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第4章:「終局への序曲」
4-7:「脅威接敵」
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今の会生とミューヘルマのやり取りが、一応の収まり所を見せ。
状況、やり取りを見ていた観測遊撃隊の各員は。「やれやれ」と言ったように視線を外して、戦闘行動へと意識を戻す。
「零れ落ち亡国の身であった王女殿下を、ここまで逞しく影響させるとは――アイセイ!君もまたいよいよ、どこまでも興味深くてたまらないじゃないかっ!」
そこへしかしまたも。レーシェクトにあっては嬉しそうに囃し立て、合わせて今度は会生を評するそんな言葉を向こうより届ける。
どうにも今の光景、やり取りその他が彼の好みに刺さり、テンションが上がっているらしい。
隣には少し呆れた色のストゥルの姿。
「っ!」
しかし、その両者の間を「めんどくさいやり取りは終わったか?」とでも言うように。直後には16式機動戦闘車が割って走り抜けた。
走り抜けた16式機動戦闘車は少し焦れるように、乱雑も構わぬ走りで城門へ伸びる街路上へと駆け込み停車。
配置し構えると同時に砲塔を旋回させ、その備える105mmライフル砲を唸らせ。
ここまでの火力投射からほぼ沈黙していた城門周りに、まだ残っていたバリケードの一角を。念には念をとでも言うように吹き飛ばした。
そして次に16式が砲塔旋回から砲口を向けるは。間もなく今先の爆炎の煙が晴れようとしている城門正面。
固く閉ざされていた大扉は木っ端微塵に吹き飛び無くなり。その門口がすでに大きく開口している様子が、煙がまだ残るむこうにも見える。
そこに一番乗りを決めんがための様相で、16式はエンジンを唸らせてまた動き始める。
しかし。
その煙の残る開け放たれた城門の向こうに、何かの「大きな」シルエットが見えたのは直後。
そして瞬間――「それ」は来た。
何か、「黒」い「光」の線。
言い表すなら、太い「闇」の閃光。一閃。
それが城門の向こうで生まれ、まさに一瞬の流れ星のように瞬き。16式機動戦闘車の元へと流れ来たかと思った瞬間。
歪な衝突音のような音が響き。
そして――16式戦機動闘車のその車体胴体が「掻き消え」。
爆炎に包まれた。
「――どわぁッ!?」
「ッぉ!?」
瞬間に巻き起こったそれに。近く周囲にいた各隊各員は。驚愕し思わずの声を上げながらも、まずは何よりカバーし遮蔽。
「MCV被弾、大破ァッ!」
「遮蔽しろッ、身を隠せェッ!」
続け上がる報告の張り上げ声に、指示の怒号。
「下がれッ、下がれッェ!」
会生等の背後では。寺院が遮蔽カバーしていた87RCVの正面装甲を叩き、ドライバーに急き促し、慌て後進後退させて死角に避難させる。
「ランナウェイ・ガンッ、退避だ一度下がれッ!」
「遮蔽しろォ!身を晒すなぁッ!」
交差路広場の全体各所で。とにもかくにも退避、遮蔽を急き促す怒号が飛び交う。
――視点を各所に向ける。
「――装填手、煙幕ッ!」
「煙幕ッ――装てェんッ!」
「撃ェァッ!」
機動車のDD14に引っ張られ、後進して背後側方の街路に敷設されている引き込み線に引く最中の《ひのもと》の。
その70式直接火力車の主砲砲塔内では。何よりも先との剣幕で、砲に煙幕弾が装填叩き込まれ。
間髪入れずに撃ち放たれた煙幕弾が、向こう城門前に叩き込まれて煙幕を上げる。
《ひのもと》のそれに続くように。32戦闘群 戦車班の90式戦車も後進行動で引きつつも、主砲より煙幕弾を撃ち放ち。次の煙幕を上げて張る。
同時進行でスモーク・ディスチャージャーを備える各装甲車輛も、とにかくの様相で発煙弾を撃ち放ち。
まず何より各隊各員、各車の退避遮蔽を援護するため。
向こうの城門周りに、そしてこちら側に。手当たり次第に上げられるだけの煙幕が張り展開された――
「――ッ!」
そんな、煙幕が手当たり次第に上がり。そして各隊各車が切迫しながら、まず真っ先の退避を行う中。
その内で。今の16式機動戦闘車の最期を見た会生にあっては。
目を掻っ開き、しかし動揺狼狽などにあっては見せる事無く。相手を差し屠るまでの尖る視線を、「闇の閃光」の発生源たる城門方向へと向ける。
