといけないか。

 触れたところから男のうちのマナに働きかけようと試みるも、まるでこの山とか大地そのものの力と相対しているかのような絶望的な重さでぴくりとも動かない。

「こりゃあ外からは無理だなぁ……」

 ボヤきながら、頭を男の胸に乗せる。
 トク……トク……と弱い鼓動がきこえる。


 ……でも、まだ生きている。生きようとしている。


 それを感じて、ごく自然に“最終手段”に踏み切る決心がついた。

「ああ、まだあきらめるには早ぇよな」

 “最終手段”には主にオレの準備と、最後に少しだけこの男の準備がいる。

 まずはオレの準備からだ。

 オレは油壺から油をすくって、左手の指に塗りつける。そしてその手の油を────自分のケツ、とくに穴のほうに塗りつけた。

「うぅ……」

 もう自分でさえほとんど触れていなかった場所に触れるだけでなく、ぬるぬるとした感触がすることにぞわっと鳥肌がたつ。

「ふ……ぅ……」

 ……とくになにも考えずに純度100%の特製薬用油を使ったが……なんか、こう……塗ったところが熱いというか……うずくというか……。


 ぶっちゃけると、ムラムラしてきた。


 ……え? オレの特製油って催淫効果、もしくは精力剤みたいな効果まであったのか……? ……まぁ、これからやることには好都合か……?

 大事に育てている特製油のウン百年越しの新事実に驚愕しつつも、手はとめない。

「はぁ……ふ、ん……」

 そして、後ろのすぼまりの部分にとくに入念に油を塗りたくり……つぷ、と指を一本、突き入れた。

「んっ……!」

 ここ400年くらい排泄にすら使われていなかった穴への突然の異物混入に身体がわななく。
 異物を追いだそうと、内側がぎゅうぎゅうと指を締めつけるが、歯を食いしばって無理くり指を動かした。

「ぐっ……くぅ……っ、はぁっ……」

 違和感を無視してなかに油を塗り広げつつ、ほぐすように動かしていく。
 油が馴染んでいくにつれて、油の効果によってなのか、なかが熱くなっていき強張りがほどけていく。

「ふ、ぅ……後ろを弄ってると、前を弄れないのがもどかしい、な……」

 油の催淫効果かなんなのか、後ろの刺激だけでオレの前が頭をもたげてくる。もう腕が二本だった時間より一本の時間のほうが長くて、すっかり慣れて不自由なんてないと思っていたが、こういうときは物理的に不便だな。

「んんっ……そういえば、勃ったのもいつぶりだ……?」

 と、手はとめずに記憶を掘り返すがとんと思い出せない。
 それくらいオレは意図せず禁欲生活を送っていたらしい。まぁ、仙人になる前もあんまり興味なかったしな。

「あ。ヒエンたちは……」

 ナチュラルによい子の教育に悪いシーンに突入してしまい、さすがのオレもヒエンにはあまり見せたくないかも……と周囲を見まわすと、ヒエンとついでにガラの姿もなかった。

 たぶん、ガラがヒエンと一緒に外に出ていってくれたんだろう。持つべきものはできた友だちだな。


 ということで心おきなく穴をほぐすことしばらく。なんとか指が3本入るようになった。

「っ、はぁっ……初めてにしては、いい感じか……?」

 油の効果か、はたまたオレに“才能”があったのか、初めて弄ったにしては順調に準備ができているかもしれない。

 このくらいでいいだろうと後ろから指を引き抜く。

「うっ……。はぁ……あとは、アンタの準備だけど……まぁ、もしも起きたら一発くらいは本気で殴ってもいいよ」

 俺はそう意識のない男にひとこと断りを入れると、男の陰茎に油塗れの左手を添えた。

 ……手から伝わる質量に俺は頬を引きつらせる。

「ずいぶん、立派なもんをお持ちで……」

 ここからさらに大きくなるのかと思うと、少し覚悟が揺らぐが……まぁ、いけるだろう。自分の穴と特製油を信じろ。

 そうして油を馴染ませるように男のものを刺激してやれば、ゆるゆると反応を見せはじめた。
 重体だし反応しないかとも思ったが、杞憂だったようだ。よかった。

 男の顔を見れば、まだ顔色に生気はもどっていない。
 いよいよ、早く回復をうながせないと危ない。

 オレは多少強引に手を動かして、男のものを追い詰めた。亀頭からは先走りがあふれはじめ、油と混ざりぬちゅぬちゅと卑猥な音を響かせる。

 しばらくすると、手のなかのものは己の生きた証を残そうと最期の力を振り絞るかのようにかたく屹立していた。

「ふぅ、頑張ってくれたのに相手がオレで悪いけど、うまくいけばこれから本当にしたい相手とするチャンスもあるさ」

 なんだか妙に愛着が湧いてきた男のものに声をかけてひと撫でする。男のものは応えるようにふるりと揺れた。

 オレはヒエンの張った結界の内側にさらに自分で結界を張って補強する。男のマナが少し溢れだしただけでも周囲への影響が半端ないからな。

 そして、オレは男の上に馬乗りになり、今一度自分の後ろと男のものに油を絡めてから男のものを窄まりへとあてがった。


 ここまで来たらもうわかると思うが、男の生命を繋ぐ最終手段とは────セックスをすることだ。


 いやまぁ、セックスはあくまで手段で、目的は肉体的に深く繋がることで身体の内部のマナへ干渉しやすくすることにある。

 ちなみに、この方法は深く繋がれさえすればいいからオレが突っこむ側でもいい。が、しかし、さすがに意識のない男に突っこむのはド畜生すぎる。
 オレはそんな真正のサディストではない。

 ということで男のものをオレのなかに突っこむ。

「仙人になってから排泄しなくてもいい身体になってるから穴のなかは汚くないはずだし、病気の心配もないからまぁその……とにかく安心? してくれな」

 きかれてもいないことを意識のない男に告げるのは、同意のない性行為をされようとしている哀れな男をなだめるためなのか、男の大きさに少し緊張している自分を鼓舞するためか。


「はぁ……よし。…………えいやっ……!」


 ────オレは意を決して、腰を落とした。

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