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「お願い!死んでー!!」
「やだよ!ふざけんな!」
刃物を持って襲い掛かる。
ゴロゴロと転がって大振りに。
がら空きの胸を蹴って突き飛ばした。
「きゃあ!ひどい!」
「きゃあ、ひどい、じゃねーよ!公爵令嬢がこんなもん持つな!」
背中から転んで倒れたところに刃物を持った手を体で踏みつける。
後ろに手を結ばれ、振り返りながら公爵令嬢の手を引っ張って取り上げる。
「ああ、取られた。うぐっ、」
「うるさい。なんなんだよ、あんた。」
胸の上に乗ってマウントをとる。
広げた腕にしっかり足を乗せて。
「刃物、ちいせえ。こんなんで死なんわ。傷だらけになるだけっての。」
ギコギコと手首の布を切る。
切れんし。
切れ味悪いし。
去年、男爵令嬢になった下民育ち。
言葉も悪いしキャットファイトも慣れたもんだ。
手が自由になったところで小ぶりの刃物はワードローブの上に投げた。
「さてと、素手のやり取りなら私が強いね。」
あんだけ騒いで使用人が来ないんだ。
人払いしてあるんだろう。
2度言うが、私は下民育ちだ。
カラトリーより重いもんを持ったことなさそうな貴族娘に負ける気はしないね。
床にまだ寝転がった公爵令嬢を仁王立ちで見下ろす。
「で、どういうつもりだ?」
「う、うわぁぁん!!」
「泣くな。説明しろっての。」
足でつついて促す。
呼び出されたのはこっちだ。
しがない男爵令嬢の、しかも先代当主の遅く生まれた隠し子。
母親は早くに亡くして、こっそりお金をくれてた父親に当たる先代が亡くなって、男爵家に引き取られた。
飯も食えるし、温かい寝床。
ラッキーと思って受け入れた。
異母兄になる現当主は嫌そうだったが、亡くなった父親の望みだと言っていた。
男爵夫人も恥ずかしいと文句言ってた。
でも意外といい人で令嬢としての教育を熱心にしてくれる。
二人して、こそっと娘ができて嬉しいと呟いたのは聞こえた。
こういう厳しい癖に優しい人は近所にもいたから気にせず過ごした。
言葉遣いも態度も必要ならと改めて二人の好むように。
そうすれば、現当主の異母兄や屋敷の人間、跡取りの甥っ子達と仲良くなり、男爵夫人が遠縁の娘だと言って社交界の出入りもそれなりに連れてかれるようになった。
2年たって、もうすぐは貴族の学園に入学できる予定で皆が喜んでた。
何の繋がりか知らんけど、ある日公爵家から呼び出しを食らった。
家族全員大慌て。
どうやら同じ時期に入学する公爵令嬢からの招待だった。
物珍しさから呼ばれたと思ってノコノコ来てみたら、腕を縛られ部屋に転がされた。
大人しくしてないと舌を切ると脅され、猿ぐつわを噛まされ夜まで部屋に隠された。
でも、腕以外は笑っちゃうくらいゆるゆるに結んでて待ってる間にほどいたけどね。
「おら、泣くな。」
しゃがんで頬をむにむにと片手で掴む。
「う、ひっく、ひっん、こ、こわい。」
「当たり前だろうが。殺されそうになって優しくするわけないだろ。はよ話せ。泣き止め。」
涙を拭って体を引っ張って床に座らせた。
戦意喪失してるのなら特に怖くない。
少し猫なで声で慰める。
「いい子だから言ってみ。正直に話すなら優しくしてあげるよ。」
「ぐすん、」
メソメソ泣くのを優しく撫でる。
綺麗な顔してるのにげっそりやつれて顔色が悪く目が窪んでる。
「悩んでるからこんなことしたんでしょ?話してみ?私がいたら困るの?」
こくと頷く。
慰めるふりをして後ろから抱えるように腕を重ねて両の手首は軽く掴んで拘束する。
また暴れたら面倒だ。
それにしても女の私が包めるほどの細さ。
こいつ、大丈夫か?