自衛隊側の撃ち込んだ無数の煙幕が、視界を覆い隠す直前に。会生は城門の向こう奥に、「その」巨大な影を見て捉えていた。
それは――巨大な「モンスター」の存在を示すそれであった。
わずかにだが垣間見えたその影は、以前に目撃したことのある、トリケラトプスにも似た大型陸竜獣。
しかしだ。今に見えたその個体は、これまでのおよそ三倍はあった。またここまで見て来たマンモス型の騎獣も越える巨大な図体。
そして何より、今しがたに見えた「闇の光線」。それは、その巨竜類と思しき影の、その顎から撃ち出された瞬間を。会生は確かに見た。
「救出しろォッ!」
「援護だッ、援護しろッ!」
今に大破炎上した16式の乗員を回収すべく。煙幕が充満する今を狙い、隊員等が遮蔽より駆け出て向かう。
急き引き摺られ運ばれて来るは、衝撃で放り出された乗員の体――すでに事切れた、亡骸となった姿。
それと入れ替わる様に、周辺の各員各隊は遮蔽配置を変え、再展開行動を行う。
各員各所の無数の火器火力が、その口が伸びる街路の向こうを向き。煙幕に遮られた城門の方向を、視線で刺す。
程なくして、我武者羅にばら撒いた煙幕が晴れだした。
そして同時に。それを掻き分け進み出てくる巨大な影が見える。それこそ、今先に会生が城門の向こうに捉えたシルエット。
マンモスの三倍近くはあろう、トリケラトプスにも似るが、しかし異なる巨大獣。
それが、城門を潜り越えて討って出て来たであろう姿。
「……重陸……魔竜獣騎……」
次に、会生の隣足元から聞こえたのはそんな仰々しい言葉。
それは、バリケードに身を隠しつつ向こうを見るミューヘルマの言葉。今のそれが、向こうに見えた巨大獣の名らしい。
「面倒だなッ」
しかし、畏怖を与えるまでの様相で姿を露わにしたその巨大獣を向こう見て。
直後に上がったのは、調映からのそんな言葉。
そしてさらに直後には――観測遊撃隊の背後で、咆哮衝撃が上がった。
一度の退避から整え、再び交差路上に出て来た90式が。その120mm砲の唸りを巨大獣を狙って上げたのだ。
それが合図だ。
こちら側に遮蔽配置した各員各隊各所の、その銃火砲火が容赦なく唸り、叩き込まれ始めた。
一撃目の90式の砲撃は、その巨大獣の胴体側面を掠め、炸裂。
巨大獣が纏っていた物々しい巨大な装甲鎧を弾き飛ばして、その内の巨大獣の身を傷つけたが。
しかし致命傷とはならず、巨大獣は少し体を揺らして呻き声を届けつつも。こちらへの進撃を止める気配は無い。
そして直後。その顎がかっ開かれ――再びの闇の光線が撃ち放たれた。
「伏せろォッ!」
誰かの張り上げた声で、その闇の光線の進路軌道上にあった隊員等が。遮蔽物に身を隠す。
その闇の閃光はこちらの頭上を飛び越え。交差路広場の背後の一軒の建物に直撃。歪な衝撃音を立って「炸裂」し、その建物の直撃個所を闇で飲み込む。
闇が消失し、次に見れば。建物は半分近くがごっそりと繰り抜き切ったかのように「消滅」していた。
「下がれ下がれッ!」
今度に在っては幸い、自衛隊側への被害は無かったが。
その脅威を目撃した隊員各位は顔を引きつらせ。90式戦車は場の指揮官に装甲を叩かれ促され、再び死角への退避を余儀なくされる。
「航空支援を要請しろォッ!」
「身を晒すなッ!敵の攻撃の瞬間と軌道を見逃すなァ!」
各指揮官の、対策を取るべくの指示の言葉が飛び交う。
「信じられない……!」
「当たったら、いやヘタすりゃ触れただけで文字道理消し飛ぶな」
その内で、観測遊撃隊の各員も背後にそれを目撃し。
百甘はM240Bで正面に銃弾をばら撒きながらも、背筋を凍らせる様子で漏らし。舟海は険しい顔で忌々し気に溢す。
「とてつもない威力に、効果範囲だ。ならば――至近距離では撃てまい」
しかし、そんな横傍で。静かに淡々とそんな推察する言葉を零したのは会生。
「会生?」
それに、嫌な予感を感じ。祀が声を掛けるが。
「試す価値はある――援護しろッ」
しかしそれには取り合わず。
「えッ」
「ちょっ」
周りの各員の制止もまったく間に合わず。
直後。会生は建物のカバーを飛び出し、そしてバリケードを踏んでヒョイと越え。
