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第一章、あたおか勇者にお持ち帰りされて監禁された話
アレはダメだ
しおりを挟むそこまでしなきゃいけないくらいデカいのかと男としての興味を引かれて、カプリスの下半身に視線を向けて後悔した。
——アレはだめだ。アレに貫かれると魔の者は昇天する。
エスクカリバーは伝説だからいいのだ。実在しなくていい。
「てめえ、俺に何か恨みでもあるのか?」
「恨みなんてありませんけど? 愛しているだけです」
「それどうする気だ! 俺の拳くらいはあるだろが! 真っ二つに避けて死ぬわ!!」
「ふふ、可愛い。もう大袈裟ですね~。アフェクシオンならきちんと治癒かけるので大丈夫です」
治癒をかけなきゃいけないレベルなのがまずおかしい。七十時間も耐えたかつての同胞を讃えたくなった。
再起不能になったのも頷ける。同情しかない。
「壊すまで激しくはしないので大丈夫ですよ…………たぶん」
——たぶんってとこが怖えよ!
「全然大丈夫じゃないだろ!!」
「ほら、口を閉じていないと舌噛みますよ」
引く気はないらしい。保身のために出来るだけ全身の力を抜いて正面にいるカプリスの首に両腕を巻きつける。
「は、やっば…………可愛い。テンション上がってきました」
即行で腕を離した。
この男のテンションだけは上げてはいけない。かつての同胞が体現している。
「え、どうして離しちゃったんですか?」
——お前のテンションを上げたくないからだ!
変に悪態をついて別の意味で興奮させてしまうのは嫌だ。ハッ、と吐息をこぼすと頭の中で火花が散っていく。そこからが地獄だった。
解放されたのは六日目に入ってからだった。
本当に記録を更新してしまい頭を抱える。しかも最中に、これから一緒に住む約束まで取り付けられてしまった。
何より闇の森にいる魔族たちに一部始終を覗かれていたというのも最悪な理由の一つだ。
——思いだしたくねぇ……。
鮮明に残ってる記憶が恨めしい。
治癒魔法で体の負担は全て癒やされているものの、まだ股の間にカプリスを挟み込んでいる気がして落ち着かない。動きたくもなかった。
でも腹が立って仕方ないので、隣で寝ているカプリスの腹を抉るように殴りつける。少し弾力のある硬い岩でも殴ってるような感触がした。
「アフェクシオン、体は大丈夫ですか?」
「上辺だけの心配やめろ。顔が笑ってるぞ」
「いや、行為中の貴方を思い出すと可愛くてニヤけただけです」
何も言わずに立ち上がって洞窟を出る為に浮遊する。
「待ってください! アフェクシオン、裸で行くつもりですか!?」
お仕置きされたいんですか? と続けられた言葉を聞いて即行でひきかえす。
自分の性行為がお仕置きどころか、拷問さえも超えると自覚していないところが恐ろしい。
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