「なんで?たかが男爵令嬢だよ。しかも直系に当たらない。」
直系の妻が産まないと身分の保証はない。
妾の子は私生児だ。
運良く家族と扱われてるが、貴族の血の薄い私は平民と同じ。
将来、どこかの使用人となるしか道はない。
どこかの貴族に嫁入りするとかあり得ないから。
「わたし、殺され、る、ぐす、ぐすん。ひっく。」
何、その物騒な話は。
公爵令嬢となればなんかこう。
黒い世界があるのかもしれないけど。
権力争いとか。
「…誰に?」
で、なんで私が殺されなきゃならんのさ。
「あなたが、学園に入ったら、シナリオが。」
わからん。
ぐずぐず泣きながら説明するが意味がわからん。
なんだよ、おとめげーむって。
「頭おかしい、と思うでしょ。でも、本当なの。」
少し泣き止んで言葉が落ち着いてきた。
「私が学園に入ったら、高位貴族の男侍らせてうはうはすんの?まじかー。ありえねー。」
「あなたは前世の記憶ないの?」
「ないよ。知らんし。」
説明をしてくれたが、心当たりがない。
「めっちゃ便利な世界じゃん。いいなぁ。」
親が揃ってるのが普通だって。
いいなぁ。
頑張って働けば金持ちになれるし、夜はこの国みたいに危険もない。
ゼロじゃないらしいが、夕暮れの少しあとに女ひとり出掛けられるってスゴくない?
漫画とか学校とか、スマホやゲーム。
子供は勉強して遊んでていいんだって。
嘘だろ?
働かなくていいの?
自分の食いぶち稼がなくていいの?
子供は家族を養わなくていいの?
みんな、貴族みたいな生活して天国じゃん。
毎日風呂とかスゲー。
スーパー行けば肉を買えるの?
毎日食べられるのかぁ。
「いいなぁ。」
肉を食べたい。
さすがに男爵家でも毎日は出ない。
食べるのは男ばっかだし。
「信じてくれるの?」
「あ、いや。まだ分からないけど、その暮らしは羨ましい。」
「…そう。」
表情が暗くなった。
やべ。
「あー…私のお母さん、あんたの言う世界なら死ななかったかもね。」
「…頭おかしいと思う?」
「わからん。でも会話は成り立つし、悩んでるのも分かる。あんた、ご飯食べてる?私を殺す前にあんたが死にそう。」
手首に手を回して細さを確認する。
「ご飯、食べなよ。死にたくないんでしょ?」
「…うん。」
「私、強いから食べないと殺れないよ?他の奴にさせるのは出来ないんでしょ。」
「…そんなのバレたら、家に迷惑かける。」
「だよね。さすがに。」
下民ならまだしも腐っても男爵令嬢。
問題になる。
「まあ、もう少し話を聞かないとわかんないや。どうする?」
「え?」
「いや、だからどうする?」
ポカンと見つめられて聞き返す。
「殺されるのはごめんだし、あんたも死ぬかもしれない。なら二人で生き残ろうよ。こんなガリガリになるくらい悩むなら付き合うよ。」
「…いいの?助けてくれるの?」
「いいよ。可哀想だし。」
発作的に殺そうとされちゃ敵わん。
なら近くで監視した方がいい。
今は雇わないと言ってるが、機会があるなら考えが変わるかもしれない。
懐に入ってしまった方が楽だろう。
「うわぁぁん!!ずっと怖かったの!!」
またぐずぐず泣いて私の膝で突っ伏していた。
「…泣き虫だね。」
よしよしと頭を撫でてやった。
膝枕をしたまま床で寝てる。
一晩、起きとくくらい平気だから枕になったまま、目をつぶって過ごした。
朝方、メイドが来る前に起こした。
「おはよ。」
「あ、おはよう。」
涎垂らしてるぞ。
「昨日、聞きそびれたけどうちの家族にはなんて言ってるの?」
一晩の無断外泊だ。
心配してる。
「え、あ。」
「…話せ。」
睨むと縮こまった。
「か、帰ったって。うちは関係ないって。」
頬っぺたを強くひねる。