街路を踏み進んでこちらに迫る巨大獣に向かって。しかしこちらから迎え撃つように――いや、まさにそのために。
堂々と駆け進んでいった――
状況、やり取りを見ていた観測遊撃隊の各員は。「やれやれ」と言ったように視線を外して、戦闘行動へと意識を戻す。
「零れ落ち亡国の身であった王女殿下を、ここまで逞しく影響させるとは――アイセイ!君もまたいよいよ、どこまでも興味深くてたまらないじゃないかっ!」
そこへしかしまたも。レーシェクトにあっては嬉しそうに囃し立て、合わせて今度は会生を評するそんな言葉を向こうより届ける。
どうにも今の光景、やり取りその他が彼の好みに刺さり、テンションが上がっているらしい。
隣には少し呆れた色のストゥルの姿。
「っ!」
しかし、その両者の間を「めんどくさいやり取りは終わったか?」とでも言うように。直後には16式機動戦闘車が割って走り抜けた。
走り抜けた16式機動戦闘車は少し焦れるように、乱雑も構わぬ走りで城門へ伸びる街路上へと駆け込み停車。
配置し構えると同時に砲塔を旋回させ、その備える105mmライフル砲を唸らせ。
ここまでの火力投射からほぼ沈黙していた城門周りに、まだ残っていたバリケードの一角を。念には念をとでも言うように吹き飛ばした。
そして次に16式が砲塔旋回から砲口を向けるは。間もなく今先の爆炎の煙が晴れようとしている城門正面。
固く閉ざされていた大扉は木っ端微塵に吹き飛び無くなり。その門口がすでに大きく開口している様子が、煙がまだ残るむこうにも見える。
そこに一番乗りを決めんがための様相で、16式はエンジンを唸らせてまた動き始める。
しかし。
その煙の残る開け放たれた城門の向こうに、何かの「大きな」シルエットが見えたのは直後。
そして瞬間――「それ」は来た。
何か、「黒」い「光」の線。
言い表すなら、太い「闇」の閃光。一閃。
それが城門の向こうで生まれ、まさに一瞬の流れ星のように瞬き。16式機動戦闘車の元へと流れ来たかと思った瞬間。
歪な衝突音のような音が響き。
そして――16式戦機動闘車のその車体胴体が「掻き消え」。
爆炎に包まれた。
「――どわぁッ!?」
「ッぉ!?」
瞬間に巻き起こったそれに。近く周囲にいた各隊各員は。驚愕し思わずの声を上げながらも、まずは何よりカバーし遮蔽。
「MCV被弾、大破ァッ!」
「遮蔽しろッ、身を隠せェッ!」
続け上がる報告の張り上げ声に、指示の怒号。
「下がれッ、下がれッェ!」
会生等の背後では。寺院が遮蔽カバーしていた87RCVの正面装甲を叩き、ドライバーに急き促し、慌て後進後退させて死角に避難させる。
「ランナウェイ・ガンッ、退避だ一度下がれッ!」
「遮蔽しろォ!身を晒すなぁッ!」
交差路広場の全体各所で。とにもかくにも退避、遮蔽を急き促す怒号が飛び交う。
――視点を各所に向ける。
「――装填手、煙幕ッ!」
「煙幕ッ――装てェんッ!」
「撃ェァッ!」
機動車のDD14に引っ張られ、後進して背後側方の街路に敷設されている引き込み線に引く最中の《ひのもと》の。
その70式直接火力車の主砲砲塔内では。何よりも先との剣幕で、砲に煙幕弾が装填叩き込まれ。
間髪入れずに撃ち放たれた煙幕弾が、向こう城門前に叩き込まれて煙幕を上げる。
《ひのもと》のそれに続くように。32戦闘群 戦車班の90式戦車も後進行動で引きつつも、主砲より煙幕弾を撃ち放ち。次の煙幕を上げて張る。
同時進行でスモーク・ディスチャージャーを備える各装甲車輛も、とにかくの様相で発煙弾を撃ち放ち。
まず何より各隊各員、各車の退避遮蔽を援護するため。
向こうの城門周りに、そしてこちら側に。手当たり次第に上げられるだけの煙幕が張り展開された――
「――ッ!」
そんな、煙幕が手当たり次第に上がり。そして各隊各車が切迫しながら、まず真っ先の退避を行う中。
その内で。今の16式機動戦闘車の最期を見た会生にあっては。
目を掻っ開き、しかし動揺狼狽などにあっては見せる事無く。相手を差し屠るまでの尖る視線を、「闇の閃光」の発生源たる城門方向へと向ける。
自衛隊側の撃ち込んだ無数の煙幕が、視界を覆い隠す直前に。会生は城門の向こう奥に、「その」巨大な影を見て捉えていた。
それは――巨大な「モンスター」の存在を示すそれであった。
わずかにだが垣間見えたその影は、以前に目撃したことのある、トリケラトプスにも似た大型陸竜獣。
しかしだ。今に見えたその個体は、これまでのおよそ三倍はあった。またここまで見て来たマンモス型の騎獣も越える巨大な図体。
そして何より、今しがたに見えた「闇の光線」。それは、その巨竜類と思しき影の、その顎から撃ち出された瞬間を。会生は確かに見た。
「救出しろォッ!」
「援護だッ、援護しろッ!」
今に大破炎上した16式の乗員を回収すべく。煙幕が充満する今を狙い、隊員等が遮蔽より駆け出て向かう。
急き引き摺られ運ばれて来るは、衝撃で放り出された乗員の体――すでに事切れた、亡骸となった姿。
それと入れ替わる様に、周辺の各員各隊は遮蔽配置を変え、再展開行動を行う。
各員各所の無数の火器火力が、その口が伸びる街路の向こうを向き。煙幕に遮られた城門の方向を、視線で刺す。
程なくして、我武者羅にばら撒いた煙幕が晴れだした。
そして同時に。それを掻き分け進み出てくる巨大な影が見える。それこそ、今先に会生が城門の向こうに捉えたシルエット。
マンモスの三倍近くはあろう、トリケラトプスにも似るが、しかし異なる巨大獣。
それが、城門を潜り越えて討って出て来たであろう姿。
「……重陸……魔竜獣騎……」
次に、会生の隣足元から聞こえたのはそんな仰々しい言葉。
それは、バリケードに身を隠しつつ向こうを見るミューヘルマの言葉。今のそれが、向こうに見えた巨大獣の名らしい。
「面倒だなッ」
しかし、畏怖を与えるまでの様相で姿を露わにしたその巨大獣を向こう見て。
直後に上がったのは、調映からのそんな言葉。
そしてさらに直後には――観測遊撃隊の背後で、咆哮衝撃が上がった。
一度の退避から整え、再び交差路上に出て来た90式が。その120mm砲の唸りを巨大獣を狙って上げたのだ。
それが合図だ。
こちら側に遮蔽配置した各員各隊各所の、その銃火砲火が容赦なく唸り、叩き込まれ始めた。
一撃目の90式の砲撃は、その巨大獣の胴体側面を掠め、炸裂。
巨大獣が纏っていた物々しい巨大な装甲鎧を弾き飛ばして、その内の巨大獣の身を傷つけたが。
しかし致命傷とはならず、巨大獣は少し体を揺らして呻き声を届けつつも。こちらへの進撃を止める気配は無い。
そして直後。その顎がかっ開かれ――再びの闇の光線が撃ち放たれた。
「伏せろォッ!」
誰かの張り上げた声で、その闇の光線の進路軌道上にあった隊員等が。遮蔽物に身を隠す。
その闇の閃光はこちらの頭上を飛び越え。交差路広場の背後の一軒の建物に直撃。歪な衝撃音を立って「炸裂」し、その建物の直撃個所を闇で飲み込む。
闇が消失し、次に見れば。建物は半分近くがごっそりと繰り抜き切ったかのように「消滅」していた。
「下がれ下がれッ!」
今度に在っては幸い、自衛隊側への被害は無かったが。
その脅威を目撃した隊員各位は顔を引きつらせ。90式戦車は場の指揮官に装甲を叩かれ促され、再び死角への退避を余儀なくされる。
「航空支援を要請しろォッ!」
「身を晒すなッ!敵の攻撃の瞬間と軌道を見逃すなァ!」
各指揮官の、対策を取るべくの指示の言葉が飛び交う。
「信じられない……!」
「当たったら、いやヘタすりゃ触れただけで文字道理消し飛ぶな」
その内で、観測遊撃隊の各員も背後にそれを目撃し。
百甘はM240Bで正面に銃弾をばら撒きながらも、背筋を凍らせる様子で漏らし。舟海は険しい顔で忌々し気に溢す。
「とてつもない威力に、効果範囲だ。ならば――至近距離では撃てまい」
しかし、そんな横傍で。静かに淡々とそんな推察する言葉を零したのは会生。
「会生?」
それに、嫌な予感を感じ。祀が声を掛けるが。
「試す価値はある――援護しろッ」
しかしそれには取り合わず。
「えッ」
「ちょっ」
周りの各員の制止もまったく間に合わず。
直後。会生は建物のカバーを飛び出し、そしてバリケードを踏んでヒョイと越え。
街路を踏み進んでこちらに迫る巨大獣に向かって。しかしこちらから迎え撃つように――いや、まさにそのために。
堂々と駆け進んでいった――
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