「今すぐ、連絡しろ。謝罪もだ。いいね?じゃないと協力しないからね?」
「ひゃ、ふぁい!ふぉめんなふぁい!」
「やだよ!ふざけんな!」
刃物を持って襲い掛かる。
ゴロゴロと転がって大振りに。
がら空きの胸を蹴って突き飛ばした。
「きゃあ!ひどい!」
「きゃあ、ひどい、じゃねーよ!公爵令嬢がこんなもん持つな!」
背中から転んで倒れたところに刃物を持った手を体で踏みつける。
後ろに手を結ばれ、振り返りながら公爵令嬢の手を引っ張って取り上げる。
「ああ、取られた。うぐっ、」
「うるさい。なんなんだよ、あんた。」
胸の上に乗ってマウントをとる。
広げた腕にしっかり足を乗せて。
「刃物、ちいせえ。こんなんで死なんわ。傷だらけになるだけっての。」
ギコギコと手首の布を切る。
切れんし。
切れ味悪いし。
去年、男爵令嬢になった下民育ち。
言葉も悪いしキャットファイトも慣れたもんだ。
手が自由になったところで小ぶりの刃物はワードローブの上に投げた。
「さてと、素手のやり取りなら私が強いね。」
あんだけ騒いで使用人が来ないんだ。
人払いしてあるんだろう。
2度言うが、私は下民育ちだ。
カラトリーより重いもんを持ったことなさそうな貴族娘に負ける気はしないね。
床にまだ寝転がった公爵令嬢を仁王立ちで見下ろす。
「で、どういうつもりだ?」
「う、うわぁぁん!!」
「泣くな。説明しろっての。」
足でつついて促す。
呼び出されたのはこっちだ。
しがない男爵令嬢の、しかも先代当主の遅く生まれた隠し子。
母親は早くに亡くして、こっそりお金をくれてた父親に当たる先代が亡くなって、男爵家に引き取られた。
飯も食えるし、温かい寝床。
ラッキーと思って受け入れた。
異母兄になる現当主は嫌そうだったが、亡くなった父親の望みだと言っていた。
男爵夫人も恥ずかしいと文句言ってた。
でも意外といい人で令嬢としての教育を熱心にしてくれる。
二人して、こそっと娘ができて嬉しいと呟いたのは聞こえた。
こういう厳しい癖に優しい人は近所にもいたから気にせず過ごした。
言葉遣いも態度も必要ならと改めて二人の好むように。
そうすれば、現当主の異母兄や屋敷の人間、跡取りの甥っ子達と仲良くなり、男爵夫人が遠縁の娘だと言って社交界の出入りもそれなりに連れてかれるようになった。
2年たって、もうすぐは貴族の学園に入学できる予定で皆が喜んでた。
何の繋がりか知らんけど、ある日公爵家から呼び出しを食らった。
家族全員大慌て。
どうやら同じ時期に入学する公爵令嬢からの招待だった。
物珍しさから呼ばれたと思ってノコノコ来てみたら、腕を縛られ部屋に転がされた。
大人しくしてないと舌を切ると脅され、猿ぐつわを噛まされ夜まで部屋に隠された。
でも、腕以外は笑っちゃうくらいゆるゆるに結んでて待ってる間にほどいたけどね。
「おら、泣くな。」
しゃがんで頬をむにむにと片手で掴む。
「う、ひっく、ひっん、こ、こわい。」
「当たり前だろうが。殺されそうになって優しくするわけないだろ。はよ話せ。泣き止め。」
涙を拭って体を引っ張って床に座らせた。
戦意喪失してるのなら特に怖くない。
少し猫なで声で慰める。
「いい子だから言ってみ。正直に話すなら優しくしてあげるよ。」
「ぐすん、」
メソメソ泣くのを優しく撫でる。
綺麗な顔してるのにげっそりやつれて顔色が悪く目が窪んでる。
「悩んでるからこんなことしたんでしょ?話してみ?私がいたら困るの?」
こくと頷く。
慰めるふりをして後ろから抱えるように腕を重ねて両の手首は軽く掴んで拘束する。
また暴れたら面倒だ。
それにしても女の私が包めるほどの細さ。
こいつ、大丈夫か?
「なんで?たかが男爵令嬢だよ。しかも直系に当たらない。」
直系の妻が産まないと身分の保証はない。
妾の子は私生児だ。
運良く家族と扱われてるが、貴族の血の薄い私は平民と同じ。
将来、どこかの使用人となるしか道はない。
どこかの貴族に嫁入りするとかあり得ないから。
「わたし、殺され、る、ぐす、ぐすん。ひっく。」
何、その物騒な話は。
公爵令嬢となればなんかこう。
黒い世界があるのかもしれないけど。
権力争いとか。
「…誰に?」
で、なんで私が殺されなきゃならんのさ。
「あなたが、学園に入ったら、シナリオが。」
わからん。
ぐずぐず泣きながら説明するが意味がわからん。
なんだよ、おとめげーむって。
「頭おかしい、と思うでしょ。でも、本当なの。」
少し泣き止んで言葉が落ち着いてきた。
「私が学園に入ったら、高位貴族の男侍らせてうはうはすんの?まじかー。ありえねー。」
「あなたは前世の記憶ないの?」
「ないよ。知らんし。」
説明をしてくれたが、心当たりがない。
「めっちゃ便利な世界じゃん。いいなぁ。」
親が揃ってるのが普通だって。
いいなぁ。
頑張って働けば金持ちになれるし、夜はこの国みたいに危険もない。
ゼロじゃないらしいが、夕暮れの少しあとに女ひとり出掛けられるってスゴくない?
漫画とか学校とか、スマホやゲーム。
子供は勉強して遊んでていいんだって。
嘘だろ?
働かなくていいの?
自分の食いぶち稼がなくていいの?
子供は家族を養わなくていいの?
みんな、貴族みたいな生活して天国じゃん。
毎日風呂とかスゲー。
スーパー行けば肉を買えるの?
毎日食べられるのかぁ。
「いいなぁ。」
肉を食べたい。
さすがに男爵家でも毎日は出ない。
食べるのは男ばっかだし。
「信じてくれるの?」
「あ、いや。まだ分からないけど、その暮らしは羨ましい。」
「…そう。」
表情が暗くなった。
やべ。
「あー…私のお母さん、あんたの言う世界なら死ななかったかもね。」
「…頭おかしいと思う?」
「わからん。でも会話は成り立つし、悩んでるのも分かる。あんた、ご飯食べてる?私を殺す前にあんたが死にそう。」
手首に手を回して細さを確認する。
「ご飯、食べなよ。死にたくないんでしょ?」
「…うん。」
「私、強いから食べないと殺れないよ?他の奴にさせるのは出来ないんでしょ。」
「…そんなのバレたら、家に迷惑かける。」
「だよね。さすがに。」
下民ならまだしも腐っても男爵令嬢。
問題になる。
「まあ、もう少し話を聞かないとわかんないや。どうする?」
「え?」
「いや、だからどうする?」
ポカンと見つめられて聞き返す。
「殺されるのはごめんだし、あんたも死ぬかもしれない。なら二人で生き残ろうよ。こんなガリガリになるくらい悩むなら付き合うよ。」
「…いいの?助けてくれるの?」
「いいよ。可哀想だし。」
発作的に殺そうとされちゃ敵わん。
なら近くで監視した方がいい。
今は雇わないと言ってるが、機会があるなら考えが変わるかもしれない。
懐に入ってしまった方が楽だろう。
「うわぁぁん!!ずっと怖かったの!!」
またぐずぐず泣いて私の膝で突っ伏していた。
「…泣き虫だね。」
よしよしと頭を撫でてやった。
膝枕をしたまま床で寝てる。
一晩、起きとくくらい平気だから枕になったまま、目をつぶって過ごした。
朝方、メイドが来る前に起こした。
「おはよ。」
「あ、おはよう。」
涎垂らしてるぞ。
「昨日、聞きそびれたけどうちの家族にはなんて言ってるの?」
一晩の無断外泊だ。
心配してる。
「え、あ。」
「…話せ。」
睨むと縮こまった。
「か、帰ったって。うちは関係ないって。」
頬っぺたを強くひねる。
「今すぐ、連絡しろ。謝罪もだ。いいね?じゃないと協力しないからね?」
「ひゃ、ふぁい!ふぉめんなふぁい!」
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